小学国語「構造的板書」の工夫とコツ(大造じいさんとガン/注文の多い料理店)

スッキリした分かりやすい構成で、子どもたちに伝わりやすい板書の書き方を目指す本シリーズ。今回は、小五国語の「大造じいさんとガン」「注文の多い料理店」をテーマに、時系列を整理する表や構造を視覚化するベン図を使って、全体像を理解したり分類・比較しやすくするための構造的板書について解説します。
執筆/大阪府公立小学校教諭 ・樋口綾香

目次
国語スキル1:時系列を整理する表
物語作品には、さまざまな「時」が出てきます。朝や昼など、1日の時間帯を表す言葉や、1週間や1年間といった期間を表す言葉、季節や時代、登場人物の一生涯ということもあります。
時系列を整理するとき、「時」を表す言葉を本文から見つけ出すと同時に、出来事や挿絵にも注目します。また、「時」を基準として場面分けされている場合は、各場面がどれぐらい長く書かれているかにも注目することで、山場の場面を意識することができます。
時系列を整理することは、以下のような利点があります。
- 出来事や場面を比べて変化を捉えられる
- 登場人物の行動や心情の変化も捉えらえる
- 山場を意識できる
これらは物語の全体像を理解し、より物語を深く読むことにつながります。
「大造じいさんとガン」(光村図書 五年)
① 表を書く
時系列を分かりやすく整理するために、「時」と関わりあう観点を列見出しに書きます。本教材の場合は、初めから時を基準に場面が分かれているため、いちばん上に「場面」と書きます。他に「場所」「季節」「出来事」「挿絵」を列見出しに書き、子供たちが自分で調べられるように表をノートに書かせます。
② 表の書き方を子供といっしょに確認する
表の枠組みができあがれば、冒頭部を子供たちといっしょに考えます。冒頭部を音読し、列見出しにある観点を一つずつ問いながら、板書していきます。挿絵を貼ると、視覚的に時系列が捉えやすくなります。
③ 自分で本文を読み、表を完成させる
表の書き方を知ったことで、子供たちは自分で調べることができます。しかし、一人ではちゃんと調べられているか不安に思う子もいます。そこで、ペアやグループによる協働学習を取り入れます。場面ごとに担当を分ける、観点ごとにまとめるなどしながら、協力して学習を進めるとよいでしょう。