【相談募集中】生徒の暴言に負けてしまいそうな自分がいます

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兵庫県公立小学校教頭

関田聖和

「生徒の暴言に気持ちがプツンと切れてしまいそうです」と、深刻な相談が「みん教相談室」に寄せられました。兵庫県公立小学校教頭で公認心理師、特別支援教育士スーパーバイザーの関田聖和先生は「専手必笑」というフレーズを挙げ、自身の経験をふまえた声かけなどをアドバイスしました。その内容をこちらでシェアします。

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写真AC

特別支援学校高等部で高校3年生の担任をしています。学級に軽度知的障害、発達障害の生徒がいます。家庭環境が複雑なこともあり、対人関係が上手く築けず、友達教師関係なく、周囲への暴言、物に当たる等の言動が見られます。

嫌なことや避けたい活動があると、黙って教室を飛び出します。先日も飛び出しがあり、指導していたところ、暴言、物を投げる等して、「役立たずな担任はいらない」「口だけのくせに」等、言われました。

暴言を吐きながら、こちらがどこまで許すのか、どんな反応をするのか確かめているような気もします。

また、他の生徒の対応をしていると、不機嫌になったりわざと不適切な言動をして気を引こうとしたりします。「私だけを見て!」という気持ちがあるように思います。生育歴や家庭環境を考えると仕方がないと思いつつも、暴言に傷つく自分もいます。

その生徒が言う通り、教師に向いていないのかもしれない、必要とされていないのかもしれない、本当に関わりを持ちたくないのかもしれない、とも思います。自分なりに、真摯に向き合い、対応してきたつもりです。

ですが、このままだと自分の気持ちがプツンと切れてしまいそうです。生徒の発言をどのように捉え、どう割り切ればよいのでしょうか。


(りん先生・30代女性)

「身体は大きくても子ども」と認識して、常に笑顔で接しましょう

日々奮闘、お疲れ様です。 私は小学校勤務ですが、今、どこの小学校でも似たようなことが大なり小なり起こっているので、具体的な様子が目に浮かびます。

そのなかで、りん先生が生徒の卒業を目前にした今、心の葛藤をこのような形で表せていることは非常に大事なことで、同じような境遇の先生方へのヒントになったり、心の支えになったりすることでしょう。勇気ある言動に拍手を送ります。

私は、「『身体は大きくても、子どもなんだ』という意識を必ずどこかにおいて、指導をしてくださいね」 と教職員へお伝えしています。小学生であっても、私より大きい子どももいます。ついつい大人と同じような感覚で話をしてしまうことがあります。

言葉のやり取りのなかで子どもが言葉を知らなかったり、マナーを知らなかったりすることで、こちらの感情がイライラすることがあります。そのようなときに「身体は大きくても、子どもなんだ」と意識することで、イライラも小さくなります。

この生徒さんは、りん先生のことが大好きなんですね。けれど、言葉や態度で表現できず、つい、すぐに気を引いてもらうことのできる不適切な(悪い)言動を見せるのかなと想像します。

それらを目にした りん先生はイライラしてしまう。これらの行動はごく自然なことです。なぜならば、人間の脳は自分にとって不快なこと、危険なことに敏感に反応するように扁桃体に仕組まれているからです。

これはこれで正常な反応なので、仕方がないともいえます。だから生徒の暴言で教師が傷ついてしまうことも、悲しいかな現実ではあることです。

さて、一日中生活を共にしていると、何気ない当たり前の行動を目にしませんか。例えば、小学校の場合ですと以下のようなことです。

  • あいさつをする
  • 連絡ノートを提出する
  • 決められた時間(休み時間)を適切な行動で過ごす
  • 目の前の課題に取り組もうとする
  • 給食を食べる
  • 帰る用意をする

このように、当たり前にしている行動を短くほめたり、認めたりすることを増やします。小さなプラスを声に出したり、視覚化(ごほうびスタンプ、ごほうびシールなど)したりするのです。

黙って教室を飛び出すということもありますが、飛び出してからの指導ではなく、飛び出す前にしていた小さな行動を認めます。

「落ち着いて座っているね」
「今、口を閉じているね」

と、状態を認めます。これを笑顔で言うと、ほめてもらっているように感じます。「えらいね」「すごいね」と言わなくても、先生の笑顔、先生のまなざしがあなたを受け入れているよというメッセージとして伝わることでしょう。

暴言もあるとのことですが、以前、私はこんなことをよくしていました。

「そんな言い方はしなくていいよ。『こんな課題、無理』っていうところを、『先生、この課題難しいです。どうしたらいいですか』と言ってごらん」

と笑顔でゆっくりと話しかけます。ときには少し崩した言い方で話します。

「そんな言い方無理!」と言いつつも、先生が頭ごなしに怒らずに笑顔でいるので、次第にこうした暴言が減っていきます。

つまり、子どもが言った言葉を字義通りに教師が受け取らないようにするのです。また、指導というよりかはたしなめる感じです。たとえて言えば、温和なおばあさんが孫をしつけるように「はいはい、そのようなときはこう言うんだよ……」みたいなイメージです。

実際に、問題の多かった小学校で、何が起こってもまず笑顔で接し、「どないしたん?」と聞くことを全教職員で取り組んだ事例を教えてもらったことがあります。結果、問題行動は減少し、子どもたちの笑顔も増えていったそうです。

暴言や不適切な行動で気を引くというのも、これは先生が大好きな証拠です。その生徒は「こっち向いて!」と言いたいのですが、言葉が出ないのだと感じます。

こちらも起こった出来事をそのまま受け止めるのではなく、

「どうしてこんなことをしたのかな?」
「何がきっかけかな?」
「この行動を取った後、どうしたのかな?」

などと、想像してみませんか。この思考を繰り返すことで習慣になり、子どもを見るくせにもなります。これはどの教師であっても、身につけてほしいスキルだと私は考えています。また、考えている間がアンガーマネージメントにもなり、一石二鳥です。

ただし、子どもが見せる心の在り様は受け入れますが、不適切な行動は認めません。私は「認めないから叱る」、「認めないから指導する」ことはしませんでした。笑顔で「本当の君は、そんな君じゃないよね」というメッセージを伝え続けました。言葉でなくてもいいです。悲しそうな顔を見せることでもいいでしょう。

高校3年生なので時間がかかることは避けたいですが、長い人生からこの瞬間を捉えてみてはいかがでしょうか。教師だって神様仏様ではありません。一度の指導で「はい、完璧!」なんてものはありませんから。

特別支援学校なので難しいかもしれませんが、教室から飛び出してもすぐには追わないことです。追うふりを見せずに少し先回りして待っていて、「あらっ! 久しぶり」と、笑顔で見つけられたら最高ですね。

また、リフレーミングという言葉もあります。本来の言葉の意味から少し違った角度で意味を捉えてみます。残酷な言葉を使っていたとしても、その子どもにとっては、あいさつを意味することもあります。言葉を知らなかったり、今までの成育歴から、一般的な言葉を使うことが恥ずかしかったりして使えないこともあります。

いくつか専門的な言葉も用いましたが、私は「教師の専門性を活かした手立てで、必ず笑顔で指導する」ことをモットーにしています。略して「専手必笑」です。

行動のきっかけが変わるように場を変えたり、不適切な行動につながるものを見せなかったり、と少し先手を打つような手立てもできます。もちろんそれは、子どもの数だけ手立てがあります。文字通り、先手の千手です。

専門的な知識を得ることも必要でしょう。同僚や先輩に相談にのってもらったり、著書にあたったりすることもいいかもしれません。そのようなやり取りのなかできっと、りん先生に合ったヒントが見つかることでしょう。

応援しています!


みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。

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