朝から1日ワクワクドキドキ!『今日の福引き』【子供同士をつなぐ1年生の特別活動】④
1年生の子供たちは、初めて集団活動を体験します。主体的・対話的な態度を育てるとともに、子供同士をつなぎ、よりよい人間関係を築きましょう。この連載では、『日常アレンジ大全』(明治図書出版)や『教室ギア55』(東洋館出版社)などのヒット著者の鈴木優太先生が、小1「特別活動」のさまざまなアイデアを紹介していきます。
第4回は、楽しみながら子供たちの絆が深まる『今日の福引き』を取り上げます。
鈴木優太(すずき・ゆうた)●宮城県公立小学校教諭。1985年宮城県生まれ。「縁太(えんた)会」を主宰する。『教室ギア55』(東洋館出版社)、『日常アレンジ大全』(明治図書)など、著書多数。
目次
『今日の福引き』を毎日開催する
学習ゲームや人間関係づくりにつながるアクティビティ、アイスブレイク、レクを「絆ゲーム」と総称し、教室で取り組んでいます。
子供たちは、「絆ゲーム」が大好きです。
それは、学力を育み、気持ちよく集団生活していくための価値を実感でき、級友との絆を深めることができるからですが、「楽しいこと」が子供たちは何よりも大好きなのです。
『紅白福引きBOX』を作成し(作り方は後述)、朝の会や帰りの会で「絆ゲーム」に毎日取り組むと…あら不思議! 主体的な子供たちに育っていきます。
朝の会(帰りの会でも可)で、『今日の福引き』をコーナー化しましょう。
日直が『紅白福引きBOX』からピンポン玉を引き、書かれた数字と対応する「絆ゲーム」に、学級全員で取り組みます。
「今日は何が出るかな?」――ワクワクドキドキしながら今日の主役の日直に熱い視線が集まります。
日直と全員のコール&レスポンスが、学級の一体感を演出します。
日直:今日の福引き!
全員:今日の福引き!
日直:25番!
全員:25番!
日直:星2つ!
全員:ヨー! パン・パン(星の数だけ手拍子をする)
日直:10までいくつ5回!
(全員が「10までいくつ」に5回取り組む)
※星の数の解説は後述
『紅白福引きBOX』の作り方
①赤と白の「2つ」の箱(B5サイズ程度)を貼り付け、それぞれの上部に直径10cmの穴を開ける。
②30人学級の場合、1~30まで番号を書いたピンポン玉を入れる。
③1~30の「絆ゲーム」(30秒程度でできるゲーム)のリストを箱に貼る。
※ピンポン玉の数字は「絆ゲーム」のお題番号を表す。
※「絆ゲーム」の例:「10までいくつ」「マネしてビート」など
「紅白福引きBOX」の効能
ピンポン玉は、箱の中でガラガラという乾いた音が心地良く、子供の手の平にちょうど良い大きさのため、思わず引きたくなる魅力があります。
赤と白の2つの部屋に区切られているため、赤から引いたピンポン玉を白へ、赤が空っぽになったら白から赤へと使用できます。ピンポン玉の置き場所に困ることがないのです。さらに、後述する授業場面での活用において絶大な効果を発揮します。
「絆ゲーム」のリストは、子供たちの実態やねらいに合わせて作成しますが…何が当たるかは福引きの神様のみぞ知るです。3日同じ「絆ゲーム」が連続するドラマが起きたこともあります(笑)
ですから、あまり考え過ぎずに、このサイトで紹介されている学習ゲームやレクを特集した過去記事を参考に、とにかく楽しそうなものを片っ端からやってみることがおすすめです。子供たちからも、アイデアを募ってみましょう。
ただし、朝の会で行う際には1時間目の授業時間に食い込んでしまうこと、帰りの会で行う際には下校時間が遅くなってしまうことには注意が必要です。
そのため、「30~60秒程度でできる絆ゲーム」にすることがポイントです。
それぞれの「絆ゲーム」には1~3の星の数を設定します。星の数は「関わり合いの大きさ」を数値化した遊び心です。星3つが出ると感嘆の声が上がり、異様な盛り上がりに包まれます。
「絆ゲーム」のリストは、日直が1~2周したら更新します。
福引きや絆ゲームをたっぷり経験した子供たちは、係活動や集会活動にアイデアを伝播させていきます。
『紅白福引きBOX』は、授業でも大活躍
授業中の「ランダム指名」でも大活躍します。朝の会だけでなく、実は、授業で活用することが『紅白福引きBOX』を教室に投入する真の目的です。
『紅白福引きBOX』のピンポン玉に記載されている番号は、出席番号とも対応しています。
赤の部屋から引いたピンポン玉を白の部屋へと使用すると、同じ番号を連続して引くことがありません。そのため、1日を通して全員を「ランダム指名」することだってできます。持ち運びもできるので、特別教室や体育館、校庭でも教室と同じように使用することができます。
挙手をした一部の子供と先生だけで進む授業ではなく、「ランダム指名」で誰にでも発言や発表の機会が巡ってくる全員参加の授業が望ましいのです。
朝や帰りの会で『今日の福引き』をコーナー化することで、楽しさを下地に無条件に全員参加する「文化」が学級に育まれます。
ドキドキワクワクできる楽しさを下地とした「心地良い緊張感」の中で、「誰が当たっても発表できるように学び合う」ことが当たり前になると、主体的に学ぶ子供たちが育っていきます。
参照/ 鈴木優太『教室ギア55』(東洋館出版社)、鈴木優太『日常アレンジ大全』(明治図書)
イラスト/高橋正輝