小島よしおの「小学生をひきつけるワザ」と心を鍛えるエクササイズ
小島よしおさんと言えば、コロナ禍の最中に開校したユーチューブの授業動画「おっぱっぴー小学校」が大きな話題! 全国の小学生からラブコールが絶えないといいます。以前から子ども向けお笑いライブなど子どもを意識した活動を行ってきた小島さんに、子どもの心をひきつける技、さらに心を強くするためのエクササイズを教えてもらいました。
(『小一教育技術』2017年9月号の内容を、再構成しています)
小島よしお●1980年11月16日生まれ、O型。早稲田大学教育学部国語国文学科卒業。大学在学中に、お笑いサークル「WAGE」に出合い、お笑いの道へ。海パン一丁でのネタ「そんなの関係ねぇ!」が大ブレイクし、今では子ども向けお笑いライブを年間100本以上行い、子どもたちの人気者に! 小島よしおのおっぱっぴーチャンネルにて配信中の小学生向け授業動画「おっぱっぴー小学校」がコロナ禍の中、大きな話題に。
目次
『武器』は作り出すのではなく、すでに自分の中にある
小島 こう見えて僕は、テンパりやすく、心が弱いタイプだと思っています。だからこそ、子どもの頃から好きな読書を通じていろいろな理論を学んだり、海パン一丁でネタをすることで、自分のテンションを上げたりしてるんです。
それに裸になることで、子どもたちとのコミュニケーションが取りやすいなと感じています。それは僕自身が子どもに対して心を開きやすくなったということが大きいと思います。
―そもそも海パン姿が、小島さんの武器となったのはなぜでしょう。
小島 ピン芸人として、自分のキャラを模索していたとき、タンスの奥にあった海パンをたまたま見つけたんです。そして軽い気持ちで履いてみただけ。特に何か特別に考えたものでもなんでもなく、もともと自分が持っていた海パンと、普段から鍛えていた筋肉が、僕の武器になりました。
―先生方の中にも、自分の武器を模索している人がいると思うのですが…。
小島 子どもの心を惹きつけるためには、自分の武器を持つことは大切ですよね。でも僕自身が、もともと持っていた海パンと筋肉が武器になったように、皆すでに自分の中にあると思うんです。
高校時代ですが、印象に残る先生がいます。ゾンビ映画がすごく好きな社会科の先生で、授業中だけど映画の話もしたりして、すごく人気がありました。自分の興味があることを熱をもって話す先生って、すごく面白いですよね。
そしてそれがその人の特徴となり武器になる! 逆に自分はあまり興味ないのに、子どもが興味ありそうなものを無理やり覚えたものは、多分なんにも伝わらないんじゃないかなとも思います。でもちょっとだけ、話の入り口に気をつけるとか、工夫は必要ですね。
例えば、健康食にこだわっていたら「徳川家康と言えば、すごく健康に気をつかっていたと言われているけど~」と、歴史上の人物を話のきっかけにしたり。
そうすれば、子どもたちも話に入ってきやすいと思うし、先生の熱が伝わって『健康食の先生』という特徴を武器にできるのではないかと思いますね。
『色』で個性を出して、子どもとの距離を縮めよう
―なかには、自分の趣味や特技が特に思いつかない、子どもたちにうまく話せないという先生方もいると思うのですが。
小島 そんな先生方は、無理して趣味をつくったり、うまく話そうとしてスベって惨事になるよりは、わかりやすく外見で特徴づけるといいでしょう。でもさすがに僕みたいに、海パン一丁というワケにはいかないと思いますが(苦笑)。
人は薄着であればあるほど、気持ちがリラックスして陽気になるような気がするので、一年中半袖短パンというのもいいかもしれません。また、芸能界でキャラ付けをしようとするときによくやるのが、髪型やメガネ、小物や洋服に特徴のある『色』を使うこと。自分でも恥ずかしくない程度の『色』でいいと思います。
そうすれば、子どもたちが勝手に『青シャツ先生』とか『赤メガネ先生』とかニックネームをつけてくれて、それが自分の特徴になって、キャラという武器になっていくと思いますよ。
何度もトライして、自分にピッタリの術を探してみよう
―今やライフワークと言っても過言ではなく、子ども向けお笑いライブは、年間100本以上開催し、毎回大盛況です。
小島 子ども向けお笑いライブをし始めて、子どもって本当にマニュアルがないなと、つくづく思います。それにとにかくあまのじゃくで、「ダメ」というとやりたがる。僕はそれを逆に利用しています。お尻を触ってほしいときに「お尻触るなよ」と言ったり、静かにしてほしいときに「静かにするのは無理だろうなぁ」と言ったり。これ、意外と効きます。
また、子どもはツッコミが好き! ライブ会場で『バナナを探すゲーム』をした時のことです。前もって海パンの後ろにバナナを隠しておいて、「バナナを探してね」と言って後ろを向く。そうすると、子どもたちが「よしお、後ろ後ろ」とツッコんでくれて、盛り上がりました。
言葉の言い間違いもよくします。「しょういち」を「しゅういち」と言うような、簡単すぎるぐらいがちょうどいい。ツッコミは、子どもたちの注意力や語彙力を自然に養えると思います。
また、子どもの集中力は1時間が限度と言われていますから、授業などで飽きてくる頃を見計らって、ツッコミを入れさせる何かをやってみたり…。気分転換にもなるし、場も盛り上がって一石二鳥ですね。
思えば僕は、挑戦と失敗を繰り返してきました。どんなネタも1回出してみないと、ウケるかどうか分からない。子どもと向き合う術もそうだと思います。他の先生が成功していることでも、自分が成功するかは分からないですし、逆に他の先生が失敗したことでも、自分がやったら成功することもある。
例えば『そんなの関係ねぇ』を、僕以外の人がやってウケるかどうかっていう話と同じです。他人の成功は他人の成功なので、自分に合う術を見つけるため、とにかく『トライアル&エラー』。僕も常に自分に言い聞かせています。
心身ともに強くなるために、体を鍛えよう
―海パン一丁のネタをし始めてから、大きな変化があったと言う、小島さん。
小島 僕だって(当たり前ですが)、普段は服を着て生活しています。すると裸でネタをやっているときより、人と会ったり話したりするのがおっくうになる。
これは僕の想像なんですけど、人は太古の時代に、本来の姿が裸であることがDNAに記憶されていて、それから人口が増えていく中で、服を身につけていくようになって、その過程で戦争など大きな争いが起きているから、服を着ることで勝手に防衛本能が働くようになっているんじゃないかと……。
だから裸のほうが自分を包み隠すことなくさらけ出せ、心が解放されていくのではないかと感じています。 また、裸でネタをやり始めてから、仕事を休むほどの大きな病気にかかっていません。
思えば小学生の頃も半袖短パンで、どんなに寒い冬でもどろんこになって外で遊んでいました。それでも風邪をひかない! 自然と筋肉と免疫力がついていたのでしょう。
―筋肉をつけるために体を動かすことは、脳の活性化にも効果的だと言います。
小島 僕は走ると、いつも脳が活性化している実感があります。体を動かすと、心臓からの血液量が増え、脳の状態がベストになるし、ドーパミンが分泌されて気持ちが前向きになります。
そこで走る時間がない人でも、簡単にできるエクササイズを考案しました。1日少しずつでいいのでやってみませんか。失敗なんて気にしない心も鍛えられるでしょう。
実践編|体を鍛えて、心も強くなろう
授業の合間に職員室やクラスでレッツトライ!体をほぐせば、ココロが軽くなることまちがいナシ。
子どもたちとやってみよう♪「ロケット体操」
人の動作の肝となるのは、肩甲骨と股関節! この部位が固いと、血流が悪くなりコリや痛み、むくみの原因になります。この部位をしっかり動かせるのが、ロケット体操です。
STEP1
両手で頭を抱えるように添えて、できるだけ腰を落とす。ひざが内側に入らないように気をつけながら!
STEP2
力を溜めながらカウントダウンをして、「GO」のタイミングで、思いっきり両手両足を伸ばしましょう。
職員室や教室で座りながら「イスササイズ」
トレーニングをする時間がなくても、イスに座ったまま、少しの時間でできるので、気楽にやってみてほしい。20回1セットで、1~3セットを目安にやってみてください。
【腹筋】体幹を安定させて、代謝と血流がアップ! 腰痛や冷え予防にも最適‼
STEP1
片側の脚を外にまっすぐ伸ばして、反対側の腕を真逆に伸ばします。右腕のときは左脚、左腕のときは右脚。
STEP2
腕のひじと反対側の脚のひざが引き合うように、ゆっくりと腹筋を縮めましょう。
【腹斜筋】お腹の横にあるこの筋肉はコルセットのような役目を持ち、内臓を守ってくれる!!
STEP
姿勢をまっすぐ伸ばし、両ひじを肩の高さまで上げる。脇腹あたりの筋肉を意識しながら、ゆっくりと体を斜め前に曲げます。同様に、反対側も!
【広背筋】体の中で特に大きな筋肉で、鍛えると代謝が上がるし、姿勢も良くなる!!
STEP1
まずは、イスには深く腰をかけ、背筋を伸ばします。リラックスした状態で、両ひじを肩より高く上げてください。
STEP2
肩より高く上げた両ひじを、腕の力ではなく、背中の筋肉が縮むことで下がっていくことを意識しましょう。
▼「教育技術小五小六 2020年9月号」に最新インタビュー掲載予定!
「教育技術小五小六 2020年9月号」(小学館発行/2020年8月15日発売予定)では、小島よしおさんのスペシャルインタビューを掲載。ユーチューブチャンネルの学習動画を作るきっかけや醍醐味に触れ、年間100本行う子ども向けライブから学んだ、子どもとの距離感などを本誌で紹介します。
そのほかの詳細については事務所HPまたは、ブログ「コジログ」をご覧ください。
▼小島さんの著書
YouTubeで計100万回再生!時計のよみかたを楽しく学べる人気動画がドリルに。
「小島よしおのとけいドリル」
発行/ワニブックス
まえから読むと「べろ」の本。うしろから読むと「うんち」の本。オリジナルの歌つき絵本。
「べろべろぶりぶり」
発行/ワニブックス
子どもと向き合う極意や、エクササイズのメニューなどがぎっしりつまった教師必読の一冊。
「キッズのココロわしづかみ術」
発行/主婦と生活社
撮影/五十嵐美弥 構成・文/綱島深雪
『小一教育技術』2017年9月号より