クラスにリーダーは必要か?

学級経営・特別活動を長年、研究・実践してきた稲垣孝章先生が、教育現場で見て気になったことについて、ズバリと切り込みます。
文/稲垣孝章(元・埼玉県公立小学校校長)

目次
誰もが活躍できる「場面リーダー制」を
あるベテラン教師が、職員室に入って来るなり、次のような愚痴をこぼしました。
「私のクラスには、リーダーがいなくてクラスがまとまらないわ。クラスをまとめる優秀な子もいないし、まったく大変なのよね」
この言葉を聞いた研究熱心な若手の先生は、違和感を抱いたそうです。それは、所属する研究会で次のように指導を受けていたからです。
「小学校段階で、クラスに特定のリーダーは不要です。大切なことは、どの子にもリーダーシップを発揮できる場を設け、活躍の場を与え、支え合う集団をつくることです」
誰もが活躍できるような支持的な学級集団をつくることを基盤として、「場面リーダー制」の考え方を取り入れていくことが、今まさに求められている教育なのです。
そのグループ学習は学び合いになっているか
若い先生が理科の実験の授業をグループ学習で行っている様子を見て、気になりました。
あるグループでは、一部の子どもが実験を行い、他の子どもに指示をして、その結果を全員が同じようにメモするというものでした。一見、活発に学習しているようであっても、個々の子どもの学習は保障されていませんし、学び合いの学習にはほど遠い授業でした。
本来、グループ学習は、教師の一斉指導よりも高度な学習です。教師がしっかり指導しないと、理解の速い子が遅い子に一方的に教え込んだり、一部の子だけの学習の場となったりしてしまいます。本当の学び合いの場とするためには、教師がグループ学習のねらいや役割分担、学習の手順や方法等を明確にすることが前提となります。