小6算数「量の単位(2)」指導アイデア
執筆/埼玉県公立小学校教諭・天野翔太
編集委員/国立教育政策研究所教育課程調査官・笠井健一、浦和大学教授・矢部一夫
目次
本時のねらいと評価規準
(本時 3/6)
ねらい
長さや面積の関係に着目し、面積の単位の仕組みについて考え、理解する。
評価規準
単位正方形の一辺の長さに着目すれば、接頭語の意味を同じように捉えることができることを理解している。(知識・技能)
問題
1㎡は、1㎠の何倍でしょう。
答えを予想できますか。
1 m= 100㎝だから、100 倍だと思います。
c(センチ)は[MATH]\(\frac{1}{100}\)[/MATH]倍という意味だったから、面積でも同じように1㎠は1㎡の[MATH]\(\frac{1}{100}\)[/MATH]倍ではないかな。
実物で比べてみましょう(工作用紙で作った1㎡と1㎠を提示する)。
1㎡って、こんなに大きいんだね。
1㎠が100 個では足りないなあ。
面積では、c(センチ)の意味は、 [MATH]\(\frac{1}{100}\)[/MATH]倍ではなくなってしまうのかな。
面積の単位についても同じようにみることができるのか、考えてみましょう。
本時の学習のねらい
これまでに学習した長さや面積の単位を基にして、面積の単位の意味について考えよう。
見通し
第2時では、長さ、かさ、重さの単位間の関係についてまとめ、メートル法の仕組みについてより深く学んでいきます。また、1㎡= 10000㎠であることは、四年生の広さの学習において既に学んでいるものの、接頭語の意味を理解した直後であるため、「c(センチ)は[MATH]\(\frac{1}{100}\)[/MATH]倍という意味だから…」と形式的に解決しようとする子供も少なくありません。
ここでは、1㎡と1㎠の実際の大きさを見せることによって、面積の単位のつくられ方を振り返ることが大切です。「1㎡は1m × 1m の正方形の面積」、「1㎠は1㎝× 1㎝の正方形の面積」というように、単位正方形の一辺の長さに焦点をあて、c(センチ)は長さの単位1m の[MATH]\(\frac{1}{100}\)[/MATH]倍であることをしっかりおさえることが大切です。
自力解決の様子
A つまずいている子
接頭語の意味と、実物との違いに混乱している。
c(センチ)は、[MATH]\(\frac{1}{100}\)[/MATH]倍という意味なのに……。
B 素朴に解いている子
一辺の長さを㎝に換算することで、1㎡の大きさについて考えている。
1㎡は一辺の長さが100㎝だから、100× 100 = 10000 で、1㎡= 10000㎠。
C ねらい通りに解いている子
長さの倍の関係から、面積の倍の関係を導いている。
1㎡の正方形は一辺の長さが1㎠の正方形の100倍だから、面積は100× 100 = 10000 倍。
学び合いの計画
ここでは、ノートに描いた図を見せ合い、説明している部分を指さしながら説明をすることで、自力解決では手が止まっていた子供も、正方形の一辺に着目することが期待できます。図と関連付けながら1㎡と1㎠の関係を説明することを通して、単位換算を暗記するのではなく、主体的・対話的な学び合いにすることが大切です。
ノート例
全体発表とそれぞれの考えの関連付け
B の考えのようなm を㎝に換算する方法で、1㎡= 10000㎠であることを論理的に確認することができます。その後、C の考えを取り上げ、Bの考えとの違いについて問うていきます。一見同じ式のようですが、㎡と㎠の関係を倍の考えを基にして捉えると、「正方形の一辺の長さが100 倍であるから、100 倍× 100 倍= 10000 倍」と示すことができることを丁寧におさえていき、実際の数値で求めたものと倍の考えを用いて求めたものと、どちらも同じ結果であることをまとめることが大切です。
この後、前時までにまとめてきたc(センチ)の意味をはっきりさせることを行います。つまり、c(センチ)の意味は[MATH]\(\frac{1}{100}\)[/MATH]倍だったけれど、面積の単位の場合は[MATH]\(\frac{1}{10000}\)[/MATH]倍になっている、と単に暗記的におさえるのではなく、1 辺の長さに着目して「 [MATH]\(\frac{1}{100}\)[/MATH]×[MATH]\(\frac{1}{100}\)[/MATH]=[MATH]\(\frac{1}{10000}\)[/MATH]」と、「一辺×一辺」の公式から単位の意味を捉えられるようにします。
このように単に単位換算だけでなく、面積の単位はm を基にして㎡がつくられているなど、長さを基に単位が決められていることをおさえることにより、次時以降の体積の単位の学習にもつながっていきます。
まとめ
面積の単位は、長さの単位を基にしてつくられている。単位正方形の一辺の長さが何倍になっているかを考えれば、面積が何倍になっているかが分かる。
評価問題
1㎢は1㎡の何倍でしょう。
子供に期待する解答の具体例
「k(キロ)」は1000 倍という意味で、単位正方形の1辺の長さが1000 倍になっているから、
面積は1000 × 1000 = 1000000(倍)。
答え 1000000 倍
感想例
c(センチ)ということから、1㎠は1㎡の 倍かと思ったら、長さの単位を基に1㎠がつくられていることが分かった。1 辺の長さに着目すると「[MATH]\(\frac{1}{100}\)[/MATH]×[MATH]\(\frac{1}{100}\)[/MATH]=[MATH]\(\frac{1}{10000}\)[/MATH]」だった。
ワンポイント・アドバイス
浦和大学教授・矢部 一夫
本単元は、メートル法を基につくられている量の単位について、その仕組みをまとめ、単位について理解を深めることをねらいとしています。子供にとって量の単位は、長さ、重さ、面積、体積等様々な種類があり、しかもそれぞれにk(キロ)、m(ミリ)、c(センチ)、d(デシ)などの接頭語がつくため、つまずきの多い単元になっています。
学習では、本事例に示してあるように単に暗記するのではなく、それぞれの接頭語は十進法を基につくられていること、面積や体積は、長さの単位を基にして決められていることをしっかりとおさえることが大切です。また、量感の観点から「学校から1㎞離れた場所」や「学校の敷地は○ ha」、「教室の容積は○㎥」など、単位を用いて身近なものの量を積極的に表す活動をすることも効果的です。また、単位換算の興味を高めるツールの1つに「単位換算尺」があります。教科書のコラムやインターネットに作成方法が載っていますので作成するのもよいでしょう。
なお、新学習指導要領では、メートル法のしくみは基本的に3年生までで完結するので、4年生以降では、理科や社会科などの他教科と関連させながら定着を図っていくことが必要になります。
イラスト/やひろきよみ
『小六教育技術』2019年1月号より
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