台上前転の授業はどうすればいいの? 【使える知恵満載! ブラッシュアップ 体育授業 #73】

連載
使える知恵満載! ブラッシュアップ体育授業

小学校教諭

平川 譲
使える知恵満載! ブラッシュアップ 体育授業

台上前転は、高いところで「くるっ」と前転をするので、子どもたちが爽快感や達成感を味わうことができる運動です。その一方で、固くて狭い跳び箱の上で前転することに、心理的な抵抗をいだく子もいます。その多くが、「痛そう」落ちそう」という不安を感じる子です。これらの不安をいだく子たちに対しては、基礎感覚・技能を身につけ、高めていくことに加えて、場の設定を工夫することによって、このような思いをもたせないようにしていきましょう。

執筆/筑波大学附属小学校教諭・眞榮里耕太
監修/筑波大学附属小学校教諭
 体育授業研鑽会代表
 筑波学校体育研究会理事・平川譲

1.まっすぐ前転しましょう

まずは、まっすぐ前転することを身に付けます。これは、台上前転を成功させるための大切なポイントです。
マットにある縫い目や印を目安にして、まっすぐ前転をします。狭くて短い跳び箱の上をまっすぐ前転することを考えると、ここでまっすぐ進む感覚を身につけておく必要があります。
まっすぐ回ることに慣れてきたら、帽子を膝に挟んだ前転に取り組みましょう。前転の質を高めることをめあてとすることで、一人一人の運動の難易度を変えることができます。

2.跳び箱1段の台上前転

高さ前ころがり低さ前ころがりにより、高いところや低いところへの前転で高低差に慣れたら、いよいよ跳び箱を使った台上前転に取り組みましょう。
はじめは、助走はせずにその場で両足ジャンプをして、おしりを上げるようにしてから台上前転をしましょう。
跳び箱に両手を着いておきます。イラストのように跳び箱の上に手を着いてもいいですし、跳び箱の縁をつかむようにしてもいいでしょう(頭を着く幅が狭いと感じたときにはこうしてもOK)。手を着く位置は、踏み切りに一番近いところにしましょう。

図表2

おしりが高く上がってきたら、跳び箱の手前に、タイミングよく頭を着いて回転します。おへそを見るようにして体を丸め、着地に備えます。跳び箱とマットの高さの差が小さいので、体を小さく丸めて足の裏で着地できるようにしましょう。
跳び箱の左右に落ちてしまっても平気なように、跳び箱の左右にマットを敷いておきましょう。

3.動きを意識しましょう

①頭を着く位置
後頭部を跳び箱の手前に着けます。あごを引いておへそを見るようにしましょう。頭頂部を着いてしまうと、スムーズに回転することができません。回転が横にずれてしまったり、背中を跳び箱の端にぶつけてしまう可能性があります。

②着地について
後頭部を跳び箱に着けてから前転が終わるまで、体を丸めて着地につなげます。跳び箱の高さが低いときには、前転の後から着地までにかかる時間が短いので、より体を丸めないと安全に着地できません。
跳び箱の段数が高くなると、着地はしやすくなりますが、落下の恐怖が出てくるので、正確に着地しましょう。

③おへそをみて体を丸める
前転を始めるときは、踏み切って「ちょっとだけ逆立ち」の後に自分のおへそを見るような姿勢をとります。体を小さく丸めることによって、跳び箱に後頭部を着けることができ、安定した着地につながります。こうすることで跳び箱手前に頭を落としてしまうつまずきを減らすことができます。

図表3

【参考文献】
山本悟、眞榮里耕太(2008)『写真でわかる運動と指導のポイント 跳び箱』大修館書店

イラスト/佐藤雅枝

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執筆
眞榮里 耕太
筑波大学附属小学校教諭 
筑波学校体育研究会 理事長
1980年沖縄県那覇市生まれ。日々の体育授業を通して子どもたちが「できる」ことを少しでも増やしていくことを目指して実践中。『写真でわかる 運動と指導のポイント 体つくり』(大修館書店)等


平川譲教諭

監修
平川譲
筑波大学附属小学校 教諭
体育授業研鑽会 代表
筑波学校体育研究会 理事
1966年千葉県南房総市生まれ。楽しく力がつく、簡単・手軽な体育授業を研究。日本中の教師が簡単・手軽で成果が上がる授業を実践して、日本中の子どもが基礎的な運動技能を獲得して運動好きになるように研究を継続中。『体育授業に大切な3つの力』(東洋館出版社)等、著書多数。


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