POPで教室をポップに ~ちょい工夫でインパクトのあるものに~ 【マスターヨーダの喫茶室】

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山田隆弘
マスターヨーダの喫茶室~

夏休み明け、各教室では担任の先生が思い思いに2学期はじまりのメッセージを黒板に書きます。児童を待つ教室に入ると、メッセージが黒板いっぱいに書いてあり、休みが続いて学校に来るのがいやだなあと思っていた児童が、「今学期もやるぞ!」と意識転換をする瞬間です。どんなメッセージにするかは担任のセンスでしょう。イラスト満載の学級、連絡もびっちりの学級、文字デザインが凝っている学級など個性があふれます。勤務校のある学級では、おかえりなさい!」というひとことが…。ちょっと心が温まりますね。
さて、こういった教室でのメッセージや掲示物のタイトル表示は、事務的なもの(宿題の置き場所の連絡等)だけだと児童はテンションが上がりません。なにか工夫を凝らしてみたいです。例えば、お店で商品を説明するボードやシート(カード)がありますね。POPと言われるものです。POPを教室に活かせないか…ちょっと考えてみたいです。

1 給食配膳室での衝撃!

今年から勤務した学校で給食配膳室の前をとおった時、かなり衝撃がはしりました。普通だったら、ポスター的に、
「給食をおいしくいただきましょう」
「ぜんぶ食べるようにしましょう」
「きょうのこんだては、○○○です。」
といった言葉がならび、ちょっとしたカットが入るくらいの掲示物があるものです。
でもでも、何だこりゃあ~!と思いました。

作成者の栄養教諭Kさんによれば、鬼滅大ブームの時期に、少しずつ描いて児童にみせていったそうです。なんでも、顔のパーツの位置関係をみて模写しながら描くのだそうです。そして、それぞれのキャラクターに合わせてセリフを言わせているのです。

『きょうのきゅうしょくもうまい!』
『一生懸命食べます!』
『完食したいという少年少女をそちらに向かわせました。丸腰で給食に挑んでくる度胸があります。』
『アタイ絶対のこさず食べてやる!!』
『苦手なものをたべてる みなさん…かわいい♡』
『よく味わい、違いを感じるのだ』

こういったインパクトのあるキャッチコピー的なセリフはなかなかいいですね。児童はぐっと心をつかまれ、やってみようと思うはずです。こういったコピーライトのスキルから、ものの見方や伝え方に様々な表現方法や視点があることに気付かされます。わたしたちは、コピーを考える訓練をすることで、思考力の向上にもつながっていきます。

2 キャッチコピー戦略

生徒指導の領域では、例えば、
「廊下を走らないようにしましょう」
「○○小学校の子は走りません!」

というような掲示がなされていたとしても、児童は最初は意識してもあとは全然意識しないです。そこで、
『そんなみっともないフォームで走っても美しくない。だったらきれいに歩きなよ!』
『けが注意報発令! 走るのSTOP!』
『キミは忍者歩きの極意を知っているか?』

なんていうキャッチコピーが出てきます。児童会活動あるいは学年の取り組みとして児童に考えさせるのもいいですね。

保健領域では、例えば、
「手を洗おう!」そして、「コロナウィルスを洗い流しましょう」
と二の句をつぐPOPがあります。でも、
『オレはきたない手が大好き!』
とバイ菌のイラストとともに書いてみるというのもおもしろいです。

どっちが、児童の手洗い意欲が高まるか歴然としています。これも児童会の保健委員会の活動などでできそうですね。

キャッチコピーとイラストでステキな掲示物、POPができそうです。

3 「動的掲示」をしよう

40年も前、わたしが初任の頃です。勤務先の校長先生が、
「教室では動的掲示をしなければならない」

と新人トレーニングの一環でアドバイスをしてくださいました。具体的にこうだということは示されなかったので、宿題を出されてしまったわけです。それで、いろいろ考えることとなりました。どうもわたしの学級は、作品が貼りっぱなし…、めあて表も貼りっぱなし、季節感もなくおもしろみがないということでのアドバイスだったようです。確かにそうだなあ。どうすればいいのかなあと考えました。

当時、イラストレタリングクラブの指導を任されました。そうだ!これを教室掲示にも生かせばいいんだ!と自分でいろいろ書いてみました。ただ、太いペンで文字を書くよりも、ちょっと見栄えがよくレタリングスキルで文字を工夫してみたり、ちょっとしたイラストを加えてみたり、縁取りをしてみたり…。掲示も頻繁に差し替えました。児童も以前よりちょっと興味をもって掲示物をみてくれるようになってきました。

最近、学校で付箋紙が使われるようになり、児童がかいた絵や作文、新聞などの掲示物に、付箋紙でコメントを書いて貼付するという実践がみられるようになってきました。これも「動的掲示」の一つだなあと思います。この付箋紙にもイラストやレタリングスキルを取り入れてみたら、注目されるだろうなと思ってみているところです。

勤務校では、宿泊体験学習に参加した5年生が感想文を書き、それに6年生がメッセージを書いてくれていました。貼りっぱなしでない、参加型「動的掲示」とも言えます。

4 POPのスキルをもてば

POPとは、「Point of purchase advertising」を略したものです。「ポップ」あるいは「ピーオーピー」と呼ばれ、お店の品物を販売する広告掲示です。単純な価格を書いているものから、商品の宣伝、はては役に立つこと、価値のあること、使い方などまで楽しく書いてあるものもあります。購買意欲がわきますよね。

そして最近、書店はもとより、公立図書館で、読書紹介カードから発展し、POPで本を紹介することも増えてきました。学校図書館でもPOPによる図書紹介の実践もみられるようになってきました。すてきなPOP型紹介カードがあれば、読んでみたい!という気になります。

POP広告で有名な安売り王『ドン・キホーテ』では、全社で500名を超えるPOPライターがいるそうです。このお店では、「売り場」ではなく、お客様の視点で「買い場」というコンセプトで進めるそうです。「買い場」ではお客さんがPOPをみながら買い物を楽しみます。人が説明するところをPOPで代用する、つまり人件費を削ってその分商品を安くすることができるのでしょう。

教室でも同じです。「教室→学習室」の発想です。児童目線で考えていくのです。例えば、図工の作品を貼ります。貼っただけでは、(貼ってあるなあ)で終わりになるかもしれません。でも、これにみてほしいポイントなどを加えてみたらどうでしょうか。これで、児童は担任の説明を聞かなくてもPOPをみながら作品を鑑賞していくことができます。友だちの作品から学び、次に生かそうという気持ちになります。

児童の側でも、例えば係活動などで自分の係をアピールする目立つPOPをつくれば、注目度抜群ですよね。

5 パソコンで作成するものとくらべると

ところで、こんな面倒なことをしなくてもパソコンでできるんじゃない?というご意見があると思います。ごもっともです。でも、パソコンでの作成は次のようなデメリットがあります。

デメリット1 デザインに案外時間がかかる
 ワープロソフトやグラフィックソフトに慣れていないと完成まで時間がかかります
デメリット2 デザインが平板である
 案外字体が均質、文字の大きさも均質、おもしろみがありません
デメリット3 カラープリンターまでの道のりが長い
 プリンターにデータがいかない。みんな使っていて使えない。カラーインクの節約の問題で気軽に使えないなどなど、完成までの道のりが案外長いです

こうして比較してみると、紙と筆記具さえあれば、気軽に書ける手書きに軍配が上がるのではないでしょうか。

6 POP作成の準備物

準備するものは、教室にあるものでだいじょうぶですが、以下のものがあればなおいいものを作ることができます。

① 筆記具
けっこう使われているモノは、ユニポスカ(三菱鉛筆)、ポップメイト(シヤチハタ)などです。「丸型」のペンはたくさん販売され手に入りやすいですが、POP用の「角型」のペンは絶対必要なので用意したいです。それを基盤にして、太字ペン、クレヨン、コンテ、毛筆ペンなどさまざまな筆記具がPOP作成サポーターとして使われています。

② カッター&カッターマット
細いサイズ、太いサイズのカッターが主です。このほか中ぐらいのサイズ、円切りカッターなどがあります。カッターマットは、一般的なA4かB4サイズのほか、A3版や机一面のものや長四角のものなどさまざまなサイズがあります。大は小をかねるということで、わたしは大きめのもの(A3版)を使っています。カッターの環境がなければはさみでも代用できます。わたしは普通のハサミのほか、工作用ギザギザはさみを数種もっています。便利です。

③ 用紙
一般的な画用紙があればOKです。色画用紙、ケント紙、黒い紙などインクのノリのいいものだとなおいいです。

④ マスキングテープ、各種シール
必ずしも必要はありませんが、彩りをそえるものです。あると便利です。

⑤ のりとはさみ
一般的なもので十分です。

⑥ コンテやクレヨン
文字の装飾やちょっとした着色に使います。

身近にあるものでだいじょうぶです。使いやすくまとめておきましょう。

7 POPスキル入門

POPスキル…各商店でデザインはあまりやったことがないという一般の人から、ちょっと心得のあるパートさんやアルバイター、そして専門スタッフで雇用されている人、さらにはその道のプロと呼ばれる人までいて、言ってみればいろいろなレベルがあります。

参考図書もかなり出版され、web上にも先に紹介したドン・キホーテのPOPをはじめさまざまなものが紹介されています。だいたいそれらから教室掲示POP作成のエッセンスを探ってみます。

スキル1 角型ペンで主張する 
スキル2 ふち取りでくっきり 
スキル3 文字にアクセントをつけてみる

 漢字は大きめ、ひらがなは小さめ…
 文字の中にコンテやクレヨンで影をいれる
スキル4 丸型ペンでなにげにメッセージを入れこむ
スキル5 文字をカットし貼り付ける
スキル6 ベースの紙の色を有効に生かす
スキル7 段ボールでもできちゃう
スキル8 キャラクターを入れてみる
スキル9 マスキングテープやシールをつかってみる
スキル10 字の大きさや字体をくふうする

 角ゴシック体、丸ゴシック体を基本とし、明朝体や毛筆体なども入れ込んで
 自分流のフォントをつくる

そして、作成にあたって把握しておかなければならないポイントは、

ポイント1 上から下へ、左から右へ
 わたしたちの生活の中での視線移動にしたがって配置します!
ポイント2 キャラクターを使う
 印象が強く残ります!
ポイント3 セリフはキャラクターの目や口に近いところへ書きます
 視覚的に注目させる!

なかなか、専門家の域に達するには、時間がかかりそうですが、まず作ってみることです。
だんだんとおもしろいものができるはずです。

キャラクターを貼り付けた図工の作品に添えるPOP

POPに取り組んでみて、ちょっと掲示のおもしろみにふれたような気がします。冒頭に述べた校長先生からの「動的掲示」の宿題。ちょっと遅くなりましたが、自分なりの返事ができたような気がします。POPを取り入れて、教室がポップになれば楽しいですよね。

できることから始めてみましょう。

参考図書:今野良香「売れる『手書きPOP』のルール」(2009・同文館出版)/川俣綾加「POPの見本帳」(2013・エムディエヌコーポレーション)/山口茂「コトPOPを書いたらあっ売れちゃった!」(2015・商業界)/山口茂「POPの教科書」(2017・すばる舎)


  こんな問題を抱えているよこんな悩みがあるよ、という方のメッセージをお待ちしています!

その他にも、マスターヨーダに是非聞いてみたい質問やアドバイス、応援メッセージも大募集しています! マスターはすべての書き込みに目を通してますよ!


マスターヨーダの喫茶室シリーズ
次回記事は9月10日(土)公開予定です

山田隆弘(ようだたかひろ)
1960年生まれ。姓は、珍しい読み方で「ようだ」と読みます。この呼び名は人名辞典などにもきちんと載っています。名前だけで目立ってしまいます。
公立小学校で37年間教職につき、管理職なども務め退職した後、再任用教職員として、教科指導、教育相談、初任者指導などにあたっています。
現職教員時代は、民間教育サークルでたくさんの人と出会い、さまざまな分野を学びました。
また、現職研修で大学院で教育経営学を学び、学級経営論や校内研究論などをまとめたり、教育月刊誌などで授業実践を発表したりしてきました。
『楽しく教員を続けていく』ということをライフワークにしています。
ここ数年ボランティアで、教員採用試験や管理職選考試験に挑む人たちを支援しています。興味のあるものが多岐にわたり、さまざまな資格にも挑戦しているところです。

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