子どもたちが個人目標を達成できるようにする、二学期はじめの手立てとは?
学級経営・特別活動を長年、研究・実践してきた稲垣孝章先生が、教育現場で見て気になったことについて、ズバリと切り込みます。 今回は、子どもたち一人ひとりが設定している個人目標について、9月に新たな気持ちでリスタートを切るこの時期にあわせて、どのような手立てを講じれば、目標を達成しようという意識を持つことができるか、考えてみましょう。
文・稲垣孝章(元・埼玉県東松山市立公立小学校校長)
目次
目標は長期的に
2期制、3期制の制度は異なっても、長い夏休み後の子どもへの指導は難しいものです。子どもたち一人ひとりが新たな気持ちで9月のスタートを切ることができるように、各自の目標設定に取り組む際、どのような手立てを講じていますか。
基本的には、学級目標の実現に向けて、「徳育・知育・体育」の3項目で、具体的な個人目標を設定していると思います。その際、次のような視点で段階を踏んで取り組むと、子どもたちは目標を達成しようとする意思を貫きやすくなります。
①やれそうだ、という「現実的な目標」を立てる
②「具体的な行動目標」を立てる
③長期目標を立て、「段階的な目標」をもつ
④「楽しみ」を取り入れる
⑤成功するここちよさ、「達成感」を味わう
⑥成功体験を「イメージ」として蓄積する
具体的には、以下のようになるでしょう。
①の「現実的な目標」では、まず個々の実態に即した実現可能な目標を設定することが前提となります。
②の「具体的な行動目標」では、数値目標を設定し、具体的な行動として、できたかどうかが明確に判断できる目標にします。
③の「段階的な目標」は、目標内容に応じて設定することになります。例えば、12月に縄跳びの二重跳びを30回達成するために、9月中に5回、10 月には10回などと、段階的に目標を設定します。目標内容によっては、1か月後の達成に向けて、1週間ごとの目標を設定することもあります。
④の「楽しみ」を取り入れることについては、自分の好きなキャラクターを盛り込んだ縄跳びカードなどを作成し、自分なりの楽しみを取り入れながら挑戦する方法なども考えられます。
⑤の「達成感」は、段階的な目標を達成したら、好きなシールを貼るなどして、達成したことを視覚的にもわかるようにして達成感を味わうようにする方法があります。
⑥の成功体験の「イメージ」の蓄積については、段階的に達成できた項目についてひとこと感想などを書きながら、目標の達成に向けて挑戦する方法も考えられます。
学級目標の実現を目指した取り組み
上記のように、個々の子どもの個人目標については、達成できたかどうか判断しやすい内容として設定します。しかし、例えば「やさしい子」という学級目標は、「達成」という視点ではなく、その「実現」に向けて、集団として取り組む指標のようなものです。したがって、集団として実現できたかどうか判断することは難しいので、個々の個人目標の達成状況を踏まえた上で実現状況を判断することになります。あくまでも、個が集団に埋没することなく、個を生かす集団活動を展開できるようにすることが基盤となります。
小一~小六教育技術』2014年4月号~2016年2/3月号連載「正襟危座--伝えたい--耳に痛いかもしれないけれど、教室で大切な基礎基本」より