小5体育「陸上運動(ハードル走)」指導アイデア

執筆/滋賀県公立小学校教諭・籠谷宜子
編集委員/国立教育政策研究所教育課程調査官・塩見英樹、滋賀県公立小学校教頭・内藤康司

授業づくりのポイント

高学年でのハードル走は、自分に合ったインターバルでリズミカルに走り越すことをねらいにします。障害物を走り越すときに生まれる「走る+跳ぶ」「跳ぶ+走る」という二つの運動をスムーズに行うことがリズミカルな走りにつながります。

本単元では、「楽しもう」でリズミカルに走り越すための「トン・123」のリズムを見付け、そのリズムを崩さずに最後まで走り切れるように学習していきます。そして、「もっと楽しもう」では、学習してきた成果が分かるように、タイムを得点化し、仲間と一緒に記録の伸びを喜び合い、ハードル走の学習を楽しめるようにしています。

単元計画(例)

単元計画(例)

※単元前半は、3歩のリズムで走り越すことを目指します。後半では、ハードルを4台にしたハードル走に挑戦します

楽しむ① 踏切や着地の時の体のブレをなくし、リズムよく走ろう

「スキルアップタイム」では、リズムよくハードルを走り越す動きを身に付けます。リズムよく走るための「インターバル」「1台目までは全力」「踏み切りと着地の動作」の視点を、3人チームでそれぞれの動きのポイントを見合い、自分の課題を見付けられるようにします。

「ラーニングタイム」では、自分に合ったインターバルの場で、3台のハードルを用いて走り越すリズムを確認します。「トン・123」の口伴走や「見える化グッズ」を使って、チームの仲間の動きを観察し、自分に合ったインターバルをさらに修正したり、リズムよく走り越す動きを身に付けたりできるようにしていきましょう。

スキルアップタイム

インターバル探し

インターバル探し

ハードル走のリズムをつかむ。自分のインターバルに合わせてハードルの位置を変える。


1歩ハードル

1歩ハードル

インターバルを速く走る足の練習。走りながら体のバランスを保って、次の振り上げ足を前に出す。


全力1台

全力1台

第1ハードルまで全力で走る練習。踏切り足が合うようにスタート時の構えの姿勢でどちらの足を前にするとよいか考える。


ジャンプ&ラン

ジャンプ&ラン

着地後すぐに走り出す練習。安定して着地し、着地後の一歩を大きく速く出せるようにする。


ラーニングタイム

ラーニングタイムの場

ラーニングタイムの場

見る人は、見る役割によって立つ場所を横や正面などに変えましょう。インターバルが合わなくなったら、隣のコースへ移動しましょう。

【ポイント】

  • スキルアップタイムの場からラーニングタイムの場に変える。事前にハードルを置く位置にポイントを打っておく。
  • 各コースの間隔は広くあける(1.5m以上)
  • 走者は走る前にどこを意識して走るのかを、仲間に伝える例)「3台のハードルを同じ振り上げ足で走り越せているか」「振り上げ足がまっすぐ上がっているか」「3台のハードルを、トン・123のリズムで走り越せているか」「ホワイトラインの上を走り越せているか」
  • 走り越すリズムを確かめるために、伴走者の「トン・123」の口伴奏に合わせて走り越す。
  • 振り上げ足にカラーテープを貼り、同じ振り上げ足で走り越せているかを観察する。
  • 観察スコープで観察する

楽しむ② 40m走とのタイムと比較して、チームで伸びを確かめよう

【楽しむ②】では、障害物のない隣のレーンを一緒に走って競争するなど、チームで課題解決できるようにしていきます。そして、40m走のタイムと40mハードル走のタイムの差を得点化し、チームの仲間やクラスのみんなの記録を合計することで、前時との記録の伸びを仲間と一緒に喜び合えるようにしています。

また、40m走のタイムとの比較であるため、走力の低い子も仲間から称賛や励ましの言葉をもらうことができ、学習意欲を高めていくことができます。

チャレンジタイム

チームで役割分担をし、視点を絞って見るようにしましょう。そうすることで、仲間に伝えやすくなります。上手くできていたときは腕で丸をするなど合図をするとよいでしょう。

役割分担

役割分担

「第1ハードルまでの走り」や「トン・123のリズム」を観察するときは、観察位置を変えてレーンの横から見るようにしましょう。

記録シート

記録シート

かかわり思考ツール「見える化グッズ」

①振り上げ足テープ
振り上げ足の靴にカラーテープを貼り、同じ振り上げ足で走り越せているかを観察できるようにします。仲間はゴールライン後方に位置し、正面から観察スコープを使って観察します。

②観察スコープ
下図のようにA4サイズの板紙の真ん中を切り抜き、その枠越しに観察できるようにすることで、見る視点が焦点化できるようになります。

観察スコープ

【観察の様子】
③ホワイトライン
コースの真ん中にラインを引き、まっすぐ走り越せているかを意識できるようにします。観察者は正面から観察し、気付いたことを仲間に伝えるようにしましょう。

ホワイトライン

イラスト/たなかあさこ、横井智美

『教育技術 小五小六』2020年10月号より

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