おうちでの読み聞かせに最適!小学生学年別ブックナビ
小学校教師として30年以上勤務され、保護者の育児相談に乗る『親塾』も主宰する教育のプロである多賀一郎先生に、この休校中に家庭で読みたい本を、学年別にセレクトしていただきました。
執筆/追手門学院小学校講師・多賀一郎
目次
本の読み聞かせは親子の会話になる
臨時休校のニュースが流れた際、「お母さんと二人きりだと会話が続かないよね」と言われてショックを受けた親御さんがいたそうです。
僕は、親子で無理に会話をしようとしなくても、本の読み聞かせをしてあげたらいいと思っています。せっかくの長い休みなのですから、普段は読めないような長文の本を少しずつ読み聞かせしてみるのはいかがでしょうか。
低学年には、楽しい挿絵の遊び心ある物語を
「もりのへなそうる」わたなべしげお(福音館)
森の中で出会った変な生き物。でも、怖い怪物ではありませんでした。子どもたちの遊び心を堪能させてくれるお話です。
「ムーミン谷の冬」トーベ・ヤンソン(講談社文庫)
読み聞かせならば、読むのがまだまだ得意ではない子どもたちにも十分読み切れる内容です。挿絵も見せながら読み聞かせると、トロル(北欧の妖怪)であるムーミンの世界が広がります。一冊を読み終えたら、続けて何冊も読んでいけるシリーズです。
三年生からはシリーズものの本で読書習慣を
「火曜日のごちそうはヒキガエル」ラッセル・E・エリクソン(評論社)
ふくろうにつかまって火曜日に食べられることになったヒキガエル。フクロウとの対話が始まります。これもシリーズ本で、一冊を読み終えたら、次々と読んでいけます。
「チョコレート戦争」大石真(理論社)
人気のお菓子屋さんのショーウィンドウが割られました。そばにいた少年たちに疑いがかかり、少年たちは身の潔白を証明するために立ち上がります。
四年生からは長編にも挑戦を
「冒険者たち ガンバと15ひきの仲間」 斎藤 惇夫(岩波少年文庫)
イタチとの戦いに挑むガンバたち。かなりの長編ですが、最初から子どもたちをどんどん冒険の世界に引き込んでいきます。日本の児童文学史上に輝く名著です。
「神さま」岡田淳(偕成社文庫)」岡田淳(偕成社文庫)
テストの点数によって、座席の順番が変わるという教室で、一番びりの席になった子供にだけ見える神様がいます。いろんなことを考えさせられる本で、子どもの心に寄り添っています。
五年生には感じやすい心をあたためる本を
「向日葵のかっちゃん」西川司(講談社文庫)
まったく勉強が分からなくて、別のクラスに行っていたかっちゃんが、先生との出会いによって人生を変えていきます。読み聞かせしているうちに、お母さんは声が詰まって読めなくなってしまうかもしれませんよ。
「いちご」倉橋燿子(青い鳥文庫)
アトピーのために「いちご」というニックネームをつけられた小学五年生の少女。どんなにつらい状況になってもそれを乗り越えていく姿は、同世代の子どもはもちろん、大人も勇気づけられます。これもシリーズものです。
六年生には広い視野をもたらす世界的名著を
「飛ぶ教室」エーリヒ・ケストナー
子どものころに読んだ本で、一番心に残ったのは?という著名人のアンケートで圧倒的に人気のあったのが、この本です。大人もいつ読んでも心を揺さぶられる世界的な名作です。
「ふたりのロッテ」エーリヒ・ケストナー
サマースクールで出会ったそっくりな二人の女の子。実は両親が離婚してそれぞれをひきとった双子だったのです。二人はすぐに心を通わせて、ある作戦をたてるのです。女の子にぴったりな本です。
「Good Luck」アレックス・ロビラ(ポプラ社)
何十年ぶりかに出会った二人。成功者になった方が、成功のコツを白騎士と黒騎士の寓話で語ります。同じものに出会ったとき、その考え方によって、幸せ(グッドラック)に近づくか、遠のくか……、区切りごとに金言が効果的に語られています。大人も学びたい本でしょう。
追手門学院小学校講師。神戸大学附属住吉小学校を経て私立小学校に30年以上勤務。「親塾」を各地で開いて保護者の相談に乗ったり、公私立小学校で指導助言や全国でのセミナーを通して教師を育てることにも力を注いでいる。 著書に『学校と一緒に安心して子どもを育てる本』(小学館)『危機に立つSNS時代の教師たち―生き抜くために、知っていなければならないこと』(黎明書房)『全員を聞く子どもにする教室の作り方』(黎明書房)他多数。
〜編集部より〜
突然の休校要請で、学校現場はこれまでにない対応を迫られていることと思います。
「みんなの教育技術」編集部は、皆さんがご自身の状況に合わせて情報を得られるよう、この時期をどう乗り越えるのかについての様々なアイデアをシェアしていきたいと考えています。
臨時休校時の対応で教師間でシェアしたいこと、保護者に伝えておきたい3月の単元の指導方法など、募集しています。
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※ 先生や子どもたちの状況、自治体や学校の方針によって、考え方は様々です。一つ一つの提案の是非を問うのではなく、多様な情報をシェアすることによって、困っている先生や保護者がご自分の状況に合わせた選択ができる場づくりを目的としています。 ご理解をお願いします。
先生におかれましても、どうかご自愛ください。