小5社会「情報をつくり伝える仕事」指導アイデア
執筆/埼玉県公立小学校教諭・鈴木祐介
編集委員/文部科学省教科調査官・小倉勝登
目次
目標
放送などの産業について、情報を集め発信するまでの工夫や努力などに着目して調べ、放送などの産業の様子を捉え、国民生活に大きな影響を及ぼしていることを理解するとともに、それらの産業が国民生活に果たす役割について考え、表現している。

学習の流れ(7時間扱い)
問題をつくる(2時間)
○身の回りの「情報」について話し合う。
○ニュース番組を見て気付いたことについて話し合い、学習問題をつくる。
〈学習問題〉
わたしたちが受け取る情報は、だれがどのようにして伝えているのだろう。

追究する(4時間)
○ニュース番組づくりについて調べる。
○ニュース番組どうしの違いについて調べる。
〇様々なメディアの特徴について調べる。
○情報活用と報道被害について調べる。

まとめる(1時間)
○情報が発信されるまでの仕組みと、情報を受け取り、活用する際に気を付けることについてまとめる。
導入の工夫
ニュース番組の地震や津波の速報のニュース映像を視聴させ、遠く離れた場所のニュースがすぐに放送されるという事実から、番組づくりの工夫に気付くようにします。
問題をつくる(2/7時間)
ニュース番組が短時間で地震報道に切り替わる事実から、学習問題をつくります。
1時間目
身の回りにはどんな「情報」があるのか、どんなメディアがあるのかを話し合います。また、受け取る情報をどのように活用しているのかを話し合います。
2時間目
ニュース番組を見た経験や、ニュース番組の映像を見て気付いたことを話し合い、学習問題をつくり、予想を立てます。
あるニュース番組の一場面です。
どんなことに気付きますか?
ニュースの内容が変更されて、地震速報が流れているね。
地図が出て、場所がわかりやすいようになっているね。
地震が起きたその時間に、もう地図や速報が出ているよ。
3分後には津波の情報、5分後には地震が起きた新潟の映像に変わっているね。
どうやってこんなに速く情報を伝えられるんだろう?
〈学習問題〉
わたしたちが受け取る情報は、だれがどのようにして伝えているのだろう。
追究する(6/7時間)
情報活用と報道被害について調べます。
資料活用の工夫
情報の送り手と受け手の立場から多角的に考え、受け手として正しく判断することや送り手として責任をもつことが大切であることに気付くようにします。
あるテレビ番組で紹介された商品が、売り切れています。
しかし実は・・・

えっ、正確な情報じゃなかったんだ!
それでも、たくさんの人が影響を受けたんだね。
誤った報道をしてしまうことを「誤報」と言います。他にもこんな事例があります。

放射線に注意する報道がたくさんあったんだね。
それを聞いて、野菜を買わなかったり、観光に行かなかったりした人が増えたんだね。
いくらテレビや新聞で報道されていても、本当に正しいのか判断しないといけないね。
情報を受け取る際には、公正な立場から考えたり、同じ情報を複数の情報源から見比べたりすることが大切ですが、送り手の意図についても考えさせることも大切です。
単元づくりのポイント
情報単元の導入に当たる単元であるため、第1時において情報とは何か、どうやって情報を受け取っているのか、何のために情報を受け取っているのかなど、「情報」に関する関心を高めておきます。また、情報というものが子供にとってつかみにくく、理解しにくいものであるため、丁寧に扱う必要があります。
単元の後半では、情報には送り手と受け手があり、双方に気を付けなければならないことがあります。現在は技術の発展により、視聴者参加型のテレビ番組や、SNS等での配信によって、誰もが情報の送り手にも受け手にもなることができます。情報モラルや情報の扱い方に気を付けなければ、自分が被害者にも、加害者にもなる可能性があるということも、併せて指導しましょう。
さらに、震災被害にあった子供がクラスに在籍している場合も考えられるため、扱う教材については十分な配慮が必要です。
イラスト/横井智美、栗原清
『教育技術 小五小六』2019年11月号より