小4算数「角の大きさ」指導アイデア
執筆/新潟県公立小学校教諭・清野佳子
編集委員/文部科学省教科調査官・笠井健一、新潟県公立小学校校長・遠藤昇
目次
本時のねらい
本時1/7時
ほかの量と同じように、角の大きさを比べるときも単位とする大きさを決めて、そのいくつ分で表せばよいと考えている。

評価規準
三角定規の角の大きさを基に、示された角の大きさをいくつ分で表すことを考えることができる。(数学的な考え方)

問題
体操をしている5人を上から見ました。足を大きく開いている順に並べましょう。
角の大きさと辺の長さを混同する子供がいます。そこで、辺が開くイメージをもちやすく、複数の辺の長さになる問題場面を提示しましょう。ここでは子供の生活経験に基づき、体育で開脚して体操をしている場面を提示します。
どんな順になりそうですか。
エが一番大きくて、ウが一番小さいと思う。
イはエより小さそうだけど、はっきりしない。
アとオはどちらが大きいか全然分からない。
学習のねらい
どのように調べると大きさが分かるかな。
見通し
頂点の部分。とんがり具合を調べれば分かる。
辺の端。端と端の離れ具合を調べれば分かる。
自力解決の様子
A つまずいている子
辺の端から端までの長さを測って比べてみよう。
・角の大きさと辺の長さを混同し、辺の長さが長いと角の大きさが大きいと考えている。
B 素朴に解いている子
紙に写し取って、重ねて比べてみよう。
・重ねてはみ出たほうが大きい、はみ出ないほうが小さいと考えている。
C ねらい通り解いている子
三角定規の角をあてて、いくつ分になるかで比べてみよう。
・任意の単位を決めて、角の大きさを数で表そうと考えている。
学び合いの計画
Bが写し取った角の大きさを重ねて見せることで、Aは比べる部分を見直し、辺の開き具合に着目し始めます。また、Cの「アとオは三角定規の角2つ分で同じ大きさ」という説明と、Bの操作で「ぴったり重なった」こととで、角の大きさは辺の開き具合で比べることを確認することができます。角の大きさと辺の長さを混同し続ける子供がいたら、大きさの異なる2つの三角定規を提示して角の大きさを比べ、角の大きさは辺の長さとは関係がないことに気付かせます。また、「ウ以外は三角定規の角のいくつ分と言えたけれど、ウは三角定規のどの角よりも小さくていくつ分で言えなかった」ことを取り上げることで、角度の学習へと展開することができます。
ノートの例

全体発表とそれぞれの考えの関連付け


比べている部分が違うから大きさも変わっているね。
Aの考えだと、アの辺を短くすれば小さく、長くすれば大きくなるね。

Aの考えで見ると、二年生のときに学習した直角は、上のカ、キの三角定規ではキが大きくなるね。
Aの考えだと、同じ直角でも辺の長さで大きさが変わってしまう。辺の端と端がどれだけ離れているかではなくて、辺と辺がどれだけ開いたかを調べなければいけないのね。

いくつ分で表すと、同じかどうかだけでなく、どれだけ違うかも分かるね。
辺と辺の開き具合を角の大きさと言います。
学習のまとめ
角の大きさは、長さやかさと同じように一つ分を決めれば、いくつ分で表すことができる。
三角定規の角が一つ分だと大きすぎていくつ分に表せない角の大きさがあったので、長さのときの1㎝や1㎜のように、角の大きさにも小さい一つ分がほしいです。
評価問題
次の角の大きさを三角定規の角を使って、いくつ分で表しましょう。

子供の期待する解答の具体例

本時の評価規準を達成した子供の具体の姿
三角定規の角いくつ分で角の大きさを説明できる。
感想例
辺と辺の開き具合を「角の大きさ」と言い、長さやかさのように、一つ分の大きさを決めていくつ分で表すと、大小だけでなくいくつ違うかが分かりました。今日は三角定規の角を一つ分にしたらいくつ分で表せない場合があったので、次はみんなで使えるもっと小さい一つ分を探したいです。
『教育技術 小三小四』2020年6月号より