教職を楽しんでほしいし、次世代に「教職はいいよ」と伝えてほしい【授業づくり&学級づくり「若いころに学んだこと・得たこと」第41回】

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授業づくり&学級づくり「若いころに学んだこと・得たこと」

藤原友和先生はこの数年間、道徳教育や国語教育だけでなく、ICTを活用した授業づくりにも力を入れていると話します。最終回となる今回は、そのように新たな分野にも力を入れて取り組むようになった経緯や、実際に生成AIを活用した授業の実践例、そして最後に若手の先生方に伝えたいことなどを紹介していきます。

北海道公立小学校・藤原友和教諭。

オンラインの中で学びの効果を上げていくにはどうしたらよいか

私がICTの活用に本格的に取り組むことになったのは、教職大学院に行っていたときのことでした。NPO法人「授業づくりネットワーク」を通じてお付き合いのあった上條晴夫先生(東北福祉大学教授)から、「これからはオンライン授業ができないといけないけど、みんな経験がないから勉強会を立ち上げたいので協力してほしい」との連絡が来たのです。そこで、オンライン授業をオンラインで学ぶ「オン・オン会」を立ち上げることになりました。まだ使い方が分からない先生も多いわけですから、まずはZoomに登録し、Zoomで遊ぼうというイベントを行ったのです。

そこで私がホストになり、ミーティングを開いてお話をしているうちに、「これは誰かが話題提供者になれば、勉強会ができるのでは?」と気付き、「オンライン学校の放課後」という無料勉強会を10回シリーズで実施。さらに「オンライン学校の~」と名前を変えながら、無料勉強会を50回ほど行いました。その会には、それまでリアルの勉強会で知り合っていた、八巻寛治先生(仙台市嘱託社会教育主事、宮城県教育カウンセラー協会副代表など)をはじめとする著名な先生や、意欲ある若手の先生が参加してくれました。

ちょうどコロナ禍という未曾有の状況の中で、みんな何をどうしたらよいか分からないわけですから、そのときどきに必要だと思うことを考えていく会を実施。例えば、給食の黙食が始まったときに担任として考えるべきことは分かるわけですが、栄養教諭の先生はどう考えているのかが分かりません。ですから栄養教諭の先生に来ていただいて、どんな体制でやっているのか、それはなぜか、それが目指すものは何かを掘り下げていくわけです。あるいは、人と人の触れ合いが減る中で、子供の心がどうなっていくのかという話題では、エンカウンターを日本に広めた八巻先生にお話をしてもらいました。そのように、「今、困っていること」をテーマにオンラインで学びを広げていきました。

そうした会を続けていくうちに、次第に私の興味は学びのフレームのほうに移っていったのです。オンラインで学ぶということは、対面での学びとは同じようにはいきません。しかし、対面と同じとは言わないまでも、オンラインの中で学びの効果を上げていくにはどうしたらよいかを考えていきました。その結果、講師の先生にお話ししていただいた後、その話をどう受け取ったのかを2人のスタッフがリフレクションしているところを参加者に見せ、最後にその会の中で明らかになったことは何かを、私が整理して話していくというパッケージになっていきました。

勉強会の講師の話が良い話だったとしても、自分の中にどう取り込んで位置付けたらよいのか分からないこともあるでしょう。そこで、私が学びをどのように言語化したらよいのか、どのようにリフレクションのサイクルに位置付けたらよいのかという、学び方のフレームを示す役割を担ったのです。それは、具体のネタばかりをやっていて、うまくリフレクションができていなかった若い頃の自分自身への反省もありました。そこで、参加した先生方に先輩の学び(や実践)の見方や生かし方を伝えることに取り組んだのです。

生成AIを活用した授業づくりに取り組む

そのように仲間と共にICTを活用した授業づくりについて学びながら、私自身は最近、生成AIを活用した授業づくりにも取り組んでいます。実際に活用したのは、6年生の総合的な学習の時間の「共に生きる」という単元で、地元のこども園との交流を行うものです。本校は以前からこども園との交流を続けていましたが、この3年間はコロナ禍のため、できていませんでした。2023年度、こども園の先生から交流を再開したいという申し入れがあったのですが、担任している6年生の人数や学校行事との関係、打ち合わせの時間が取れないことなどがあり、頓挫しそうになっていました。そんなときに地域公開授業で、コミュニティ・スクールの評議員の方をはじめ、地域全体の方たちに対して公開する授業を行うことになっていたため、「その場で子供と一緒に交流の打ち合わせをする授業を公開しますから、来てくださいませんか」とこども園の側にお願いし、その授業を行うことになりました。

その授業では、まず子供たちに「『共に生きる』という単元があって、こども園と交流をするんです。そこでみんなと相談しながら進めていきたいのだけれど、そもそもこども園の先生はなぜ皆さんに来てほしいんだと思う?」と発問すると、班ごとに話し合い、「小学校に入るに当たって、良いイメージをもってほしいから」「学校のことを知って、不安を解消してほしいから」などの願いを予想します(板書画像参照)。「じゃあ、私たちは学習として行うのだから、交流を通して何を学ぶんだろうね?」と問いかけると、同様に「年下と関わることで世界が広がる」とか、「小さい子と関わるための相手意識をもつことでコミュニケーション力が付く」とか、「保育士さんの気持ちを知って、仕事に対する構えをもつ」などの意見が出ます。

「なるほどね。そういうねらいで交流するわけだけど、具体的に何をやればよいと思う?」と投げかけると、子供たちは班ごとにジャムボードに書き込みながら、「小学校に関わる○✖️クイズ」「色鬼」「昔の遊び」などと出していきます。そこで、「これはあくまでみんなが出したアイデアで、これでよいかどうかは分からないよね?」と言うと、子供たちはうなずくので、「では、これでよいかどうか、生成AIに聞いてみようか?」と投げかけます。そして、「あなたはベテラン保育士です。近隣の小学校と連携して、児童と園児の交流学習を行うことになりました。どんなことをねらいとして交流を行いますか?」「また下記のように、6年生の児童が交流学習のアイデアを出してくれましたが、どのようにアドバイスもしくは励ましのメッセージを送りますか?」などと問いました。そうすると、生成AIは一つ一つのアイデアにアドバイスをくれるのです。

そこで「本当にそうかどうかは分からないよね」と言って、「実は、こども園の副園長先生と先生が来られています」と紹介し、実際に先生に聞いてみると、生成AIの意見に対して特に異論はありませんでした。そして、「いや、実は園の子供たちもこれを楽しみにしていて…」と話されていると、そのこども園を卒業した6年生はとても自慢げで、かつ嬉しそうにしていたのです。また、その授業を見られたコミュニティ・スクールの評議員の方も、「生成AIってすごいな」と驚いておられました。

ちなみに、その授業後、こども園の先生と簡潔に打ち合わせをして、「では、来週伺います」ということで単元を進めていきましたが、そのように生成AIを使うと、ゲストティーチャーに質問することがバーチャルにできるので、それを叩き台にして、活動のイメージをもって、活動計画をつくって実践していくことがスピードアップできるわけです。大人同士の打ち合わせから、ICTを活用したサイクルの中に入れていくことで進めながら考えつつ、質の高い実践をしていくことも可能になるのだと思います。

実際に藤原先生が地域に向けて公開を行った、生成AIを活用した授業の板書。

オンラインの勉強会を通してつながった人も多くいる

私自身、若い頃から多様な勉強会に参加し、多様な先生方から学んできましたが、近年、オンラインの勉強会を通してつながった人も多くいます。オンライン勉強会で知り合って、石垣島から私の学校に来られた先生がいましたし、埼玉県と群馬県から授業を見に来られた先生もいました。さらに私が若い先生方を連れて、埼玉や青森から来られた先生方の所に行って勉強会を行う予定も立てています。今はリアルな対面の勉強会だけでなく、オンラインで多様な勉強会に参加することができるわけですから、若い先生には、まずは興味をもった分野で勉強会に参加してみてほしいものです。

私が若い頃には著者に会える機会など滅多にありませんでしたが、今はオンラインで本物に出会う機会がもてますし、そこで良い学びができ、つながりができたら直接会いに行くこともできるでしょう。どちらでも自分の状況に応じて、選択して学べばよいと思います。ただし、オンラインの学びだけだと、フィルターバブル現象が起こり、自分に都合の良い部分だけを摘み出して見てしまう危険もあるので、リアルとオンラインを往還しながら、学びを深めていくのがよいのだろうと思います。

とはいえ、それは私がリアルな対面のコミュニケーションによって強く影響を受けることが、プラスに作用しやすい社会の中で生きてきたからということも言えるでしょう。現在はコミュニケーションのあり方の過渡期ですから、もしかしたら、オンライン・コミュニケーションの比率のほうが高い世代が中心になった社会では、「やはり対面が重要」と語ることが前時代の遺物になっている可能性もあります。今後、コミュニケーションのあり方が変わり続ける中で、人間そのものも変質するだろうし、社会自体も変質していくでしょう。そこでの「学び」とは何なのか、私自身も考え続けるつもりですし、これからの社会を生きる若い先生方こそ、それを考え、実践し、言語化し、さらに次の世代にバトンを渡していってほしいものです。

最後に、若い先生方にはぜひ教職を楽しんでほしいし、次の世代に「教職はいいよ」と伝えてほしいと思っています。私自身、何よりも楽しんで授業づくりをしているところを見せて、それを伝えていますし、それを見た先生も楽しい授業を見せてくれます。若い先生に、「どんな授業をしたらよいか」と聞かれたら、「私は授業がうまいかどうかには興味がありません。あなたがおもしろいと思うことをおもしろがりたいし、私がおもしろいと思うものをおもしろがってくれたら、それほど嬉しいことはありません」と伝えています。私がこれまで学ばせていただいた先輩の先生方もみんな楽しそうでしたし、私自身、今も楽しみ続けているので、ぜひ多くの先生方にも教職を楽しんでほしいと思っています。

【授業づくり&学級づくり「若いころに学んだこと・得たこと」】次回は、1月26日公開予定です。

執筆/教育ジャーナリスト・矢ノ浦勝之

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