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子供たちと読みたい 今月の本#16 7月20日は海の日です

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子供たちと読みたい 今月の本
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子供たちといっしょに読みたい 今月の本 
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石橋幸子
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全国SLA学校図書館スーパーバイザー・石橋幸子先生にすてきな本を紹介していただく連載です。16回目のテーマは、「7月20日は海の日です」。海に関する知識や海の生き物、海の恵みなど、海に関する様々な本が登場します。いろいろな視点でアプローチしてみてください。そして、読書の楽しみを伝えてください。子供たちの1人読み、先生が読む、読み聞かせなど学級の実態に合わせてください。

監修/全国SLA学校図書館スーパーバイザー・石橋幸子

図書室の絵本の棚

絵本

海の中で子供を守る親たちや卵、幼魚、ウミガメなど海の様々な生き物たちが登場します。また、クジラの進化やクジラが死んだらどうなるかなどの絵本があります。海や生き物に興味をもつきっかけにつなげてください。

『うまれてくるよ 海のなか』

『うまれてくるよ 海のなか』 写真/高久至 文/かんちくたかこ 
アリス館刊(発行:2022年)

写真/高久至 文/かんちくたかこ 
アリス館刊(発行:2022年)

海の中で一生懸命に子供を守る、けなげでたくましい親たち、美しくかわいらしい卵や子供たちを、「がんばれ」と応援したくなります。自然と科学の本。 

石橋先生のおすすめポイント
どうやって撮影したらこんなに透明感があって色彩が鮮やかな海の中の写真が撮れるのだろうと子供たちと驚きを共有したい絵本です。それには見返しからゆっくり写真を見せながら読み聞かせるのが最良の方法です。みんなで見ると発見がたくさんあるのもこの絵本の魅力。でも低学年の子供たちには理解しにくい場面もあります。例えば、11ページのお父さんの口の中にある卵は周りの岩に溶け込んで、気を付けて見ないと見えません。そのような場面は、子供とやり取りしながら読み聞かせるとよいでしょう。最後の言葉のように海の赤ちゃんに「がんばれ」と言いたくなる絵本です(全学年向き)。

『ヨシ~3万7千キロをおよいだウミガメのはなし~』

『ヨシ~3万7千キロをおよいだウミガメのはなし~』文/リン・コックス 絵/リチャード・ジョーンズ 
訳/いわじょうよしひと あすなろ書房刊(発行:2023年)

文/リン・コックス 絵/リチャード・ジョーンズ 
訳/いわじょうよしひと 
あすなろ書房刊(発行:2023年)

5歳のとき、漁の網に絡まり身動きが取れなくなったところを、日本の漁師に助けられ、南アフリカの水族館に保護されました。その後20年間を水族館で過ごした後、水族館は、ヨシを海に帰すことにしました。1年半のトレーニングを経て、自然の海に戻ったヨシは、誰も予想しなかった方向へ泳ぎだします。

石橋先生のおすすめポイント
ヨシは日本の漁師さんが日本語で名前を付けた実在のウミガメです。紹介する先生や学校司書の方は、まず「著者あとがき」を読んで概要をつかみ、絵を見せながらあらすじを紹介するとよいでしょう。
その際、「著者あとがき」に記載されている「ヨシが泳いだ驚異の37,000キロ」の地図を拡大して示してください。「本当に1匹のカメがこんなに泳いだの?」「ケープタウンからアンゴラまで行って、また戻ったのはなぜ?」と疑問が浮かび、興味をもって読むことができると思います(全学年向き)。

『あらしの島で』

『あらしの島で』 文/ブライアン・フロッカ 絵/シドニー・スミス 訳/原田勝 偕成社刊(発行:2025年)

文/ブライアン・フロッカ 絵/シドニー・スミス 
訳/原田勝 
偕成社刊(発行:2025年)

島に暮らす兄と妹が、嵐が来る前の海に出かけます。岩に打ち付ける大波や、吹き付ける潮風を全身で感じる子供たち。臨場感あふれる文章と圧倒的な描写力による嵐の風景は、スリリングな美しさで読者を魅了します。

石橋先生のおすすめポイント
表紙と裏表紙はつながった一幅の絵で、広げて見ると波打つ荒れた海のすぐ近くを2人の子供が走っていることがよく分かります。まず、それを見せてから、1ページずつゆっくりページをめくってください。2人は兄と妹で長靴を履いて、嵐の前の海を見に行くところだということが伝わります。
波の迫力、嵐の前の薄暗い色彩、そして恐ろしいばかりの雷雨。文章は少なめですからじっくり絵を見せながらの全文読み聞かせがよいと思います。子供たちは実際に嵐のときの海を目にする機会はほとんどないでしょうから、驚きをもって読める1冊だと思います(全学年向き)。

『奄美の海は生きものいっぱい』

『奄美の海は生きものいっぱい』写真/松橋利光 文/木元侑菜 新日本出版社刊(発行:2025年)

写真/松橋利光 文/木元侑菜 
新日本出版社刊(発行:2025年)

2021年に世界自然遺産になった奄美大島の海では、カニが招き、鳥や魚が舞い、カメが生まれ、クジラが過ごします。時間をかけて自然を回復・保護を進めてきたことで、日本一と言われるほど生き物の種類も数も多くなった奄美の海の豊かさがよく分かる写真絵本。

石橋先生のおすすめポイント
表紙で本の題名と作者を紹介したら、見返しで奄美大島の場所を確認してください。低学年の子供にも大きな日本地図を見せて、沖縄県と近いことや自分が住んでいる場所との位置関係や距離を考えさせると、都道府県に関心をもたせる絶好の機会になります。
その見返しに奄美大島についての解説がありますから、学年に合うように伝えてください。
あとは色鮮やかな海の生き物たちの写真を見せながら適宜読み聞かせます。あまり大きな本ではないので、手元でじっくり見られるよう、手渡してあげてください(全学年向き)。

『海でつばさを手に入れる 5300万年前に始まったクジラの挑戦』

『海でつばさを手に入れる 5300万年前に始まったクジラの挑戦』 作/中村玄 絵/箕輪義隆 理論社刊(発行:2025年)

作/中村玄 絵/箕輪義隆 
理論社刊(発行:2025年)

陸を歩いていたクジラの祖先は川の浅瀬でエサを採っていましたが、体を変化させ、ついには外洋で生活できるようになっていきます。5300万年をかけて、進化し、やがて海の王者となったクジラのドラマチックな物語です。

石橋先生のおすすめポイント
どの学年でも最初の1、2ページを読み聞かせ、3、4ページ目のたくさんの哺乳類が描かれた見開きページでクイズを出してください。問題は「どの動物がクジラになったでしょう?」。答えは奥付の右にあります。5300万年後に大きなクジラに進化するのは4ページ目の真ん中に描かれているパキケタスです。化石はパキスタンで発見されたそうです。
大型犬のようなパキケタスがなぜ海で暮らすクジラになったのか。子供たちはきっと驚きをもって読み、進化の事実に納得すると思います。高学年の子にはページ下のクジラ年表にも着目させるといいですね(中高学年向き)。

『クジラがしんだら』

『クジラがしんだら』文/江口絵理 絵/かわさきしゅんいち 監修/藤原義弘 童心社刊(発行:2024年)

文/江口絵理 絵/かわさきしゅんいち 監修/藤原義弘 
童心社刊(発行:2024年)

深海はエサが少なく、生き物が少ない場所です。ところが、ごくまれに巨大な食べ物のかたまりが降ってきます。それが命を終えたクジラです。クジラの体は、長ければ100年にもわたって様々な生物の命を支え続けます。

石橋先生のおすすめポイント
細かな部分まで描かれた絵と深海の生き物のユーモラスなつぶやきが魅力の絵本です。低学年には全文読み聞かせ、中学年は状況が理解できる場面まで読み聞かせ、高学年は絵を見せながらのあらすじ紹介でどうでしょうか。
「鯨骨生物群集(げいこつせいぶつぐんしゅう)」や「深海」という言葉は使われていませんが、それらについては後書きに詳しい解説がありますので、子供の実態に応じて説明を加えてください。大人でも知らない深海での生命の営みに感動を共有できる1冊です(全学年向き)。

図鑑

海からの恵みや海に関する歴史や知識などの図鑑があります。また、海で遊ぶときの約束事は、夏休み前にぜひ子供たちに伝えたい内容です。いろいろな学びの場で活用してください。

『海からいただく日本のおかず 1 干物 魚介類の乾製品』

『海からいただく日本のおかず 1 干物 魚介類の乾製品』 写真・文/阿部秀樹 監修/一般社団法人 大日本水産会 魚食普及推進センター 偕成社刊(発行:2024年)

写真・文/阿部秀樹 
監修/一般社団法人 大日本水産会 魚食普及推進センター 
偕成社刊(発行:2024年)

1巻「干物」、2巻「蒲鉾」、3巻「魚卵」の3巻構成のシリーズの本で、海のどんな魚介類が、どのように加工され、私たちの口に入っているのか、そして、そのような食品が生まれてきた背景(メリット、歴史など)のほか、実際の加工方法や様々な種類などを紹介。そのなかの1巻が本書です。

石橋先生のおすすめポイント
国語や家庭科、総合的な学習の時間などで日本文化について調べる機会が増えていると思います。子供たちに人気があるテーマの1つが「和食」です。身近過ぎて気付かない子もいそうですが、アジの干物や蒲鉾、タラコなどは日本に昔から伝わる食べ物です。その魅力や歴史について大きな写真といろいろな切り口で編集されているシリーズです。
この本を手渡すときは「はじめに」で、写真を撮り、文を書いた阿部秀樹さんの思いを伝えましょう。これを読むだけでも調べる課題がたくさん発見できます。そして、「もくじ」には、干物の種類、歴史、作り方と興味深い項目ばかりが見られます。どれか1つか2つのページを見せて紹介すると手に取りやすくなります(中高学年向き)。

『キケンからキミをまもる! 海あそびのやくそく』

『キケンからキミをまもる! 海あそびのやくそく』 監修/佐藤繁一 汐文社刊(発行:2025年)

監修/佐藤繁一 絵/葵山わさび
汐文社刊(発行:2025年)

「海で遠くに流されてしまったらどうする?」。海遊びで何が危険なのか、事故の事例を紹介しながら、守るべきポイントと対処法をやさしく伝えます。子供と一緒に考えましょう。

石橋先生のおすすめポイント
毎年約1000人が水辺で亡くなっていて、その7割が海での事故だそうです。これは、夏休みになる前にぜひ子供たちに紹介したい本です。最後まで興味をもって読むために、まず表紙と10、11ページのイラストを見せましょう。このイラストで「危ないのはだれ?」と問えば、子供たちは間違い探しを解くように夢中で正解を探します。
浮き具で遊んでいる子、岩場でカニを見付けた子の何が危ないのか。それはなぜか。どうしたらよいのか。その答えをそれぞれの項目のページで知ることができます(中高学年向き)。

『新装版かこさとしの地球のかがくえほん うみはおおきい うみはすごい 海のはなし』

『新装版かこさとしの地球のかがくえほん うみはおおきい うみはすごい』 絵・文/かこさとし 農文協刊(発行:2023年)

絵・文/かこさとし 
農山漁村文化協会刊(発行:2023年)

「海の水はどのくらいある?」「海の底には何がある?」「海にはどのくらいの塩が溶けている?」「海はいつできた?」。海は、広くて大きく、たくさんの水があり、人間が生きてゆくのに大事なものです。地球の生き物の先祖は、大昔、海の中で生まれました。生き物のふるさとである海のことを知ることができます。 

石橋先生のおすすめポイント
最初に作者のかこさとし(加古里子)さんについて紹介してください。子供たちは『からすのパンやさん』や『だるまちゃん』シリーズを知っていると思います。そんな加古さんが子供たちに地球の科学について知らせるために作ったのがこのシリーズです。
「うみはすごいところなのだ」という加古さんの感動が各ページから伝わります。リズミカルな文章ですから、ぜひ声に出して読み聞かせてください。両見返しは世界地図と海の断面図です。発達段階によっては、解説を加えないと分かりにくいので見せながら説明すると6、7ページの海の底のびっくりがさらに楽しめそうです(中高学年向き)。

読み物

図書館を訪れる海の生き物たちが活躍するお話や多くの動物たちを日本に運ぶ実話をもとにしたお話、小学5年生の子供が主人公の少し謎めいた物語などがあります。子供たちが引き込まれそうな物語ばかりですので、ぜひ読書習慣のきっかけにしてください。

『うみのとしょかん』

『うみのとしょかん』作/葦原かも 絵/森田みちよ 講談社刊(発行:2016年)

作/葦原かも 絵/森田みちよ 
講談社刊(発行:2016年)

本好きのアオザメと図書館員のヒラメが主人公。図書館にやってくる生き物たちが活躍する、「タコのはっけん」「マンボウのなやみ」「マグロとクルマエビ」「本のしゅうりやさん」の4つの小さなお話に分かれています。

石橋先生のおすすめポイント
全ページに挿絵が入る幼年文学です。自分で本を選んで読めるようになった低学年にぴったりです。ヒラメが司書さんで、様々な海の生き物が本を借りに来るのですが、最初から10ページまで読み聞かせると様子が分かって子供たちも1人読みができると思います。
タコの話、マンボウの話と章立てになっているので、1日1話の読み聞かせも楽しいですよ。先生に読んでもらったら再度自分の目と心で楽しみたくなる魅力ある物語です(低学年向き)。

『海をわたる動物園』

『海をわたる動物園』 作/いちかわけいこ 絵/村田夏佳 アリス館刊(発行:2022年)

作/いちかわけいこ 絵/村田夏佳 
アリス館刊(発行:2022年)

アフリカから日本へ動物たちを運ぶ船に偶然乗り合わせた大学生のシュン。戦後、殺処分などで空っぽになった動物園に動物たちを連れて帰る手伝いをすることに。アフリカから日本まで、62頭の動物と旅した物語。

石橋先生のおすすめポイント
この本は表紙と裏表紙で1枚の絵になっていて、ここから気付いたことを発表させると子供たちは興味をもって話を聞くと思います。「サントス丸と書かれた大きな船だ」「船にキリン、シマウマ、ダチョウなどの動物が乗っているよ」「後ろに見える富士山のような山は何だろう?」と声が上がるでしょう。
山はキリマンジャロ、その証拠であり、物語に深く関わる写真が目次に載っています。作者のお父さんがモデルで実話に基づく物語ですから、あらすじを紹介してください。そして船上でのエピソードを1つ話しましょう。小さなシマウマ、カバの夫婦、脱走したダチョウ。どれも子供の心に残ること、間違いありませんよ(中学年向き)。

『トモルの海』

『トモルの海』 作/戸部寧子 絵/田中海帆 フレーベル館刊(発行:2023年)

作/戸部寧子 絵/田中海帆 
フレーベル館刊(発行:2023年)

野球に燃える小学5年生のトモルは、祖母の実家で年上の少女めぐるちゃんと出会います。それ以来、不思議な夢を見るようになったトモルの現実は、だんだん夢と溶け合っていきます。少女めぐるちゃんの正体は……。

石橋先生のおすすめポイント
この本は高学年向きの物語で題名に「海」が付きますが、ある事情で、実際の海の場面は登場しません。挿絵があまり多くないので、表紙の少年と少女を見せて登場人物について語るとよいでしょう。
大人が読むとある程度お話が進んだところで「もしかしたら、この子は……」と想像できますが、多分子供たちはかなり終わり近くまで分からないと思われます。その謎めいたところもこの物語の魅力ですから、上手に伝えてください。また、夏の日の情景や主人公の夢の中でのできごとの描写が巧みなので、実際の文章を読んで印象付けると読みたい気持ちを喚起できそうです(高学年向き)。

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石橋幸子(いしばしさちこ)全国SLA学校図書館スーパーバイザー

石橋幸子先生からのメッセージ
日本列島は周りをぐるりと海に囲まれています。小学生の学習内容でも海の生き物や海洋資源、歴史から環境問題や食料まで、様々な学年、教科で関連することがらが扱われています。不思議なこと、魅力がいっぱいの海の本を紹介します。
海の日に因んでブックトークしたり、ブックレビューしたりしてください。絵本が多いのですが、ほとんどを全学年の子供が楽しめます。これらの絵本や図鑑から夏休みの自由研究のテーマが見付かるかもしれませんよ。


監修
石橋幸子(いしばしさちこ)
全国SLA学校図書館スーパーバイザー
東京学芸大学非常勤講師、明星大学非常勤講師、和洋女子大学非常勤講師
長年、東京都の小学校教員を務める。また司書教諭として全教員が学校図書館を授業に活用することを目標として学校図書館を経営。退職後は大学で司書教諭の資格を取得する学生を指導。本を読むことも本で調べることも大好き。もっと心が躍るのは楽しい本を子供たちに手渡すこと。本連載が、先生方と子供たちの本の架け橋になればうれしい。


取材・文・構成/浅原孝子

 

授業で使える312冊の絵本を紹介
『絵本で広がる小学校の授業づくり』書籍表紙

『豊かな心と思考力を育む
絵本で広がる小学校の授業づくり』

著/齊藤和貴(京都女子大学教授)

司書教諭の経験を生かしながら、長年、学校現場で「絵本を活用した授業」を行ってきた元小学校教諭が、小学校の授業で使える絵本312冊を厳選。絵本を使った実際の授業が、板書や指導案、豊富な写真とともにオールカラーで具体的に紹介されていますので、授業の進め方がよく分かります。

B5判/112頁
ISBN9784098402212

〈著者プロフィール〉
齊藤和貴(さいとう かずたか)

京都女子大学発達教育学部准教授。元小学校教諭・司書教諭。東京都公立小学校及び東京学芸大学附属小金井小学校、附属世田谷小学校で28年間、教育活動や授業実践に取り組む。その間、生活科や総合的な学習の時間を中心に指導法やカリキュラム、評価方法の工夫・改善を図り、「子供とともにつくる授業」の創造に励む。また、司書教諭の経験を生かし、「絵本を活用した授業づくり」にも取り組んできた。

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