係活動と当番活動、どこが違う?

学級経営・特別活動を長年、研究・実践してきた稲垣孝章先生が、教育現場で見て気になったことについて、ズバリと切り込みます。
文・稲垣孝章(元・埼玉県公立小学校校長)

クラス活動で必須の要素と言える、係活動と当番活動。学級内で子供たちが何らかの役割をもつこと、と言う点では同じですが、この二つには違う目的や狙いがあるのです。稲垣孝章先生に、詳しく教えていただきました。
目次
係活動を会社方式で?
5年次教員の研修会で、次のような提案があり、その提案を参会者が感心して聞いている姿を見て驚きました。
「私のクラスの係活動は、会社方式を採用しています。各係に社長を置いて、定期的に社長を集めて株主総会をします。そこで、活動が活発でない係は倒産さ せ、倒産した係の子どもたちは、職を求めて他の係にアルバイトに行かせます。子どもたちは、自分たちの係が倒産しないように、競って活動に取り組み、目を 輝かせています」
この先生は、子どもの目の輝きの意味がわかっていないのだと思います。この子どもたちの目は、競争心をもった目の輝きなのです。競争することは教育において大切であり、否定するものではありません。しかし、そもそも係活動とは、責任を負わせ、競わせるものではないのです。足りないことがあれば、互いに支え合って活動するものであり、競争の原理ではなく、協働の原理に基づく活動なのです。今、とても心配な実践です。