小6算数「点対称な図形の性質」指導アイデア
執筆/埼玉県公立小学校教諭・播元和貴
編集委員/国立教育政策研究所教育課程調査官・笠井健一、埼玉県公立小学校校長・書上敦志
目次
本時のねらいと評価規準
(本時6/12)
ねらい
対応する点、辺、角の性質や、対応する点を結ぶ直線と対称の中心との関係の性質を理解する。
評価規準
点対称な図形の性質について、対称の中心や構成要素に着目して考えている。(数学的な考え方)
問題
下の点対称な図形について調べましょう。

点対称な図形とは、どのような図形でしたか。
対称の中心Oの周りに180°回転させた時に、ぴったり重なる図形です。
そうでしたね。では、左の図形を180°回転させた時に、頂点Aと重なり合う頂点はどれですか。
頂点Dです。
辺EFと重なり合う辺はどれですか。
辺BCです。
そうですね。このように、点対称な図形で、対称の中心Oの周りに180°回転した時に重なり合う点、辺、角を、それぞれ対応する点、辺、角と言います。
線対称な図形の時と似ています。
では今日は、線対称な図形の時と同じように、点対称な図形の特徴を調べていきましょう。
本時の学習のねらい
点対称な図形の特ちょうを調べよう。
自力解決
どのようなことを調べますか。
対応する辺の長さや角の大きさについて調べたいです。
対応する頂点どうしを結んだ直線と、対称の中心との関係はどうかな?
線対称な図形の時は……?
A つまずいている子
・調べる観点が分からない。
・図形を回転させた時の対応が捉えられない。
B 素朴に解いている子
・具体物を操作しながら考えている(辺や角などの構成要素にはふれていない)。
・対応する点を結び、対称の中心Oで交わることを捉えている。
C ねらい通りに解いている子
・具体物を操作するだけでなく、辺や角などを測りながら対応を考えている。
・線対称な図形の時の考え方を基に、対称の中心Oから対応する2点までの長さを測っている。
学び合いの計画
ここでは、子供がコンパスや分度器を使ったり、具体物を操作したりして、点対称な図形の構成や性質を理解することをねらいとしています。
「点対称な図形」の学習では、前時までに学習した「線対称な図形」について学んだ観点(対応する辺の長さ、角の大きさについて、対応する点どうしを結んだ直線と対称の軸との関係等)を活用できます。
自力解決時には、調べる観点を教師から提示するのではなく、線対称な図形の学習を想起させながら、子供自らが見つけられるとよいでしょう。話し合いでは、線対称な図形の性質と比較しながら進めていくことで、共通点や相違点が浮き彫りになり、より点対称な図形について捉えやすくなります。その際、自分や友達が調べたことを図に描き込んだり、具体物を操作したりして、学級全体で確かめながら学習を進めるようにしたいものです。
子供が思いつかなかった観点については、教師側から提示することも考えられます。また、複数の図形で調べさせることで、「どの点対称な図形でも確からしい」ということを追究させることも大切です。
全体発表とそれぞれの考えの関連付け

対応する辺の長さや角の大きさについて調べると、どちらもそれぞれ等しくなっていました 。(C1)

線対称な図形の時のように、対応する点Aと点D、点Bと点E、点Cと点Fを直線で結んでみました。すると、全て対称の中心Oで交わっていました。(C2)
C2さんに付け足しで、対称の中心Oから対応する2つの点までの長さが等しくなっていました 。
では、このように、対応する点どうしを結んだ直線で図形を2つに切ってみると、四角形ABCDと四角形ADEFはどうなっているか分かりますか 。

合同な図形になっています 。
(線対称な図形と比べて)点対称な図形にはどのような特徴がありますか 。
線対称な図形と同じように、対応する辺の長さや角の大きさが等しくなっています 。
対称の中心Oから対応する2つの点までの距離が等しくなっています 。
対応する点どうしを結んだ直線は、必対称の中心で交わります 。
対応する点どうしを結んだ直線で点対称な図形を切ると、合同な2つの図形に分かれます。
点対称な図形の性質をまとめましょう 。
評価問題
下の図は、点対称な図形です。
①辺BCと対応している辺はどこですか。また長さは何㎝ですか。
②角Dと対応している角はどこですか。また、何度ですか。
③対称の中心Oを見つけましょう。
④点Gと対応する点Hを見つけましょう。

子供に期待する解答の具体例
①辺EF(FE) 3㎝
②角A 110°
③④ 下図参照

本時の評価規準を達成した子供の具体の姿
点対称な図形について、点、辺、角の対応を考えたり、対称の中心と構成要素に着目して考えている。
ワンポイント・アドバイス
埼玉県さいたま市立大砂土小学校校長・書上敦志
本単元は、既習の図形を対称性という新しい観点から考察し、図形について理解を深めることをねらいとしています。線対称と点対称という観点を学習するとともに、これまで学習してきた平面図形についてまとめ、図形の見方を深め、感覚を豊かにすることができるようにします。ここでは点対称な図形の性質について考察します。本事例では、線対称の学習を生かし、子供達自身で点対称を調べていく観点を見つけていくよう、授業展開が工夫されています。六年生の算数の学習を1年間どのように学ぶのかを学級の子供達と考えることが、主体的な学びにとって大切だからです。
イラスト/やひろきよみ
『小6教育技術』2018年4月号より