保護者との信頼関係を運動会でつくろう!【学級経営1年間の見通しと毎月のアイデア#14】
運動会は、保護者が学校に関心を向ける最高のチャンスでもあります。この機会をどう活かすかによって、学級のあり方は大きく変わります。多くの保護者は、学校に無関心なのではありません。むしろ関心は高く、わが子の様子を知りたい、学校教育を応援したいという思いを持っています。ただし、どのように関わればよいのかが分からないことが多いのです。そこで大切なのは、協力を求めることではなく、関わるための見通しときっかけを具体的に用意することです。運動会は、その入口として非常に有効です。

執筆/環太平洋大学教授・内田仁志
目次
学校の教育課程に保護者の理解と協力は不可欠
学校の教育課程は、学校だけで完結するものではありません。保護者と学校の連携が強まれば強まるほど子どもの教育効果が高まり、教室が安定していくことは、多くの調査研究で示唆されています。
そして、運動会ほど保護者と学校の信頼関係を結ぶのに適したイベントはありません。
その準備段階では、子どもたちの頑張り=小学校での教育活動を具体的な情報として発信することが可能であり、その結果としての運動会には、保護者たちは応援する役割を担って参加できるからです。
保護者への情報発信は具体的に
運動会について保護者に伝える際、なるべくたくさん、具体的に、子どもの姿が見えるような情報発信をしましょう。連絡帳に一言書き添えたり、学級通信を活用するのもよいです。
子どもたちの成長と学級の内側で起きている変化こそ大切です。
例えば、
「台風の目の作戦をめぐって意見が分かれています」
「声がそろわず何度もやり直しています」など、具体的な場面を伝えます。
すると家庭での会話が変わります。
「作戦は決まったの?」
「クラスはまとまるようになった?」
などといったやり取りが生まれ、保護者の関心が高まりますし、過程を知るからこそ結果を見る楽しみも増すというものです。また、普段は見ることのできない学校の教育活動に対してのタッチポイントが増えることで、保護者の信頼感も増していきます。
小さな関わり合いが大きな信頼を生む
さらに、負担の少ない具体的な関わりを用意することで、保護者の参加意識と信頼感を高めることができます。そこでご提案したいのが「うちわ大作戦」です。
家庭にある使わなくなったうちわを一枚、子どもたちに持たせることから始めます。
無理のない範囲で構いませんし、複数用意できる家庭には協力をお願いすることで、学級全体で補い合えるようにします。
子どもが関わることで活動に意味が生まれる
持ち寄ったうちわに紙を貼り、子どもたちが装飾を行います。
このとき、
「どの場面で使うか」「どんな言葉を書くか」を考えながら進めましょう。つなげて読むと1つのメッセージになり、裏にすると1枚の模様が出来上がるなど、子どもたちにアイデアを募って楽しく作りましょう。
家庭に持ち帰ることで対話が生まれる
こうして完成したうちわは、一度家庭に持ち帰らせます。
「当日はこれを使って応援してほしい」
と子どもたちを通して伝えます。すると、子どもは自然と、どんな風に参加してほしいのか説明をしてくれます。
「みんなが踊っているときはこの模様で」
「競争のときはこのメッセージで」といった会話が家庭で生まれます。
当日の一体感はカタルシス
運動会当日、保護者がそのうちわを持って応援することで、子どもと保護者の間に一体感が生まれます。見るだけの存在から、共に関わる存在へと変わる瞬間です。この体験は、子どもにとっても大きな支えとなります。
ボランティアの募集はなるべく具体的に
運動会を運営するうえでの保護者のお手伝いは非常にありがたいものです。昨今は、年度始めなどにボランティアを募集することが多くなっていますが、このとき保護者への依頼が曖昧だと、協力は得られにくくなります。「できればお願いします」という伝え方では、何をどこまでやればよいのか分かりません。
「何を」「どの程度」を明確に伝えることで、保護者は安心して関わることができます。
例えば、
運動会の安心安全な運営のため、ボランティアの方を
・自転車の整理係 朝10時から1時間4名で 混雑緩和のため
・保護者案内係 30分交代で計10名受付をやってください
・会場内の見回り係 午前中と午後3名ずつ
・不審者監視の門番役 30分交代で2名ずつ、計6名
などといった感じです。
先にご紹介したうちわ一枚であっても、丁寧に説明するのと、ただ持ってきてくださいと言うのとでは、集まる枚数が異なってきます。

運動会後、さらに信頼度は高められる
感謝だけで終わらせない
運動会後にも一工夫です。連絡帳や学級通信で、子どもの具体的な成長を伝えます。どの場面でどのような姿が見られたかを示すことで、保護者は自分の関わりが意味を持ったと感じます。
