小4算数「2けたで割るわり算」指導アイデア

執筆/富山県高岡市立博労小学校教諭・神田将義
監修/文部科学省教科調査官・笠井健一、前・富山県南砺市立福光東部小学校校長・中川愼一

目次
単元の展開
第1時 80÷20や90÷20のような、なん十で割る除法の計算のしかたを説明する。
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第2時 2位数÷2位数(仮商修正なし)の計算(84÷21など)のしかたを考える。
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第3時 2位数÷2位数(仮商修正なし)の筆算(84÷21など)のしかたを理解する。
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第4時 あまりのある2位数÷2位数(仮商修正なし)の筆算のしかた、及び、検算のしかたを理解する。(87÷21など)
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第5時 2位数÷2位数(過大商の修正1回と2回)の筆算(86÷23など)のしかたを理解する。
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第6時 2位数÷2位数(過小商の修正1回)の筆算(78÷19など)のしかたを理解する。
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第7時 割る数と割られる数に着目して、2位数÷2位数の筆算(87÷25など)の仮商の立て方を説明する。
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第8時 3位数÷2位数=1位数の筆算(153÷24など)の仮商の立て方を、2位数÷2位数の筆算のしかたを基に考え、説明する。
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第9時 3位数÷2位数=2位数の筆算(345÷21など)のしかたを理解する。
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第10時 3位数÷2位数=2位数で、商がなん十になる場合(961÷23、960÷16など)の筆算のしかたを理解する。
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第11時 除数が3位数の筆算(732÷216など)のしかたを、既習を基に説明する。
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第12時 商が等しい除法の式を比較し、除法の性質について説明する。
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第13時 除数及び被除数の末尾に0があるときの筆算(24000÷500など)を、工夫して計算する方法について、既習の除法の計算のしかたを基に考え、説明する。
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第14時(本時)割られる数が分かっていない場合(7□5÷74など)について、割られる数と割る数の大きさの関係に着目して、商が一桁になる場合について考える。
本時のねらい
(発展的な学習としての扱い)
割られる数と割る数の大きさの関係に着目して、商が一桁になる場合について考える。
評価規準
割られる数と割る数の大きさの関係に着目して、商の大きさについて考えている。[思考・判断・表現]
本時の展開
□に、0~9の数を入れます。商が1けたになるのは、どんなときでしょう。
□に0から9までの数を、順番に当てはめていけばできそうだね。
みんなで、□に数を順番に入れて考えてみましょう。
□に0を入れると、705÷74だから、計算すると、十の位に商は立たない。
□に1を入れると、715÷74だから、計算すると、十の位に商は立たないね。
あ、分かった。これって、□に順番に数を当てはめていかなくても、□に当てはまる数が分かりそうだよ。
何か工夫をすると、□に当てはまる数を簡単に求められそうということですか。
はい。
では、どうすれば□に当てはまる数が簡単に求められるか、みんなで考えていきましょう。簡単にできるやり方を思い付いた人はいますか。
十の位に、商が立たないようにすればできると思います。「商が1桁になる」ということは、商が10より小さいということなので、十の位に商が立たなければよいということになります。
なるほど。そう考えると、十の位の計算に注目して、7□÷74の商が0になるように、□の数を決めればよいということになるね。
確かに。それならできそう。
検算の考えを使ってもできそう。
商が10にならなければよいから、割る数×商が割られる数よりも小さくなるように、□を決めるとできそうだね。
その方法でもできそう。
では、この友達の考えを参考にして、割られる数と割る数の大きさに目を付けて、商の大きさを考えていきましょう。
割られる数と割る数の大きさに目を付けて、商の大きさを考えよう。
見通し
□に0~9までの数を順番に当てはめていけばできそうだ。(方法の見通し)
十の位に着目し、7□÷74の商が0になるようにすればできそうね。(方法の見通し)
検算の考えを使い、「割られる数>割る数×商」になるように□を決めるとできそう。(方法の見通し)
自力解決の様子
A つまずいている子
□に入る数は{0、……}
- 割る数を70と見て、割られる数が700よりも小さくなるように考え、困っている。
B 図を使って解いている子
□に入る数は、{0、1、2、3}
- □に0から9までの数をすべて当てはめて、わり算の筆算をして、□の数を求めている。
C ねらい通り解いている子
□に入るのは、4より小さい数{0、1、2、3}
- 十の位の計算の7□÷74の商が、0になるような□の数を考えている。
- 割られる数は、74×10=740よりも小さくなればよいと考え、「740 > 7□5」となる場合を調べている。
学び合いの計画
子供たちが問題に対してより望ましいアプローチができるようになることをめざして、発展的な問題に取り組ませる時間を設けます。
自力解決の場では、子供たちはさまざまな考え方をするでしょう。それを学び合いの場で取り上げて、比較・検討していきます。
その際に、よりよく解いているやり方(解法の手順が少ない、難しい思考を伴わないなど)について話し合うようにすると、話合いがまとまっていくでしょう。
それぞれの解き方への理解は示しつつ、よりよい解き方について話し合っていくことで、子供たちは問題へのアプローチのしかたに対する視野が広がるとともに、効率的に解くことに対しての理解も深めていくでしょう。
ノート例
全体発表とそれぞれの考えの関連付け
この問題は、このようにいくつかのやり方で解くことができるようですね。どの方法が一番やりやすいですか。
筆算で計算していくやり方が、一番やりやすかったです。計算を筆算の手順通りにしていくなかで、十の位に着目したら、□の数が分かったからです。
私も同じです。筆算の手順通りに計算していって、十の位に商が立たないようにすればよいから、分かりやすかったです。
計算していけば、なんだか安心できます。
商が一桁になるときを見付けるのだから、割る数を10倍した740と、割られる数の7□5を比べる方法が簡単だよ。
確かに。筆算を書く必要がないから楽だよね。
どこの位に商が立つかを確認して、仮の商を立てる必要もないから、割る数を10倍したものと割られる数を比べたほうが楽だね。
よりよい方法を考えようとすることで、これまでに学んできたことが引き出されてきたみたいですね。これまでに学習したことをうまく使って考えているのは、とてもすばらしいと思います。
7□5÷74の商が、一桁になるのは、
□に4を入れたら、745÷74=10あまり5だから、□に4より大きい数は入らない。
7□5と740 (74×10)を比べると、商が一桁になるかどうかが分かる。
割られる数と割る数の大きさの関係を考えると、商の大きさがどれくらいか分かる。
評価問題

□に1~9の数を入れます。商が1けたになるのは、どんなときでしょう。
子供に期待する解答の具体例
割られる数は36×10=360よりも小さくなればよいから、360より小さくなるように、□42の数を考える。
答えは1、2、3となる。
本時の評価規準を達成した子供の具体の姿
割られる数の大きさと割る数の大きさに着目して、商の大きさを考えている。
感想例
- 一つ一つの筆算をしていく方法は安心できるけれど、とても無駄なことをしている気がしてきました。
- いくつかの解き方があったが、割る数を10倍して、割られる数と比べるやり方が、一番手順が少なくてやりやすいと思います。
- 筆算するときに、何も考えないで計算するのではなく、大体どのくらいかを考えてから取り組むようにしたいと思いました。
- わり算だけでなく、ほかのことも見通しをもって進めていくことが大切だと思います。
1人1台端末活用ポイント
この学習のように、みんなで考えを練り上げていく場合には、いくつかの解き方を取り上げ、それぞれの解き方について比較・検討していくことがとても大切になります。その際に、子供たち一人ひとりの考えを把握しておいて、意図的な指名や考えをみんなに紹介することに役立てたいものです。
そのような場面においても、1人1台の端末を活用する余地が十分にあります。一人ひとりの作業状況が確認できるシステムが入っていれば、ノートの代わりに使って、1人1台端末の上に考えのメモを残していくようにすると、教師の端末で子供たちの学習状況を把握できるので便利です。
1人1台端末の機能によっては、授業のさまざまな場面で効率的かつ効果的に活用できます。自校の端末がもっている機能をよく確認し、うまく実践につなげてみることが大切です。
イラスト/横井智美
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