• 勉強マーク小学館ロゴ
  • facebookアイコン
  • twitterアイコン

『ドラえもん』で授業を! 漫画を教材として活用しよう

2019/8/15

「漫画は、授業の教材として魅力がある」――そう語るのは、漫画を活用した授業実践で注目され、「ドラえもん名作選」の監修者でもある、早稲田大学系属早稲田実業学校初等部の岸圭介先生。漫画の教材として魅力や、授業展開の工夫について、お話をお聞きすることができたのでご紹介します。

岸圭介
早稲田大学系属 早稲田実業学校初等部教諭 岸 圭介さん

漫画『ドラえもん』は、学習のきっかけになる教育的教材

―新刊「学年別ドラえもん名作選」では、『ドラえもん』を教材に使った授業実践をもとに、3年生版の解説を執筆されました。本シリーズの教育的教材としての魅力は何ですか?

 「ドラえもん名作選」シリーズでは、各教科の学習のきっかけになる楽しいお話をセレクトして、学年ごとにまとめました。

1年生版にはコマ番号がふってあり、漫画を初めて読む子や慣れていない子でも安心です。『ドラえもん』は、多くの話がひみつ道具を起点に進み、オチが「ひみつ道具がうまくいくか、いかないか」というわかりやすい展開になっているため、話の流れがつかみやすいのも特徴です。

一般的な学習漫画は、学習の意図やテーマが設定されていますが、「学年別ドラえもん名作選」シリーズの強みは、漫画の中に既習事項との関連や学習を、自由に見出せることです。学年別になっていますが、1年生の本でも、学習のねらいと合えば、高学年でも使うことができるでしょう。

漫画は、単元の間の接続的な教材として利用する

―実際の授業では、どのような使い方ができますか?

 単元の間に、接続的な役割で漫画を使うと効果的です。例えば、「登場人物における心情の変化をつかむこと」がめあてであれば、物語教材の間に入れるのもよいでしょう。漫画は、主に絵やコマを用いた表現形式です。「物語」という大きな枠組みの中では、共通する要素も見られます。

いずれにせよ、日々の単元との接点をいかに見出すかがポイントです。国語科では「物語の枠組み」、社会科では「社会の出来事」など、普段の授業と漫画のストーリーの中に接点を見つけられると、授業で使いやすくなるはずです。

漫画を深く読み考えることで、感性や創造性を育む

―「漫画を読んで楽しかった」という感想で終わらないためには、どのような工夫が必要でしょうか?

岸 ともすると子どもたちは、ただ内容を知りたいばかりに、漫画を「流し読み」しがちです。しかし、漫画にも作者が意図して盛り込んだ様々な表現が隠されています。そうした細部に気づく力こそ、活字読書にもつながる育成するべき力です。

例えば、コマの順番を入れ換えたり、切り離したりして、書き手がその場所にどのような意味をもたせたのかを問い、考えさせます。より深く読まざるを得ない状況をつくることで、今までの自分の読み方を変えることにつながるでしょう。

このような学習は、授業者の「ねらい」が大切になるでしょう。例えば、最後のコマを空けてオチを当ててみようという活動では、「正確さ」を求めるのか、「想像力」を求めるのかという2つの方法が考えられます。正確さを求めるなら、学習のねらいは「論理性」となり、オチの根拠が必要です。想像力を求めるなら、ねらいは「感性や創造性」となり、自由に発表させます。評価をする場合も、ねらいに沿っているかどうかを基準にするとよいでしょう。

「学年別ドラえもん名作選」特設サイト


学年別ドラえもん名作選「ドラえもん一年生」~「ドラえもん六年生」

学年別ドラえもん名作選「ドラえもん一年生」「ドラえもん六年生」
著/藤子・F・不二雄
定価:750~800円+税/小学館

各学年向けに描かれた「ドラえもん」を厳選!
藤子・F・不二雄先生が読者の成長の段階に合わせて丁寧に表現してきた「ドラえもん」を、その本来の姿に戻した初の「学年別」ベストセレクション。各話に、どの授業でどのような教材として使えるかなどの解説があります。
●岸圭介先生が解説を執筆した「ドラえもん三年生」の試し読みはこちら

取材/大和信治、福原英信、辻千夏(EDUPEDIA)
撮影/北村瑞斗
まとめ/出浦文絵

『教育技術』2019年9月号より
●これと関連したインタビュー記事が「EDUPEDIA」でも配信されます。

関連する記事

授業記事一覧

小一算数 ペアワークで「子どもが教える」ことで定着する

学習の定着率を上げるためには「他の人に教える」ことが一番。(アメリカ国立訓練研究所が発表している「ラーニングピラミッド」という学習定着率を表す資料の中にあります…

小六の道徳とオリジナル教材「道しるべ」

山形県のある小学校で行われた佐藤幸司先生による六年生の道徳授業を紹介します。独自教材を使ったオリジナルの道徳授業には、学級経営にも生かせるヒントがたくさんありま…

2019/11/11

【ぬまっち流】海外への興味を駆り立てる!英語の実践アイディア

アメリカの大学院への留学経験がある、沼田晶弘先生(ぬまっち先生)に英語(外国語)と海外文化への興味を引き出す授業についてを教えていただきました。後編は、海外文化…

【指導計画】5年体育(器械運動)大きく・美しいマット運動!

マット運動は、技のポイントが明確であるため、掲示物や学習カードを工夫し、子供どうしが課題解決に向けて学び合う活動を充実させます。中学年までに取り組んできた、基本…

2019/11/2

【構造的板書】 算数「図形の面積」「プリント学習の時間」

スッキリした分かりやすい構成で、子どもたちに伝わりやすい板書の書き方を目指す本シリーズ。今回は、小五の算数の「図形の面積」をテーマにして、 樋口万太郎先生(京都…

作文マイスター
言葉に敏感になり楽しく挑める作文の指導【ぬまっち流】

斬新な授業で、子どものやる気をグングン引き出すカリスマ教師「ぬまっち」こと、沼田晶弘先生が、低学年の自主性を育む実践を紹介します。今回は「作文マイスター」を育て…

2019/10/28

【先生のための学校】漢字つぶやき学習法

漢字学習を孤独な、個別な取り組みから、みんなで楽しくできる教室文化にするために、「漢字カルタ」の取り組みや『つぶやき漢字ドリル』の 取り組みを提案してきたのです…

2019/10/27

図形感覚と創造力を鍛える自由課題『大きさの異なるマスを作ろう』

準備やマル付けがいらない、ちょっとした空き時間にも使える課題。算数ノートのマス目を利用したアイディアをご紹介します。マス目に4個の点を打ち、それを結んで大きさの…

2019/10/27

【構造的板書】 国語「大造じいさんとガン」 「注文の多い料理店」

スッキリした分かりやすい構成で、子どもたちに伝わりやすい板書の書き方を目指す本シリーズ。今回は、小五の国語の「大造じいさんとガン」「注文の多い料理店」をテーマに…

英語の実践アイディア前編
【ぬまっち流】英語の実践アイディア~前編~

日本に住みながら小学生が外国人と英語でコミュニケーションをとることは、簡単なことではありません。そんな環境の中で、英語や海外文化への興味を引き出すためにはどのよ…

もっと見る