小3国語「ちいちゃんのかげおくり」指導アイデア
教材名:「ちいちゃんのかげおくり(光村図書 三年下)
指導事項:〔知識及び技能〕⑴ オ 〔思考力、判断力、表現力等〕C ⑴ エ、オ、カ
執筆/福岡県公立小学校教諭・小島歩
編集委員/前・文部科学省初等中等教育局教科調査官・菊池英慈、福岡県公立小学校校長・山﨑千歳
目次
単元で付けたい資質・能力
①身に付けたい資質・能力
文章を読んで理解したことに基づいて、感想や考えをもちながら読む力を育成します。子供は、これまでに登場人物の行動や気持ちなどを自分と比べながら読み、感想をもつ経験をしています。また、文章を読んで感じたことや分かったことを、友達と共有しながら読みを深めてきました。
この経験に基づき、登場人物の気持ちに寄り添いながら読んだり、物語全体に描かれた複数の叙述を結び付けて読んだりすることで、物語の世界を深く理解し、豊かな感想をもつことができるようにします。
②言語活動とその特徴
本単元には「物語を読んで自分の考えをもち、感想にまとめる」という言語活動を位置付けます。自分の考えをもつためには、登場人物の気持ちの変化や情景について、場面の移り変わりと結び付けて具体的に想像しながら読んでいきます。
また、物語を読んで感じたことや考えたことを友達と共有し、一人ひとりの感じ方に違いがあることに気付かせながら感想をまとめ、読みを深めていくようにします。
単元の展開(10時間扱い)
主な学習活動
第一次(1・2時)
①②これまでに学習してきた物語の読み方をふり返って確かめ、「ちいちゃんのかげおくり」を読んで感想を伝えたいという思いを醸成しながら単元を設定し、学習計画を立てる。
【単元】場面をくらべながら読み、感想をまとめよう
②教科書94~95ページの作例を読んで、調査報告文の構成や内容について話し合う。
③報告書にまとめたい仕事を決めて、学習計画を立てる。
第二次(3~7時)
③④一~三場面までの出来事や登場人物の心情を想像しながら読む。
→アイデア1 主体的な学び
⑤一場面と四場面のかげおくりを比べて共通点や相違点を話し合う。
→アイデア2 対話的な学び
⑥四場面の登場人物の心情と、読み手の心情を比べて考える。
⑦五場面を読んで、場面の役割について話し合う。
※場面ごとに心を打たれた部分と感想を書き溜めておく。
第三次(8~10時)
⑧心を打たれた場面について、自分の感じたこととその理由をまとめる。
⑨自分が選んだ物語の感想をまとめる。
→アイデア3 深い学び
⑩同じ物語を選んだ友達と感想を伝え合う。
アイデア1 言葉や叙述にこだわり、自分なりの解釈をする一人学び
場面の出来事や登場人物の気持ちを想像しながら読む際、言葉や叙述を基に読みを深める活動を展開します。言葉に着目する観点として、どの場面にも出てくる言葉(例えば「空」)、その場面を象徴する言葉(一場面で「記念写真」という言葉)を示し、自分でどの言葉に着目するかを決めます。
どの場面にも出てくる言葉を追うことで場面の移り変わりが捉えやすくなり、登場人物の気持ちの変化を場面の移り変わりと結び付け、具体的に想像しながら読むことができます。その活動は、物語を自分の理解を深めながら読むことにつながり、主体的に物語を読むこととなります。
▼ワークシートの工夫(一場面)
アイデア2 個別に学んだことを持ち寄り、互いに高め合うグループ学習
物語を読み深める段階では、二つのかげおくりの共通点と相違点を比べることにより、主人公がどのような思いでかげおくりをしたのか、場面の移り変わりを捉えて物語を読むことができるようにします。まずは、各自で二つのかげおくりの共通点と相違点を叙述から探し、ワークシートにまとめます。
そして、グループで互いの考えを共有し、さらに全体共有の場に展開します。その際、「(声が) ふってきました」などの言葉に着目させ、言葉の意味やその言葉がもつ働きなどについて話し合うことを通して、登場人物の気持ちを深く考えることに迫ります。板書は、二つの共通点と相違点を構造的に示し、子供の思考を深めるようにします。
このように、個々の読みに基づきながら共有の場を繰り返し設定することで、自分の感想や考えを見直すとともに、どのように場面の移り変わりを捉え、理解したのかを確かめることにつながる活動となります。
▼板書例
イラスト/佐藤道子、横井智美
『教育技術 小三小四』2020年9月号より