小1国語「どうぞよろしく」指導アイデア
教材名:「どうぞよろしく」 光村図書 一年上
指導事項:〔知識及び技能〕(1)キ
〔思考力、判断力、表現力等〕A(1)ア 言語活動例 ア
執筆/東京学芸大学附属小金井小学校教諭・成家雅史
編集委員/文部科学省教科調査官・大塚健太郎、東京学芸大学附属小金井小学校教諭・成家雅史

目次
単元で付けたい資質・能力
①身に付けたい資質・能力
入学して間もない一年生にとって、友達をつくりたいという意欲や友達ができる喜びを感じる時期です。
また、大勢の前で話すことや大勢に向かって話していることを聞いて理解することに慣れていない時期でもあります。ですから、一対一で互いの目を見て、自分の名前と好きなことやものを伝え合うことができるようにすることをめざします。本単元では、友達に自己紹介をする際に、どんな事柄を選ぶと自分のことを分かってもらえるかという話題に沿って、必要な事柄を選ぶ力を付けていきます。
②言語活動とその特徴
「自分の好きなことやものから、自己紹介に必要な事柄を選んで、声に出して伝える」という言語活動を位置付けます。自分の名前と好きなことやものを一つだけ記述したカードを持って、クラスの全員とカードを交換します。その様子から、「名刺交換会」という単元名にしています。
活動方法としては、教室を自由に歩き回って出会った友達と取り組む方法と、ドーナツ型に内側と外側に円を作って順番に回る方法もあります。
単元の展開(2時間扱い)
主な学習活動
第一次(1時)
◎学習の見通しをもち、カードに名前と好きなことやものを書く。
- 教師同士の「名刺交換会」をビデオで視聴し、学習の見通しをもつ。
→アイデア1
【学習課題】
すきな こと や すきな もの を カードに かいて、つたえあおう
- 自分の好きなことやものを列挙する。
- カードの書き方を知り、カードに自分の名前と好きなことやもののなかから選んだ事柄を一つ書く。
第二次(2時)
◎「名刺交換会」の方法を確かめて、友達と自己紹介をし合う。
- 教師同士の「名刺交換会」をビデオで視聴しながら、やり方やポイントを確かめる。
→アイデア1
- 「名刺交換会」をして、自己紹介をする。
→アイデア2
- 「名刺交換会」を行った感想を発表し合う。
→アイデア3
アイデア1 活動のモデルを見て、学習の見通しをもつ
主体的な学び
見通しをもって学習に取り組むことができるようにします。一年生には、口頭で説明するよりも視覚のほうが理解しやすいため、教師同士で「名刺交換会」を行い、ビデオに録っておき、何度も視聴できるようにします。

ビデオを視聴する際は、やり方やポイントが理解できるように、全体を通して流したり、一時停止したりしながら視聴するようにしましょう。
ポイントは、話す順番や紹介する事柄です。好きな食べ物など、いろいろな種類を挙げて、何を選ぶか考えさせるようにしましょう。
アイデア2 「名刺交換会」を行う
対話的な学び
名刺カードの大きさや素材は、B5からA4サイズの画用紙がちょうどよいでしょう。文字の大きさは、教師が実際のものを見本として見せましょう。
一年生は、バインダーを首からかけて台になるボードを購入している学校が多いと思います。それに挟んでおいて、あいさつのときに1枚だけ取るようにすると、雰囲気も出るでしょう。
また、学級の児童名簿をひらがなで表示したものを配付し、誰と名刺交換をしたのか、名前をチェックしながら行うことができます。時間と人数にもよりますが、「〇人の友達と交換しよう」という目標を立てることも意欲的な活動につながります。
むやみに全員とすると、一人ひとりとの時間が雑になってしまうことがあります。カードを見せ合うだけで終わらないように、留意しましょう。例えば出会ったときに、どちらが先に紹介するかを決めておくことで円滑に活動を進められます。

自己紹介以外のあいさつや会話も入れて、かしこまりすぎないようにしましょう。
アイデア3 「名刺交換会」をふり返る
一年生であっても、活動しっぱなしではなく、しっかりふり返りましょう。
ふり返りの方法としては、感想を発表し合ったり、教師が上手だった子供たちを紹介したりすることが挙げられます。まだ、一年生の4月ですから、感想を記述することはやめましょう。
ふり返る際に、教師としては、次のようなものを意識しているとよいでしょう。
話す
- 相手の目を見て話すとができたか
- 自分の名前、好きなことやものを相手に伝わるように話すこ
とができたか - 自分から相手を見付けて話すことができたか
聞く
- 相手の目を見て聞くことができたか
- 相手の名前、好きなことやものを聞いて分かったか
- 相手が話したことが分からなかったら聞き返したり、質問したりすることができたか
話すことと聞くこと、それぞれでふり返る観点があります。この観点は、ビデオでモデルを視聴したときに、押さえておくとよいでしょう。一年生向けの易しい言葉にして、掲示しておくのもおすすめです。

イラスト/川野郁代
『教育技術 小一小二』2021年4/5月号より