タイムカプセルの学校保管は何が問題か?
学級経営・特別活動を長年、研究・実践してきた稲垣孝章先生が、教育現場で見て気になったことについて、ズバリと切り込みます。
文・稲垣孝章(元・埼玉県東松山市立公立小学校校長)
目次
8年後、タイムカプセルは誰が管理してる?
ある学校を訪問した時、校長室に仰々しい箱があり、そこには「○年度卒業生タイムカプセル」と書いてありました。よく見ると、その卒業生が20歳になった時に箱を開封するように記してありました。意外に、このような風習が学校にはあるのかもしれません。
しかし、6年生が卒業して20歳に来校するとなれば、8年後です。おそらく、一般的には、8年後、その学校に在職している職員はほとんどいないはずです。卒業生が20歳になって来校する際には、その学校に在職していない元担任が来て対応することになります。もし、元担任が何らかの都合で来校できない時は、どうするのでしょうか。
一見、子どもたちの思い出を大切にしている風習のようですが、様々な条件を考慮した時、タイムカプセルの学校保管は望ましくないことを、管理職並びに担任教師は、本来、指導する役割があるのだと思います。
保護者が失望する文集にならないように…
5年生の保護者から、文集づくりについて次のような話がありました。
「○○先生は、とても熱心で、年度末に子どもたちの文集を作ってくださり、感謝しています。しかし、我が子の作文を見ると、漢字や言葉遣いの間違いがとても多く、できた文集を見て恥ずかしくなり、情けなくなりました」
文集づくりは、子どもたち、保護者にとってよい思い出となり、生涯の宝物ともなるものでもあります。だからこそ、忙しい中であっても誤字脱字だけでなく、 人権教育上の問題や掲載事項の平等性等についても、細部にわたりチェックし、推敲することが求められるのです。推敲に当たっては、まず、本人が推敲できる ように推敲の視点を示したり、保護者に再確認としての推敲の協力を依頼したりすることも大切な手立ての一つです。
『小一~小六教育技術』2014年4月号~2016年2/3月号連載「正襟危座--伝えたい--耳に痛いかもしれないけれど、教室で大切な基礎基本」より