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SNS時代の子どもに伝えたい、リアルなメディアリテラシー

2019/4/20

小学生のスマホ保有率も高まる中、LINEいじめ、SNS疲れ、フェイクニュースに触れる機会も低年齢化しています。ネットに接続する時間も増えがちなゴールデンウィークを前に、メディアリテラシー教育について専門家である津田大介さんにおうかがいしました。 ぜひ、子どもやおうちの方へも伝えてください!

津田大介さん近影
津田大介さん 撮影/五十嵐美弥

メディア リテラシーとは・・・
コンピューターネットワーク・テレビ・音楽・映画・出版物などさまざまなメディアが伝える価値観・イデオロギーなどをうのみにせず、主体的に解読する力をつけること。 『デジタル大辞泉』(小学館)より

メディアリテラシーは教科書では教えられない!?

僕自身、発起人である「インターネットユーザー協会」の活動を通じ、普段からメディアリテラシー向上のためのお手伝いをしていますが、実際、メディアリテラシーを教科書で教えることは難しいと感じています。なぜなら、コミュニケーションツールは常に進化をし続ける一方、教科書は検定制度があるので世に出るまで3~4年のラグが生じるからです。例えば、今は短い動画を共有するアプリ「TikTok(ティックトック)」が若者を中心に人気ですが、半年前には話題にしている人などいませんでした。今のところその部分を補足するのは、各先生の裁量にかかっているとも言えます。

ネットと現実の社会は「変わらない」と考えるべき

僕が先生方に対して、子どもたちに伝えてほしいと思っていることは“ネットの社会と現実の社会は実はまったく変わらないと考えてほしい”ということです。例えば、子どもたちはクラスの友達に面と向かって侮辱的な言葉を言うことは、あまりしないと思います。ところが、ネット上では、物理的な衝突もなく、匿名性があるため、そのような発言をすることのハードルが一気に下がってしまうということが起こります。
しかし、ここが落とし穴です。
ネットの世界では、匿名性があるように見え、実は誰がどこから発信しているのか、簡単に辿ることができるのです。例えば、いじめについて。これまでは学校というクローズドなコミュニティの中で、外部の人間がいじめを把握することは極めて困難でした。しかし、最近ではいじめの原因はほとんどの場合「LINE(ライン)」から特定できるようになっています。仲間外れになりたくなくて嫌々いじめのグループに参加しているような子から、「LINE」のログが親や探偵、学校へと漏れて判明するというケースが多くなっているのです。こうしたいじめの実態を子どもたちに伝えるかどうかは別として、ネットで行っていることは、実はすべて記録されていて、問題が生じた時にはむしろ強力な証拠になる、ということは子どもたちにも知らせておくべきでしょう。友達に対しても、面と向かって言えないような内容は書かない、という意識を徹底させることが、トラブルを防ぎます。

情報を発信する際は、それが正しい情報かを確認すべき

今世界的に問題になっている「フェイクニュース」については、知っている子も多いと思います。自分が情報を発信する際には、その内容が正しいかどうかをチェックする必要があることは伝えましょう。「Twitter(ツイッター)」などの手軽なツールでは特に、流れてきた情報をそのままリツイートすることで、情報汚染があっという間に広まってしまうことがあります。最低限のマナーとして、ネットで得た情報や個人の憶測をそのままネットに流してしまうというようなことは、避けなくてはなりません。

ネットは「話を盛りがちな友人」である

ネット上ではよく“新聞やテレビは嘘ばかり。真実はネットにある”というような論調を見かけます。しかし、これは冷静に考えれば間違いであると理解できるはずです。新聞やテレビにもまれに誤報はあるものの、間違いが起こらないよう、大勢の人たちが内容をチェックしています。一方で、ネットには、思い込みやうろ覚えのあやふやな内容が他者によるチェックもなく世の中へ流れ出ているのです。どちらが誤情報が流れる確率が高いかを考えれば、答えは明白ですね。しかし、今の子どもたちが新聞とテレビのみから情報を得ることを前提に、話を進めるのは現実的ではありませんし、ネットにはマスメディアにはない速報性、災害時の強さなど、リスクを差し引いても余りあるメリットがあります。
そこで、ネット上の情報とうまく付き合っていくために、信用度の測り方を教えてあげてほしいと思います。まず、“誰が発信しているのか”は重要な視点です
。ある程度知名度のある人、メディアに出ているような人ならば、自分の発言に一定の責任が伴うので、信用度は比較的高いといえます(間違いもありますが・・・)。一方で、どこの誰だかわからないような人が流している情報ならば、その時点で半分は嘘かもしれないと疑いの目を持ちましょう。さらに、それが、テレビや新聞も報じず、誰からも聞いたことのないような内容ならば、その信憑性はかなり低いと見積もっていいでしょう。僕はよく、ネットを“話を盛りがちな友人”に喩えます。面白おかしくするために大げさに話すという意味です。ネットとはそういう心構えで、上手に付き合っていけばよいでしょう。

ネットで書かれていること=世論ではない

まとめサイトやネットのコメント欄には否定的な意見が多いものです。しかし、仮に100あるコメントの中の80が否定的なものであれ、それは100人中80人の意見ではないと考えられます。なぜなら、ネットはネガティブな意見の方が反応が得られやすく、総じてポジティブよりネガティブな意見の方が多く書き込まれるからです。ネットから目に入ってくるネガティブな意見の何十倍も、書き込まれていないポジティブな意見があるという認識が必要です。<ネットで書かれていること>=<世論の反映>ではないのだと、教える必要があります。実際、ドイツでは、中学一年生で、世論調査の読み解き方を学び、報道の効果や意図を教えています。アメリカでは、小学生にテレビ番組を作らせて、表現によって人の印象を良くも悪くも操作できることを学ばせています。“初耳の情報は疑う”“正しく自分で判断できるものさしを作る”“すべての情報には意図がある”というメディアリテラシーを形成する要素を、学校現場で教え込んでいるのです。日本は、欧米諸国と比べると、メディアリテラシー教育は格段に遅れているのです。

教えてくれたのは・・・

津田大介さん02
「『メディア・リテラシー』(2000年・菅谷明子著・岩波書店)は、教育者の方にぜひ読んでいただきたい。メディアリテラシー教育の実際がわかる名著です」 撮影/五十嵐美弥

津田大介
1973年生まれ。東京都出身。ジャーナリスト/メディア・アクティビスト。ポリタス編集長。早稲田大学文学学術院教授。テレ朝チャンネル2「津田大介 日本にプラス+」キャスター。J-WAVE「JAM THE WORLD」ニュース・スーパーバイザー。一般社団法人インターネットユーザー協会(MIAU)代表理事。近著に『情報戦争を生き抜く―武器としてのメディアリテラシ― ―』(朝日新書)。

取材・文/渡部美也

『小五教育技術』2019年2/3月号より

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