小4 B [友情・信頼]本当の友達を考える授業 前文部科学省教科調査官同行監修 動画・道徳科実践レポート

連載
前文部科学省教科調査官同行監修 動画・道徳科実践レポート

前文部科学省初等中等教育局教育課程課 教科調査官/十文字学園女子大学教育人文学部児童教育学科 教授

浅見哲也

今回は小4の内容項目B[友情・信頼]、主題名「友達への注意」の授業レポートをお届けします。世の中が不安定になっている時代だからこそ、特に道徳性を養う道徳科の授業が重要視されています。道徳教育の研究に取り組んでいる小学校に、浅見哲也前教科調査官とともに伺い、前調査官からのアドバイスを受けつつ、授業実践を動画で分かりやすく紹介します。前調査官と授業者とのミニ対談の動画もご覧ください。

※動画の中の音声が途切れている部分は、子供の名前を消している個所です。

授業者/神奈川県公立小学校教諭・長瀬友美

小4 B[友情・信頼]本当の友達を考える授業

主題名:友達への注意 内容項目 B[友情・信頼]
教材名:「大きな絵はがき」(東京書籍)
本時のねらい:友達との関係をもっと良いものにするには、言いにくいことでも伝えれば分かってくれると友達を信じて伝えることが大切ということが分かり、友達と互いに信頼し合い、助言し合いながら友情を深めていこうとする態度を育てる。

導入

1 「友達」と「本当の友達」の違いについて事前にとったアンケート結果を提示し、子供たちの問題意識を高め、学習課題へとつなげていく

事前アンケートについて

「本当の友達はいますか?」という質問に対して、27人が「いる」と答えた。一方で「分からない」という答えもあった。
「本当の友達はどんな友達なのか?」という質問に対して、

なんでも話せる。
信頼できる。
助け合える。
いっしょにいる時間が長い。
いっしょにいて楽しい。

という回答が多かった。

展開

2 教材を読んで、学習課題に迫っていく


本当の友達をつくるためには、どんな考えが大切なのだろう。

子供たちに教材の内容を理解しやすくするために①登場人物②あらすじ③読みの視点を話してから、本文を読む。


あなたが広子さんと同じような絵はがきをもらったら、どうしますか。

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気持ちがすっきりした広子さんは、どんな気持ちに気付いたのでしょう。

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正子さんと広子さんは、これからどんな友達関係になるでしょう。

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3 今日の学習でつかんだ道徳的価値から、これまでの友達との関係をふり返る


本当の友達だからこそできたことは何かありますか?

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終末

4 実践への意欲を喚起する


今日の授業を通して、これからどういうふうに接していきたいか、何か思い浮かぶことはありますか?

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教師がクラスの1年間の出来事を編集して作ったビデオを視聴する。

本時の板書


本当の友達は信頼できて、思いやることができるということが分かったので、これから5年生になったり、中学生になったりしてもこの授業を思い出して、本当の友達をたくさんつくりたいなと思いました。今いる本当の友達とももっと遊んで仲を深めたいなと思いました。
この学習を通して、ぼくは、本当の友達ともっと仲が良くなれそうだと思った。本当の友達との時間は人生の宝物だと思った。なんでも言い合えることって、本当の友達だからこそ言えると思った。これからこのことを忘れずに本当の友達をつくっていきたい。
前は本当の友達というのは意識したこともなかったけれど、改めて考えてみてたくさん仲良くしてくれて、分かり合える人がいることが分かりました。これからは、広子さんのように「伝える」ことや正子さんのように「素直に受け入れる」ということが大切だと思いました。
ぼくは、本当の友達とはなんでも言えると思っていたけれど、相手のことを考えるということも大切だということが分かりました。今の本当の友達は、ぼくのことを考えてくれているから、これからは自分も相手のことを考えられる人になりたいと思いました。

前文部科学省教科調査官・浅見哲也先生からのアドバイス

授業者・長瀬友美先生とのミニ対談はこちら

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プロフィール
浅見哲也(あさみてつや)
前文部科学省教科調査官・十文字学園女子大学教授/1967年埼玉県生まれ。埼玉大学教育学部卒業後、1990年より埼玉県熊谷市及び深谷市内公立小学校教諭、埼玉県教育局指導主事、深谷市教育委員会指導主事、深谷市内公立学校教頭、小学校校長兼幼稚園長を経て、2017年より文部科学省教科調査官、2023年4月より十文字学園女子大学教授。どの立場でも道徳の授業をやり続け、今なお子供との対話を楽しむ道徳授業を追究中。

取材・文・構成/浅原孝子 撮影/北村瑞斗

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