小5[D よりよく生きる喜び]喜びのある生き方を考える授業 文部科学省教科調査官同行監修 動画・道徳科実践レポート

連載
前文部科学省教科調査官同行監修 動画・道徳科実践レポート

前文部科学省初等中等教育局教育課程課 教科調査官/十文字学園女子大学教育人文学部児童教育学科 教授

浅見哲也

今回は小5の内容項目[D よりよく生きる喜び、 主題名「生きる意味」の授業レポートをお届けします。世の中が不安定になっている時代だからこそ、特に道徳性を養う道徳科の授業が重要視されています。道徳教育の研究に取り組んでいる小学校に、浅見哲也教科調査官とともに伺い、調査官からのアドバイスを受けつつ、授業実践を動画で分かりやすく紹介します。調査官と授業者とのミニ対談の動画もご覧ください。

授業者/東京都公立小学校教諭・庄子寛之

小5[D よりよく生きる喜び]喜びのある生き方を考える授業

主題名:生きる意味 内容項目[D よりよく生きる喜び]
教材名:「アンパンマンがくれたもの」(光村図書)
本時のねらい:東日本大震災のときに、人々の心を癒した『アンパンマンのマーチ』(やなせたかし)を通して「生きる喜び」について考え、つらさや弱さを乗り越え、夢や希望などの喜びのある生き方をしていこうという態度を育てる。

導入

1 ねらいとする価値への導入を図る
「あなたにとって、幸せを感じるときはいつですか」という事前アンケートの結果について話し合う。アンケート結果の1位は「ゲームをしているとき」、そのほか「おいしいものを食べているとき」「犬と遊んでいるとき」などが多かった。

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展開

2 教材「アンパンマンがくれたもの」を聞き、話し合う
教材「アンパンマンがくれたもの」の読み聞かせを聞き、『アンパンマンのマーチ』の歌詞のここがよいと思うところに、自分のネームカードを貼る。

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自分が貼ったネームカードの個所について、2人組で話し合う。

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2人組で話し合ったことを、リレー発言で共有する。

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東日本大震災に遭った人々は『アンパンマンのマーチ』に励まされた。それはどんな気持ちだったのだろう。

リレー発言で多くの子供たちが発表する。

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3 自分自身の経験をふり返る
『アンパンマンのマーチ』から見えてくる「生きる喜び」を通して、自分の生きる喜びを考える。


『アンパンマンのマーチ』から見えてくる「生きる喜び」とは何だろう。

発問について2人組で話し合う。


あなたの「生きる喜び」は何ですか?

ノートに自分の意見を書く。

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タブレットで自分のノートを撮影して、その画像を提出する。

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「生きる喜び」について意見を交流する。

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終末

4 学習をふり返る
本時の学習をふり返って、子供たちに教師からのメッセージを伝える。

本時の板書


あなたの「生きる喜び」は何ですか?
私の生きる喜びは「今、生きている!」と、感じること。その理由は、今生きていなかったら、今生きていると感じることはできないし、生きていたら、ゲームもできたりおいしい食べ物を食べたりすることもできるけど、死んでいたら、何もできないから。
生きて何かをすることができるというのが生きる喜びではないかと思う。
いろんなことを体験できて、いろんなことを楽しめる。友達と遊べる。家族と旅行に行ける。ふつうに暮らせる。
生きているだけで幸せ。生んでくれたお母さんや育ててくれたお父さんに感謝すること。自分が「幸せ」とか「うれしい」と思うことが「生きる喜び」。
私は生きているだけでじゅうぶん幸せだから、生きていることがまず喜んでいいと思います。もし、つらいことがあっても「生きるのっていやだな」って思っても、生きていることだけですごいと思います。

文部科学省教科調査官・浅見哲也先生からのアドバイス

授業者・庄子寛之先生とのミニ対談はこちら

浅見哲也先生の解説する道徳科の目標、評価、指導についての動画もご覧ください。
「道徳科の目標の理解」はこちら>>
「道徳科の評価の理解」はこちら>>
「道徳科の指導の明確な意図」はこちら>>
「道徳科の主体的・対話的で深い学びとは? 授業づくりQ&A」はこちら>>

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プロフィール
浅見哲也(あさみてつや)
文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官・国立教育政策研究所教育課程研究センター教育課程調査官/1967年埼玉県生まれ。埼玉大学教育学部卒業後、1990年より埼玉県熊谷市及び深谷市内公立小学校教諭、埼玉県教育局指導主事、深谷市教育委員会指導主事、深谷市内公立学校教頭、小学校校長兼幼稚園長を経て、2017年より現職。どの立場でも道徳の授業をやり続け、今なお子供との対話を楽しむ道徳授業を追究中。

取材・文・構成/浅原孝子 撮影/北村瑞斗

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