小2生活「おいしくなあれ!  ぼく・わたしの野菜」指導アイデア

執筆/愛知県公立小学校教諭・朝倉有利子
編集委員/文部科学省教科調査官・渋谷一典、文部科学省教科調査官/愛知淑徳大学准教授・加藤 智、愛知県公立小学校校長・稲田あけみ

期待する子供の姿

知識及び技能の基礎

野菜を栽培する活動を通して、野菜が生命をもっていることや成長していることに気付く。

思考力、判断力、表現力等の基礎

野菜を栽培する活動を通して、それぞれの野菜の成長の様子や世話の方法に関心をもって働きかけることができる。

学びに向かう力、人間性等

野菜を栽培する活動を通して、野菜への親しみをもち、大切に育てようとする。

小2生活「おいしくなあれ!  ぼく・わたしの野菜」指導アイデア

単元の流れ(16時間)

単元に入る前に、野菜を料理したり食べたりした絵日記や作文を取り上げ、栽培への意欲を高めておきます。

一年生では、どんな植物を育てましたか。

アサガオを育てました。毎日、お世話をして、花が咲いたときうれしかったな。

二年生では、野菜を育ててみたいな。

学習の流れ

どんな野菜を育てようかな(2時間)

ナスが育てやすいって、おばあちゃんが言ってたよ。

甘いミニトマトを育てて、トマトが好きなお母さんに食べてもらいたいな。

【評価規準等】
 野菜の特徴を本で調べたり、親しい人に聞いたりして、育ててみたい野菜を選んだり決めたりしている。

※評価規準等:=知識・技能、=思考・判断・表現、=主体的に学習に取り組む態度の観点、を示しています。

こんにちは、私の苗ちゃん(2時間)

野菜名人と子供
子「植木鉢の真ん中に植えるといいんだね」
野菜名人「上手に植えたね」

【評価規準等】
 大切に育てたいという思いをもって、植木鉢に土を入れたり、苗を植えたりしている。

苗ちゃんの世話をしよう(6時間)

葉っぱは、トマトのにおいがするよ。

これで安心。ぐんぐん伸びるかな。

【評価規準等】
 野菜にも自分と同じ生命があり、成長していることに気付いている。

大変だ!苗ちゃんを助けよう(2時間)

私の葉っぱは、虫がいっぱい。どうしよう。

僕の葉っぱは穴が開いちゃった。野菜名人に聞いてみようよ。

野菜名人と子供
「虫が来なくなるにはどうしたらいいですか」

【評価規準等】
 困ったことを友達と相談したり、野菜名人に聞いたりして、野菜の立場に立って世話の方法を見直している。

野菜を収穫しよう(2時間)

このキュウリは、お母さんにプレゼントしよう。

たくさん採れたから、みんなで食べたいね。

どの野菜も、とっても大きく育ったね。

【評価規準等】
 自分が育てた野菜に親しみや愛着をもったり、収穫の喜びを味わったりしている。

野菜アルバムを作ろう(2時間)

トマトがいっぱいできて、うれしかったな。

収穫できたのは、がんばって育てたからだね。

【評価規準等】
 野菜の世話が上手にできるようになった自分自身の成長に気付いている。

活動のポイント1 栽培活動への意欲が継続する工夫をしましょう。

繰り返し関われる場所

栽培場所は、身近な場所にしましょう。例えば、登校時に通る通路沿いに植木鉢を置いたり、教室から見える花壇に植えたりすれば、ちょっとした変化に気付きやすく、自然と関わりも増えます。

植物をチェックする子
「今日も、僕のミニトマトさんは、元気かな」

観察カードなどの掲示

観察は、成長の様子を絵に描いたり、写真に撮ったりする方法以外にも、茎やつるの長さを記録することもおすすめです。観察時に紙テープを何本か用意しておき、茎やつると同じ長さに切って観察カードと一緒に掲示します。毎回伸びていく記録を見て、子供たちは観察が楽しみになります。

掲示を見る子
「キュウリの背がまた伸びたね」

活動のポイント2 さまざまな人との関わりがもてる活動にしましょう。

長い栽培活動の間には、「人」と関わるチャンスが何度もあります。

まずは、同じ野菜を育てている子供同士でグループをつくります。助け合いながら活動することで、個々では気付かなかったことにも目を向けられるようになります。

また、野菜ごとの成長の違いや特徴について、他のグループと意見交換することで、気付くこともあります。そして、苗の植え付けや虫害・病気への対処には、地域で農家を営んでいる方や、園芸店の人、子供たちの家族で野菜を作っている人など、「野菜名人」にアドバイスをしてもらいましょう。成長過程で何度か来てもらい、励ましてもらったり、ほめてもらったりすることで、子供たちの自信にもつながります。

他にも、収穫後に調理をして食べるときには、学習ボランティアや保護者に手伝ってもらうことも考えられます。

このようにさまざまな人と関わり、対話を重ねることで、子供たちは、自分の野菜により積極的に働きかけるようになり、自分の野菜への愛着を深めていきます。

さまざまな人たちとの関わり

評価のポイント 思考力、判断力、表現力等の基礎を養うために。

書くことが苦手な子にはこんな支援を

  • 諸感覚(目、耳、鼻、手、心など)を書き入れた学習カードを用意する。
  • 写真や動画で記録を残す。
  • 対話を通した気付きの自覚。

何を書けばいいのかなぁ。

この前と比べて変わったところはどこかな。

観察や世話を通して得た気付きを全体で交流しましょう

個々の気付き

観察や世話を通して得た気付き

同じ野菜を育てている子供同士で、気付きの共有

学級全体で気付きの交流

学級全体で気付きの交流
  • 学級全体での交流では、気付きを視点ごとに整理しながら板書していきます。子供たちはそれを見比べ、他の野菜との共通点や相違点に気付きます。共通点として、花の咲いた後に実ができていることなどに気付くでしょう。
  • その新たな気付きをその後の世話に生かしているか、見とることが大切です。

イラスト/高橋正輝、横井智美

『教育技術 小一小二』2021年4/5月号より

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