小1国語「ことばあそびをつくろう」京女式板書の技術

今回の教材は、「ことばあそびをつくろう」です。本単元では、「いる」と「ある」の違いを理解し、活用できる力を育成することを目指します。そのため、子供たちが「ことばあそび」を楽しみながら、文末の「いる」と「ある」の違いが分かるような板書の工夫を紹介します。
監修/元京都女子大学教授
元同附属小学校校長・吉永幸司
執筆/京都女子大学附属小学校教諭・松下祐子
教材名 「ことばあそびをつくろう」(光村図書出版)
目次
単元の計画(全6時間)
- 教科書の文やカードの中の言葉を見付ける。
- 言葉が隠されているカード(まぜこぜカード)を作る。
- ペアでカードの問題を解き合い、「いる」「ある」に気を付けて文を書く。
- ペアで「( )の中には、
がいる・ある。」のクイズを考える。
- グループでクイズを出し合う。
- 学習の振り返りをする。
板書の基本
〇教材「ことばあそびをつくろう」は、次の2つの学習活動で構成されています。
①かくれていることばを見つけましょう。
②グループで、ことばあそびをたのしみましょう。
この2つに共通することは、教科書に例として示されている「かばがいる。」「かんがある。」の「 がいる。」「
がある。」の違いを理解し、活用できる力を育成することです。
〇教科書の手順にしたがって指導を進めることは、手軽にできます。しかし、それだけでは面白かったというだけの「言葉の遊び」になるという心配があります。そこで、「グループでことばあそびをたのしむ」ことができるように文末の「いる」と「ある」を丁寧に指導したいと考えました。
〇板書の構成は次の3つです。
①指導内容を子供に分かるように板書して、考える力の基礎をつくる。
②教科書の例を基に、指導内容の意味と学習の仕方を共通理解させる。
③1学期に学習した「ことばあそび」の表を思い出し、学習内容を自分の力で考える。
この3つの過程を通して、グループ学習ができるようにしたいと考えました。
板書のコツ(1/6時間目前半)
板書のコツ①
日付・題名・めあて「ことばあそびをたのしもう。」を板書します。めあての「たのしもう」に期待感をもたせます。そして、「ことばあそび」のルールとして、言葉の使い方には約束があることを説明します。
・さるが(いる・ある)。
・つくえが(いる・ある)。
上の2つの文について、「いる」「ある」のどちらが正しいのかということを考えさせ、経験として言葉の使い方に約束があることを理解させます。
板書のコツ②
・がいる。→生きもの
・がある。→もの
上のカードを示し、「生きもの」と「もの」で「いる」と「ある」を使い分けることを指導します。この他に、馬・牛・りんご・みかんなどを例にして、「いる」「ある」の使い方の定着を図ります(「います」「あります」についても併せて指導します)。
板書のコツ(1/6時間目中盤)
板書のコツ①
「かくれていることばを見つけましょう。」の教材を活用して、「いる」「ある」を使うことができるようにするために、文の仕組みをカードで示した後、2つの文を板書します。
・かばんの中には、がいる。
・みかんの中には、がある。
この2つの文について、に入る言葉を考えさせます。そして、ここでも「生きもの」と「もの」で「いる」と「ある」が使い分けられていることを確認します。
板書のコツ②
同様に、教科書の残りの文についても考えさせます。
・はちまきの中には、がいる。
・すいとうの中には、がある。
これらの他にも、「ぶたい→ぶた」「パンダ→パン」などの言葉遊びの楽しさを経験させる学習過程において、板書を参考にさせる目的は「いる」「ある」を使えるようにすることです。
板書のコツ(1/6時間目後半)
板書のコツ①
次の学習は、「まぜこぜカード」を使った言葉遊びです。この「まぜこぜカード」を「カード」として扱い、「カードの中には、…」に続く文を作ります。
「◎カードの中には、が(いる・ある)。」と板書し、言葉の見付け方を指導します。そして、見付けた言葉を使って文を作り、ノートに書くことを指導します。その後、グループやペアで発表させる学習活動につなげます。
はじめは、教科書の文例「かばん」「みかん」のようなものの名前を子供に考えさせ、クイズにすることを計画しました。しかし、実態として語彙の数が少ない子供にとっては難しく、学習の成就感が少ないと考えたので、ここでは、既習の学習経験(「ことばをみつけよう」光村図書・上)であるカード(まぜこぜカード)を用いた学習にしました。

・「いる」…ともだち、きつつき、きりん、きつね、あり、かめ、ねこ、いか
・「ある」…ちず、りんご、だんご、あめ、あき、いす、きん、かき
構成/浅原孝子