漢字を書かずにひらがなばかり使って書く子への指導のコツ|沼田晶弘の「教えて、ぬまっち!」

「ダンシング掃除」や「プロジェクト制」など、ユニークな指導法で子供たちのやる気と自主性を引き出す「ぬまっち」こと、沼田晶弘先生 。今回は、習った漢字を使わず、ひらがなばかり使って文章を書く子への指導アイデアを紹介していただきました。

目次
日常生活の中に、いかに漢字を使う機会をつくるかが重要
子供が漢字を使わない理由は、恐らく3つある。
その漢字を知らないか、漢字を書くのが面倒なのか、漢字を間違えるのが嫌なのか、のいずれかだろう。
しかし、前回も書いたけれど、言葉や生活習慣は、すぐには直らない。
漢字で書くことを習慣づけしたい場合は、繰り返し漢字を使う機会をつくり、時間をかけて指導するしかない。
そもそも最近は、「書く」という活動が昔に比べてかなり少なくなっているよね。
ボクが子供の頃は、女の子たちがとにかくたくさん友達に手紙を書きまくっていたように思う。いまはSNSやメールばかりだし、携帯が勝手に文字を漢字に変換してくれるので、漢字を書く機会が少ないんだよね。
だからこそ、日常生活の中で、いかに漢字を覚えて、漢字を使いたくなる状況を作るかが重要になる。
漢字を使う子が増える「漢字テスト」の工夫
ボクが工夫しているのは、「漢字テスト」だ。
ボクのクラスでは、毎週13問の漢字テストをしている。
ボクの漢字テストはちょっと変わっていて、まずボクが黒板にひらがなのみ使って短い文章を13本書き、子供たちはそれぞれの文章をこれまでに習ったすべての漢字を用いて書き直すというもの。
だから試験範囲は、小学校に入ってからこれまでに学んだ漢字すべて。
しかも、ボクは子供たちが実社会で漢字をちゃんと使えるようになるために、問題となる文章には時事ネタを入れたりしている。
例えば2021年の五年生で二学期なら、こんな文章を入れようと思っている。
「わかがえりのせんきょといわれているが、いくつからが、ろうじんなのか」
ちなみに、以下が、昨年度の五年生のクラスで行った漢字テストの例。

さらに、「漢字テスト強化プロジェクト、略してKTK」というプロジェクトを立ち上げ、漢字テストの結果がよい子をKTKメンバーとして選抜し、KTKメンバーカードを発行。プロジェクトを任せてみた。
メンバーは、自分なりに考え、予想問題や模擬試験をつくるなど、工夫を凝らすようになった。さらに、メンバーに入れなかった子供たちは、メンバーに選ばれたくて、漢字を一生懸命練習するようになる。
しばらく続けると、びっくりするくらい漢字テストの平均点は上がってくるんだよね。
そして、漢字テストの点数が上がってくると、確実に漢字を使う子供が増えていくので、やはり習慣づくりはこうした地道な取り組みが重要だなと実感している。