「これだけ英語」で乗り切る小学校英語指導#03〜リレーションシップ力! 英語を通してより良い人間関係づくり~

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マスターヨーダの喫茶室~楽しい教職サポートルーム~
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元山形県公立学校教頭

山田隆弘

学級担任による英語指導は、児童の性向をよく知っているため、授業を進めやすいです。しかし、英語の授業で児童の良さを引き出すには、日本語で言っていたことを英語で言わなければなりません。さらに、児童同士が認め合えるようないい人間関係をつくるには、授業者が場に応じて適切なワードを使わなくてはなりません。さっと英語が口をついて出るようにしたいものです。

【連載】マスターヨーダの喫茶室~楽しい教職サポートルーム~

※前々回記事はこちら>> 「これだけ英語」で乗り切る小学校英語指導#01〜外国語(英語)教育に関する総論〜
※前回記事はこちら>> 「これだけ英語」で乗り切る小学校英語指導#02〜アジリティ力!~決まり文句ととっさの基本ワードを身に付ける~

1 ほめ言葉や価値語を英語で言えたなら…

本サイトでもご活躍の菊池省三氏。
わたしの同僚のせんせいの中に、菊池道場(研究サークル)の地方支部長をしている中堅の方がいます。
このせんせいの教室には、ほめ言葉や価値語がたくさん掲示され、温かい学級づくりをしていることが伝わってきます。
わたしの教職歴40年の中で感じることは、良い教室は温度が高いということです。
室温ではありません。
児童の体温が伝わってくるのです。
認められ励まされている学級には温かい感じがあるのです。
気持ちが解放され、いたるところで笑いが起きています。
担任のせんせいから発せられる言葉、児童同士の認め合いの言葉、そういったものがきちんと可視化されていると、その相乗効果でどんどん温度が上がっていきます。
日本語だけでなく、これを英語で言えたなら…。
英語の時間だけでなく、日常的な学校生活の中でも、ほめ言葉を英語で言えたならすてきですよね。

2 リレーションシップ力

英語専科のせんせいと話していると、よく困ることがあるということです。
それは、質問した後、児童が何も言えない状態になり、固まってしまうことだそうです。
これは、英語への慣れ不足はもちろん、発言を尻込みしてしまうような教室の空気感によるものだと思います。
迅速に正しい答えをかえさなくてなはらないという切迫感、間違ったらどうしようという不安感、答えられなくて恥をかくのはいやだという焦燥感で固まってしまうわけです。
何でも許せるような、軽いノリの教室風土を作っていきたいです。
そのためには、日頃から児童の発言や活動に対して、英語で認める言葉やほめ言葉をどんどん使っていきましょう。そして、授業者の英語の言い回しに対して慣れてもらい、それらの言葉を受け入れ、児童たち自身も我がものとして使えるようにする雰囲気が大切です。

英語の授業でよく使われるほめ言葉や認め言葉、励ましは、次のようなものです。

“Well done!”(よくできたね!)
“Wonderful!”(すばらしい!)
“Excellent!”(大変すばらしい!)
“Fantastic!”(とてつもなくスゴい!)
“Good effort!”(がんばったね!)
“Great!”(スゴいよ!)
“Perfect!”(カンペキ!)
“Very good!”(大変結構です!)
“A Very good idea!”(素晴らしい考えだね!)
“That‘s right!”(その通り!)
“That‘s good!”(いい感じ!)
“Yes!”(そうだね!)
“OK!”(オーケー!)
“That‘s it!”(そういうことだ!)
“Congratulations!”(おめでとう!)

きちんと聞いているよという姿勢を示したり、挑戦させたりする言葉は次のような表現を使います。

“I see.”(なるほど、わかりました)
“Here you are.”(さあ、どうぞ)
“Do you?”(そうなんだ)
“Can I help you?”(お手伝いしましょうか?)
“Any questions?.”(ほかに質問ある?)
“You try!”(やってみて)

相手を気遣うときや児童が固まってしまったときには、次のような言い回しを使います。

“Take care.”(気をつけて お大事に)
“Take it easy.”(気を楽にして)
“Cheer up!”(元気を出して)
“Good luck!”(がんばって)
“You can do it!”(君ならできるよ)
“Don‘t worry.”(だいじょうぶだよ 心配しないで)

これらを場に応じて変化させながら笑顔で児童に対して言っていくと、和やかないい雰囲気になっていきます。
これらの言葉に自分なりのジェスチャーを交えて「これだけ英語」として、身に付けてください。

3 ファーストネームで呼び合う

ALTにも分かるように、児童一人一人にファーストネームのネームプレートをつけてもらい、ファーストネームで呼び合うようにしていきます。
当然ALTにはネームプレートを見ながら名前を呼んでもらいます。
児童同士もファーストネームで呼び合います。
親近感がわいていいですね。
英語専科のせんせいからこんなお話を伺いました。
「自分は一般的な担任のせんせいよりは、英語の授業をうまく進められるけれども、児童のことをよく知っている担任のせんせいには絶対かなわない」
ということです。
担任は、児童を知り児童を伸ばすプランを持っています。
担任がちょっとがんばることで、英語を通した人間関係づくりを深めることができます。
さらには、英語を通して学級にエンカウンター的要素も取り入れることができるはずです。
まずは、児童を認める言葉を英語できちんと覚えてすぐ言えるようにすること、ファーストネームを使うことをがんばっていきましょう!

“Taro, good job!” という感じですね。

リレーションシップに関わる英語をどんどん話す雰囲気をつくっていきます。日本語だとちょっと恥ずかしいと思っている児童も、英語の練習だよと言って、日常的にリレーションシップに関する英語を使うようにすれば、「英語を通してより良い人間関係をつくる」こんな裏の目的も十分達成できそうです。ただし、なかなかコミュニケーションが苦手な児童もいます。授業者と児童が、まず良好なリレーションを築くことを行ってください。無理なペア学習やグループ学習は急にさせないことです。そこからスタートしてください。

今回は「これだけ英語」として20数個のワード、表現を紹介しました。どんどん使って温かい教室をつくってください。

【参考図書】
影浦攻『小学校教師の基本教室英語96選』(明治図書出版)
久埜百合『こんなときどうする? 子ども英語救急箱』(ピアソン・エデュケーション)

イラスト/したらみ


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山田隆弘先生

山田隆弘(ようだたかひろ)
1960年生まれ。姓は、珍しい読み方で「ようだ」と読みます。この呼び名は人名辞典などにもきちんと載っています。名前だけで目立ってしまいます。
公立小学校で37年間教職につき、管理職なども務め退職した後、再任用教職員として、教科指導、教育相談、初任者指導などにあたっています。
現職教員時代は、民間教育サークルでたくさんの人と出会い、様々な分野を学びました。
また、現職研修で大学院で教育経営学を学び、学級経営論や校内研究論などをまとめたり、教育月刊誌などで授業実践を発表したりしてきました。
『楽しく教員を続けていく』ということをライフワークにしています。
ここ数年ボランティアで、教員採用試験や管理職選考試験に挑む人たちを支援しています。興味のあるものが多岐にわたり、様々な資格にも挑戦しているところです。

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