もし学年主任との相性が悪かったらどうする?|沼田晶弘の「教えて、ぬまっち!」
子供の自主性・自立性を引き出す斬新でユニークな授業が話題のカリスマ教師、沼田晶弘先生。
今回は、「学年主任と相性が悪く、コミュニケーションが取りづらい」という苦手意識を持っている先生からの悩みについて、アドバイスをいただきました。
目次
苦手な上司でも、プロ意識をもち、コミュニケーションを取るべき
「学級主任と相性が合わない」「学級主任が苦手」という話をよく聞くけれど、ボクからのアドバイスとしては、教師もプロなのだから、プロ意識をもって、プロの仕事をすることに意識を注ぐべきということ。
どんな業界でも、すべての上司と相性が合う、全員が仲がよい職場なんて、ありえないと思っている。同じ職業をしていても、人それぞれ、いろいろな価値観があるのだから、相性が合わない人もいるだろうし、話したくない同僚や、あまり近づきたくないような上司もいるだろう。
でも仕事なのだから仕方がない。 どんなに苦手な上司でも、ホウ・レン・ソウをするのが社会人の務めだし、子供たちのためにも、学年主任とは最低限のコミュニケーションはとる必要があるだろう
大人でも、人間関係は難しい 子供にも「仲よく」を求めすぎない
大人でも同じ職場でいろいろな人間関係があるのだから、クラスの子供たちに「みんな仲良く」と求めることも見直すべきだと思っている。
同じクラスなのだから仲よくすべきというのは、教師側の一方的な要望であり、もし「みんな仲よく」ということを子供に求めるのであれば、自分自身も職員室では誰とでも仲よくすべきだ。
ちなみにボクは子供たちに「みんな仲良くしょう」とは言わない。
大人でも全員に仲よくすることは難しいのに、子供に要求するのはフェアではないと思うからだ。だからといって、気が合わない友達を攻撃するのはよくない。
だから、子供たちには「仲よくしなくてもいい。でも仲悪くするな」と言っている。
喧嘩になりそうなときには、「相手が嫌いでも、攻撃はするな。嫌なら離れなさい」と伝えている。
どうしても合わない相手とは、無理に仲よくさせるよりも、上手に距離をとるということを学ばせたほうがよいと思っている。
相手を変えることはできない。仕事上の付き合いと割り切る
学年主任との関係は、正直、運もあるだろう。
恐らく、相手も苦手意識をもっているのかもしれない。
それでも、お互いにプロ意識をもって接するしかないよね。
伝えるべきことは伝え、確認すべきことは確認する。
お互いの関係で、必要なことがクリアできていれば、それ以上気を遣ったり、無理に関わりをつくって仲よくなる必要はないと思う。
もちろん、学年主任にもプロ意識をもち、同じ学年の先生方にもっと気を使ってほしいと思うこともあるだろう。でも相手を変えることできないと割り切ったほうがいい。
そして、学年主任との関係は、永遠に続くわけではないと気持ちを切り替えよう。
世の中には、どうしても自分と合わない人はいる、同じ職場で、同じ目的をもって働いても、仲よくなれない人がいる。
そういう自分を受け入れると、子供同士のトラブルにも寛容になれるんじゃないかな。
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沼田晶弘(ぬまたあきひろ)●1975年東京都生まれ。国立大学法人東京学芸大学附属世田谷小学校教諭。東京学芸大学教育学部卒業後、アメリカ・インディアナ州立ボールステイト大学大学院にて修士課程を修了。2006年から現職。著書に『「変」なクラスが世界を変える』(中央公論新社)他。
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取材・構成・文/出浦文絵