「子どもが勉強しない」保護者の悩みにベテラン教師が回答

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多賀一郎

小学生の保護者からは「家庭で子どもに学習をさせることができない」「何をさせたらいいかわからない」などの悩みが寄せられています。
そんな悩みに、小学校教師として30年以上勤務され、保護者の育児相談に乗る『親塾』も主宰する教育のプロである多賀一郎先生が答えます。

執筆/追手門学院小学校講師・多賀一郎

写真AC

Q.学習は学校と塾に任せ、家ではゲームという生活だったので、家庭で学習をさせることができません

A 新しいノートを一冊用意します。休みの間に頑張ったことを全部書いたり貼り付けたりしていきましょう。

そのような状況から、いきなり「自分で学習をやりなさい」 と言っても、そうはいかないことでしょう。

喧嘩になってはお互いにイライラが募るだけですから、子どもの考えも尊重しながら話し合う必要があると思います。

それでも、提案できることがあるとすれば、新しいノートを用意して「この休みの間にがんばったことを、ここに全部書いたり貼り付けたりしていこうね」と言ってみるのはよいかもしれません。

「学習すればノートが埋まっていく」

ということが、続けるモチベーションになるからです。

どんな教科を行うにしても、この期間に行ったことは全て一冊のノートに集約していくことがポイントです。

最初から高望みをしてはいけません。もし一冊終わったら、次のノートを用意してあげればいいのです。

子どもとよく話し合って、何をするかを次に挙げる中から選ばせたり、考えたりしてみてはいかがでしょうか?

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1. 毎日10分の書写

教科書に掲載されている残った教材や補充教材から、時間を10分程度に絞って行います。それ以上の時間にしてしまうと、嫌になるかもしれません。

毎日10分でも、一か月続ければ5時間です。ちょっとずつ学習習慣を身に付けていきましょう。

2. 最大3回までの漢字の練習

教科書の最後に、新出漢字が熟語なども含めて書いてあります。

一度、自分で書けるか確かめてから、すらすら書けるように、必要に応じて2回程度繰り返すよう促します。

僕の経験では、漢字は3回以上書いてもおぼえられるものではありません。回数が多いほど子どもは嫌になるものです。多くても3回まででよいでしょう。

3. 辞書引き学習

教科書に出てくる言葉で意味が不明確なものを辞書で調べてノートに書きます。できれば、辞書に載っている用例なども併せて書くと、さらにその言葉を使う力がつくでしょう。

4.ツイッター作文

その日の出来事や思ったことを、短い文章(140字程度)で書くのもいいですね。140文字ですから、ちょうどTwitter程度です。

一日家にいるだけだと、書く機会がなくなってしまうからです。書くことのないときは、窓から定点観測して外の様子を毎日書くのもいいでしょう。書いていると、同じように見える風景が少しずつ違っていることに気づきます。ものの見方も鍛えられます。

市販の問題集などをお持ちでしたら、やり終わったものを一枚ずつ切り取って、このノートに貼っていくと、モチベーションが高まるでしょう。

Q.学習以前に、家でゲームやYoutube以外でどう遊んだらよいかわからなくなっています…

A 子どもと一緒にモノづくりをするのはどうでしょうか。見ているだけの受け身的なものではなく、手指を使っての活動は、ストレスの発散にもなります。

例えば、料理を一緒に作ってみるのはいかがでしょうか? 編み物や刺しゅうなど、男女にかかわらず、楽しめるものです。

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DIYを一緒にして、本箱を作ったり、額縁を作ったり、毎日少しずつしてみるのも楽しいでしょう。おうちのインテリアが変わることで、自己有用感にもつながります。

そこまで大がかりなものではなくても、 紙の工作や便せんづくりなど、ネットで調べればいくらでも一緒に作れるものが出てきます。ご家庭に合ったものを探してみてください。

多賀一郎
多賀一郎先生

追手門学院小学校講師。神戸大学附属住吉小学校を経て私立小学校に30年以上勤務。「親塾」を各地で開いて保護者の相談に乗ったり、公私立小学校で指導助言や全国でのセミナーを通して教師を育てることにも力を注いでいる。 著書に『学校と一緒に安心して子どもを育てる本』(小学館)『危機に立つSNS時代の教師たち―生き抜くために、知っていなければならないこと』(黎明書房)『全員を聞く子どもにする教室の作り方』(黎明書房)他多数。

〜編集部より〜
突然の休校要請で、学校現場はこれまでにない対応を迫られていることと思います。
「みんなの教育技術」編集部は、皆さんがご自身の状況に合わせて情報を得られるよう、この時期をどう乗り越えるのかについての様々なアイデアをシェアしていきたいと考えています。
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