【相談募集中】発達障害を抱える私でも教師になれますか?

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兵庫県公立小学校校長

関田聖和

教職を目指す10代の女性から「みん教相談室」に相談が寄せられました。発達障害を抱えていて教師になることに躊躇があるそうです。これに回答したのは兵庫県公立小学校教頭で公認心理師 特別支援教育士スーパーバイザーの関田聖和先生。今すぐできる方略も挙げて、相談者に心強いエールを送りました。その内容をシェアします。

写真AC

Q.子どもと深く関わる教職、発達障害のある私でもなれますか?

私は教員を志している学生です。しかし、最近自分自身に発達障害(ADHDと自閉スペクトラム障害)があることが分かり、諦めた方がいいのだろうかと悩んでいます。特に不注意が酷くて、話していたことをすぐに忘れてしまったり、散らかりっぱなしで大事なプリントをなくしたりしてしまいます。

また、言葉を聞いて理解することが少し難しくて、早口で言われると耳から耳へと抜けていく感覚でうまく入ってきません。さらに、人が傷つくラインを判断するのが難しくて、無用な発言をして人に嫌われてしまうことがあります。

そのほかにも、体の動きがぎこちなくて体育や図工などのお手本を見せることができません。現在、ボランティアとアルバイトで子どもと関わっているのですが、そのどちらでもこれらの特性のせいで子どもを傷つけてしまうことがあります。

大事な書類を間違えて自分の鞄に入れた挙句無くしてしまったこともあります。教員というのは、すごく責任が必要な仕事だと思います。それに、私は小学校の先生を目指してるので、子どもと一緒にいる時間が特に長いと思うのですが、ここでコミュニケーションが上手くいかない事は子どもたちにとってすごくイライラの種になったり、学級の荒れに繋がってしまったりするのかなと思います。

小学校低学年の頃から小学校の教員に憧れ続けて一途に頑張ってきましたが、現実的に考えて厳しいのでしょうか……。

(ポム・10代女性)

A.目指す、目指さないは自分次第。その先にはハッピーエンドが待っています

まずは、このような場であっても、ご自身の特性や失敗事例を教えていただきありがとうございます。また教師にとっては逆風が吹く中、教職を目指す姿勢にも感謝しています。結論から言うと、このような特性のある先生方でも、楽しく教員生活を送っている方もいますし、特性をきっかけにして教員生活をあきらめる方もおられます。だから、自分次第なのだということです。

さてポムさんは、10代女性ということですので、高校生か大学1年生を想定してお伝えします。

自身の失敗から、方略を考えること

就職をして社会人になると、ボランティアやアルバイトとは違い、社会的な責任を負うことになります。今までの失敗をすることで、学生時代とは違った形の結果を生むことがあります。最悪を想定して、困らないための手立てを模索し、それをできるようにしておくことが必須だと考えます。

例えば、

大事なプリントが散らかり、なくならないようにするための方略

・向きを揃えて1つの袋に入れる習慣をつける。
・デジタルカメラやスマートホンでプリント類を撮影し、画像としてストックする。

言葉を聞いて理解することが少し難しいための方略

・ゆっくりと話してもらい、分からないことはすぐに質問する
・話を録音させてもらうか、メモを取りながら話を聞く

といったことを学生の間に、列挙しておきましょう。そしてこれらに取り組み、習慣化することで、失敗が小さくなり、方略にも慣れることができるので、のちのち社会人になったときにも対応できるのではないかと考えます。しかし様々な場面での方略になるので、数年間、試行錯誤しながら、社会人になるまでに自分のものにするという決意で取り組んでみましょう。

「お試し」のつもりで挑戦してみる

憧れの小学校教員です。なる前からあきらめる必要もないですよね。まずは教育実習です。そこで、方略を使った教員生活を体験しましょう。相手に言動をゆだねるときには、どのようにお願いすると伝わるのでしょうか。ここはポムさんのキャラクターにも関係するので、実際に体感しないと分からないでしょう。

大学によっては、インターン制度などもあるようです。大学に相談してみることもいいかもしれません。大学卒業後は、臨時講師で働くことも一考です。「試す」という言い方には、語弊を生んでしまうかもしれませんが、長い人生ですので、自分に合う合わないを見極めてもいいのではないかと考えています。

理想の教師になるまでには時間がかかるかもしれない

また、ポムさんが描いている教師生活になるまでには、時間がかかるのだということを念頭に置いておきましょう。特性云々関係なく、どの若い先生も同じなのですが、ベテランと同じような振る舞いは、採用後数年で得られるようなものではないからです。

おそらく若い先生は、様々なことで挫折に合います。その時に、「特性のせいで……」と思いつめないことが大切です。もちろん特性のせいは、ゼロではないでしょう。しかし特性よりも、経験値が他の先生方とは違いすぎることが大きいのです。

それを少しでも小さくするために、「みんなの教育技術」のようなサイトと仲良くなるんです。私も、毎月本屋に通って、小○教育技術をはじめ、多数の本を買って、むさぼるように読んでいました。

ゴールは必ずハッピーエンド!

結果的に、教員を選択しない場合であっても、必ずポムさんに合う場所は、見つかります。「一生懸命に取り組んでいれば、必ず誰かが助けてくれる」からです。

まずは、準備のための一歩を踏み出しましょう! 踏み出せば、ちょっぴり苦労はするだろうけど、必ず素晴らしいゴールが、見えてきますよ! 応援しています!

みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。

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