小1国語科「つぼみ」全時間の板書&指導アイデア
文部科学省教科調査官の監修のもと、令和6年度からの新教材、小1国語科「つぼみ」(光村図書)の全時間の板書例、発問、想定される子供の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。
監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/相模女子大学学芸学部 子ども教育学科専任講師・成家雅史
執筆/東京学芸大学附属大泉小学校・今村 行
目次
1. 単元で身に付けたい資質・能力
本単元で、1年生は初めて説明的文章を読みます。説明文を読んで仲間と学ぶことが楽しい!という実感を、この単元でも味わわせたいところです。
説明文を読むことの楽しさはさまざまありますが、「知らなかったことを知る」という喜びはその中でも一際大きなものだと思います。
「つぼみ」は三つの花のつぼみの写真が示され、それぞれどんな花が咲くのかが説明された文章です。身の回りにも咲いている花が、咲く前にどんなつぼみでいたのか、初めて知る児童も多いことでしょう。まずは「こんなつぼみから花が咲くんだ! 面白いね!」という児童の素朴な驚きや知る楽しさを大事にしたいものです。
本単元は6月に設定されています。ひらがなの学習も進み、読んだり書いたりするのが一層楽しくなって来た時期ではないでしょうか。知る楽しさを味わった上で、主語と述語の関係をしっかり確かめたり、「問い」と「答え」という簡単な構造を理解したりするという言語活動にも児童が取り組めるようにします。
学習指導要領の「読むこと」低学年の指導事項には「文章の中の重要な語や文を考えて選び出すこと」とあります。本単元においては「重要な語や文」は「問い」と「答え」にあたります。「問い」と「答え」を照らし合わせて選び出し、意識しながら読むことができるように指導していきます。
2. 単元の評価規準
3. 言語活動とその特徴
本単元は6月に実施されます。
1.単元で身に付けたい資質・能力でも述べたように、ひらがなを学び、読むこと書くことが楽しくなってきている時期だと考えられます。そこで、教材名にもなっている「つぼみ」の写真をよく見ながら、「ここからどんな花が咲くのだろう?」と投げかけ、どんな花が咲くのかを予想し図鑑で調べてみるといいでしょう。生活科で花を育てたり、観察したりする活動と関連させていくのもいいと思います。
また、本文を読む活動のなかでは、「問い」と「答え」に注目して読んでいきます。
「問いはどれですか?」とか、「答えはどれですか?」と直接に聞く前に、「文章を読んで何か気付くことはありますか?」「文章の中で似ている言葉、言い方はありましたか?」と問うことで「『これは、なんのつぼみでしょう。』という言葉が三回出てくる!」「『これは、〜~のつぼみです。』も三回出てくる!」、「なんかクイズみたい!」と、児童の中から発見の声を挙げさせ、そこに注目していけるといいでしょう。
4. 指導のアイデア
〈主体的な学び〉 予想を立てながら読む
初めて説明文を通して学ぶ児童たちは、きっと新しいことを学ぶ楽しさで自然と主体的になるはずです。その前向きな姿勢をさらに支援するために、児童が問いをもったり解決したりしながら学習できるようにしたいと考えます。
3.言語活動とその特徴でも既に述べたように、本文を「つぼみ」の写真をよく見ながら、「ここからどんな花が咲くのだろう?」と投げかけ、どんな花が咲くのかを予想してみるといいでしょう。
児童は添えられた写真をよく見て、自分の生活経験と結びつけて特徴を捉えようとするでしょう。
「なんかねじねじしてる!」「何枚も重なってる!」「風船みたいなかたち!」といったように特徴を捉えながら、どんな花が咲くか予想するはずです。
〈対話的な学び〉 問いと答えをクイズにして出し合う
本教材では、写真のつぼみについての特徴を簡単に述べてから、問い「これは、なんのつぼみでしょう。」があり、答え「これは、〇〇のつぼみです。」と述べられて説明が続きます。
このような説明の仕方は、今後の説明的文章を読む際に、重要な語や文を読み取る基礎になります。
そこで、児童たちが図鑑を使いながら、「これは、なんのつぼみでしょう。」と友達に問い、答えてもらう活動を取り入れます。何人もの友達との対話の中で、問いと答えの説明の仕方を経験し、身に付けていくことができるでしょう。
〈深い学び〉 生活経験に結び付けたり、教科を横断したりして学ぶ
深い学びを考える際に、学んだこと同士が結び付き合ったり、関連付いたりすること、ネットワーク化することが大切な視点の一つだと考えます。
本単元においては花のつぼみという、児童に身近なものを扱います。ぜひ生活経験と結び付けながら読んでいくといいと思います。
例えば、花のつぼみですが、つぼみの状態は、自分の身の回りのどんなものに例えられるか、などと結び付けるのもいいでしょう。
また、生活科では花を育てたり、観察したりする活動をしているでしょう。生活科と国語科を自然な形で繋げながら、言葉によって、児童が花や植物を見つめる目を豊かにするような学習にしたいものです。
5. 1人1台端末活用の位置付けと指導のポイント
本単元においては、児童が今後の単元で端末を活用できるように、例えば、教師が紙の図鑑から花の写真を撮ったものや、電子版の図鑑を大型スクリーンで映して見せることにします。
6. 単元の展開(8時間扱い)
単元名: 問いに対して予想して、確かめながら読もう
【主な学習活動】
・第一次(1時、2時)
① 知っている花や花を育てた経験を発表し合い、教科書p54の三つのつぼみの写真を見て何の花かを予想し、教師と一緒に図鑑から探す。
② 教科書を読み進めて内容の大体を知る。
・第二次(3時、4時、5時、6時)
③「あさがお」の説明の仕方を読み取る。
④「はす」の説明の仕方を読み取る。
⑤「ききょう」の説明の仕方を読み取る。
⑥ 本文の中で、似ているところを探し、「問い」と「答え」や説明部分があることに気付く。
・第三次(7時、8時)
⑦⑧ 一番興味をもったつぼみについて伝え合う。単元を振り返る。 お話を読む学習を通して、感じたことを共有する。学習を振り返る。
全時間の板書例と指導アイデア
●「主体的な学び」のために
第1、2時は連続で扱うといいでしょう。
第1時は、自分がこれまでに知っている花や育てた花を意識化することから始めてみましょう。
これまでの経験から、p54のつぼみの写真を見て、何の花か分かってしまう児童もいるかもしれません。それでも、「ここからどんな花が咲くのだろう?」と投げかけてみましょう。児童は添えられた写真をよく見て、特徴を捉えようとするでしょう。「なんかねじねじしてる!」、「何枚も重なってる!」、「風船みたいなかたち!」といったように特徴を捉えながら、どんな花が咲くか予想すると同時に「知りたい」と思うでしょう。
そこで、図鑑を使って調べるという活動を取り入れて、主体的に見つける経験をさせます。
「この花じゃないか。」と予想をもった状態で第2時に本文に触れることで「やっぱり!」という納得や「えぇ!こんなふうになるの!」という嬉しい驚きが生まれるはずです。問いをもち、予想をすることで、本文に書かれている「問い」と「答え」の構造にも気付きやすくなるはずです。
( 第1時 )
みなさんは、花といったら何を思い出しますか。
たんぽぽ。
うちに、あじさいが咲いています。
2年生にあさがおの種をもらったよ。
ぼくは桜が一番好きです。
チューリップの歌を知っています。
幼稚園で菊を育てたことある。
みなさん、花について色々知っていますね。では、これはなんでしょう。
花のつぼみ!
ねじねじしてる!
花びらが、何枚も重なってる!
風船みたいな形!
そうですね。これは花のつぼみです。実際に、こんなつぼみを見たことがある人はいますか?
なんか、見たことあるんだよな。
あれは、あさがおかな。
予想している人、素晴らしいですね。それでは、このつぼみからどんな花が咲くか図鑑で調べてみますよ。先生が図鑑を見せますから、予想してみましょう。
↓令和6年度からの国語科新教材を使った授業アイデアを、続々公開中です!
イラスト/横井智美