特別支援教育の視点を用いた子供の居場所づくり
「すぐに手が出る子供」や「話の途中で口をはさむ子供」への配慮の仕方、座席の工夫など、特別支援教育の視点を用いた子供の居場所づくりについて解説します。
執筆/福岡県公立小学校教諭・二田水祐倫
目次
座席の配置
ASD(自閉症スペクトラム症)やADHD(注意欠如多動症)の子供の座席配置を考える場合には、
- 他の子供から過剰な注意をされないで済むような席
- 対象の子供のつまずきを周りの子供たちが気にならないような席
などの配慮をしてみましょう。一概にこの通りとは言えないケースもありますが、子供の特性から配慮できることはあります。
チェックシートの活用
発達障害の子供は、自分の行動を客観視できません。そこで、チェック項目を設け、その日の自分の行動を振り返るようにします。
小さな成功を褒める
問題行動をとる子供も褒めることで、子供も自尊感情が高まります。
すぐに手が出る子供への配慮
事後指導も必要ですが、それよりも、まずは子供と事前にルールを決めておきましょう。
例えば、いらいらしたときは、
- いったんその場を離れる。
- お茶や水を飲む。
- 柔らかいボールを握る。
- 6秒間待つ。
など個に応じた方法をとることを教えておくことが大事です。それでも難しい場合は、次のように対処します。
- 何より先に危険回避をする。それ以上被害が大きくならないように、教師が間に割って入る。
- 落ち着かせる。この場合、気持ちが高まり、話を聞けない状況になっているケースもあるので、別室などでクールダウンさせることも有効。
- 落ち着いたら、手を出したことについて謝らせる。ただし、一方的に謝らせるのではなく、なぜそうなったのか、事情も必ず聞く。
- 何があっても暴力はいけないことを指導する。
※注意点
- 時間が経ってしまってからの指導は入りにくいので、何かが起きたその日のうちに対応をする。
- 長々と話をしない。長くなればなるほど、子供の耳には入りにくくなり、逆にイライラさせることになる。
- 行為を否定するが、人格を否定しない。言い方によっては、子供との信頼関係を失うことにもなる。
話の途中で口をはさむ子供への配慮
発言のルールを徹底しておきます。年度はじめに、学級の中で「人の話は黙って最後まで聞く」というルールをつくります。何か言いたいことがあるときは、
- 黙って挙手をする。もしくは、「はい」と1回言って挙手をする。
- 先生から指名される。
- 発言する。
もしこのルールが守れないときには、「どんなきまりだったかな」と学級全体で確認します。
ルールが守れずにしゃべり出す子供がいても、それを聞いてしまうとルールの徹底にならないので注意しましょう。
学校全体で支援する
校内における発達障害児の支援は、校内委員会が中心となって行っていきます。運営の中心を担うのは、【特別支援教育コーディネーター】です。
担任の先生は、自分1人で抱え込むことなくみんなで考えていくことを大切にしましょう。
イラスト/北澤良枝
『教育技術 小五小六』2020年7/8月号より