小6国語「サボテンの花」「生きる」指導アイデア
教材名:「サボテンの花」「生きる」 東京書籍
指導事項:【知・技】(1)ク・ケ
【思・判・表】C読むこと(1)エ・オ
言語活動:イ
執筆/京都府公立小学校教諭・本城脩平
編集委員/文部科学省教科調査官・菊池英慈、前京都府公立小学校校長・藤本鈴香
目次
単元で付けたい資質・能力
①身に付けたい資質・能力
本単元では、文学的な文章や詩を読んで自分の感じたことや考えたことをまとめる力、その感じたことや考えたことを音声言語として表現する力を育てていきます。
自分の感じたことや考えたことをまとめるためには、作品を読み深め、心に響いたところやその理由、根拠となる叙述を明確にすることが必要となります。
また、自分の感じたことや考えたことを明確にする過程で、そのことを伝えるためには、どのように表現すればよいのかを検討することが必要となります。
②言語活動とその特徴
本単元で取り組む言語活動として朗読を位置付けます。朗読とは、「自分の思ったことや考えたことを踏まえ、聞き手に伝えようと表現性を高めて、文章を声に出して読むこと(『学習指導要領解説 国語編』)」です。
朗読を単元のゴールとすることで、文章の全体像を具体的に想像したり、表現の効果を考えたりし、作品に対する自分の考えをまとめる力、それを音声言語で表現する力を育成することにつなげます。
単元の展開(4時間扱い)
主な学習活動
第一次(1時)
①二つの朗読のモデルを比べ、学習課題を設定し、学習の見通しをもち、学習計画を立てる。
→アイデア1
【学習課題】「物語や詩を、朗読で表現しよう」
第二次(2・3時)
②朗読で表現するために、「サボテンの花」や「生きる」を読み、心に響いたところとその理由、根拠となる言葉や文を見つけ、自分の考えをもつ。
③朗読で表現するために、「サボテンの花」や「生きる」を読み、心に響いたところとその理由、根拠となる言葉や文について交流し、聞き手に伝わるような自分なりの朗読をつくる。
→アイデア2
第三次(4時)
④朗読する作品を選び、作品に対する自分の考えをまとめ、朗読で表現する。作品を読み、自分が感じたことや考えたことをどのように表現できたか、学習を振り返る。
→アイデア3
アイデア1 二つの朗読のモデルを比較し、朗読について捉えよう
二つの朗読のモデルを比較することで、朗読は自分なりの解釈をもとに音読をすることであり、読み手によって違いがあることを捉えられるようにします。

▼(例))「大造じいさんとガン」の朗読を比べて…
A、Bの朗読を聞き比べましょう。どんな違いを感じましたか。
Aは会話のところを大きく読んでいるね。強弱がはっきりしているけど、やさしい声だと感じたよ。
Bは速さや間に特徴があるね。Aと同じように強弱がはっきりしているけど、勢いを感じるね。
その違いは、どうして生まれたのでしょう。
読む人によって思い浮かべることや感じたことが違うからじゃないかな。
自分なりに感じたことや考えたことを表現すればいいんだね。
朗読CDを活用することもできますが、教師が事前に録音したものを活用すると、子供たちの「朗読で表現してみよう」という学習意欲につながります。
アイデア2 ペア交流を重ねて、自分なりの朗読をつくろう

自分なりの朗読をつくるためには、自分の心に響いたところを何度も繰り返し、声に出して読み合い、「なぜそのように読んだのか」理由を明確にすることが大切です。
実際に声に出すことで、自分の感じたことや考えたことと音声言語の表現を結び付けて自分なりの朗読をつくることができます。
▼ペア交流のモデル
サボテンの「ぼくがあるから…」のところが一番心に響きました。読んでみるので、聞いてください。
→声に出して読む
間をとりながら、一つ一つの言葉を丁寧に会話文のところを読んでいましたね。どうして、そんな読み方をしたのですか。
この言葉に、自分が傷つきながらも、人を助けるサボテンの意志がよく表れていると思うからです。
風がいう平野ではなく、砂漠に生きるサボテンの強さとやさしさを朗読で表現したいと思います。
・同じところに心が響いた友達
・違うところに心が響いた友達
など交流相手を替えながら、ペア交流を繰り返しましょう。
交流のイメージがもちにくい場合は、教師のペア交流のモデル動画などを活用することも有効です。
アイデア3 朗読宣言を書き、自分なりに感じたことや思ったことを朗読で表現しよう
朗読を伝え合う際には、「朗読宣言」を書き、作品に対する自分の考えをまとめるようにします。文章化することで、これまでの学習を振り返りながら朗読できるようにするとともに、子どもたちの読みを捉え、評価へと生かすことができます。
▼朗読宣言(例)
「サボテンの花」では、作者やなせたかしさんの○○という思いが描かれています。サボテンの「ぼくがあるから…」のところは、自分を犠牲にしながらも他人を助ける生き方の素晴らしさが表現されています。聞き手に伝わるように、○○を工夫して朗読をします。

(朗読を聞いた感想)
場面の様子に合わせた声の出し方、声の強弱や読む速さ、間の取り方を工夫することで、心に響いたところがよく伝わるね。
うまくいった表現やどの工夫が効果的だったのかを振り返り、自己評価と相互評価をすることができるようにしましょう。
本単元での学びを生かし、帯時間等に物語や詩の朗読・群読に取り組むことで、より確かな学びへとつなげることができます。
イラスト/斉木のりこ 横井智美
『教育技術 小五小六』2020年4/5月号より