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小学国語「構造的板書」の工夫とコツ(大造じいさんとガン/注文の多い料理店)

2019/10/26

スッキリした分かりやすい構成で、子どもたちに伝わりやすい板書の書き方を目指す本シリーズ。今回は、小五国語の「大造じいさんとガン」「注文の多い料理店」をテーマに、時系列を整理する表や構造を視覚化するベン図を使って、全体像を理解したり分類・比較しやすくするための構造的板書について解説します。

執筆/大阪府公立小学校教諭 ・樋口綾香

樋口綾香先生
樋口綾香先生 撮影/水本克美(桑島写真スタジオ)

国語スキル1:時系列を整理する表

物語作品には、さまざまな「時」が出てきます。朝や昼など、1日の時間帯を表す言葉や、1週間や1年間といった期間を表す言葉、季節や時代、登場人物の一生涯ということもあります。

時系列を整理するとき、「時」を表す言葉を本文から見つけ出すと同時に、出来事や挿絵にも注目します。また、「時」を基準として場面分けされている場合は、各場面がどれぐらい長く書かれているかにも注目することで、山場の場面を意識することができます。

時系列を整理することは、以下のような利点があります。

  • 出来事や場面を比べて変化を捉えられる
  • 登場人物の行動や心情の変化も捉えらえる
  • 山場を意識できる

これらは物語の全体像を理解し、より物語を深く読むことにつながります。

大造じいさんとガン 構造的板書
「大造じいさんとガン」(光村図書 五年) の板書例 (クリックすると別ウィンドウで大きくなります)

「大造じいさんとガン」(光村図書 五年)

① 表を書く

時系列を分かりやすく整理するために、「時」と関わりあう観点を列見出しに書きます。本教材の場合は、初めから時を基準に場面が分かれているため、いちばん上に「場面」と書きます。他に「場所」「季節」「出来事」「挿絵」を列見出しに書き、子供たちが自分で調べられるように表をノートに書かせます。

② 表の書き方を子供といっしょに確認する

表の枠組みができあがれば、冒頭部を子供たちといっしょに考えます。冒頭部を音読し、列見出しにある観点を一つずつ問いながら、板書していきます。挿絵を貼ると、視覚的に時系列が捉えやすくなります。

③ 自分で本文を読み、表を完成させる

表の書き方を知ったことで、子供たちは自分で調べることができます。しかし、一人ではちゃんと調べられているか不安に思う子もいます。そこで、ペアやグループによる協働学習を取り入れます。場面ごとに担当を分ける、観点ごとにまとめるなどしながら、協力して学習を進めるとよいでしょう。

国語スキル2:構造を視覚化するベン図

ベン図は、複数の対象物を比較する、あるいは分類するときに用います。物語の授業では、複数の登場人物の人物像を比較しながら、特徴を共通点と相違点に分類したり、説明文の授業においては、複数の事例を比較するときに使ったりできます。

今回は、「各場面を物語構造(初め・中・終わり) に分類する」ことを通して、「構造を視覚化する」ためにベン図を板書に位置づけます。

物語には、「額縁構造」や「ファンタジー構造」といわれる構造があります。「現在↓過去↓現在」や「現実↓非現実↓現実」があり、「注文の多い料理店」は「ファンタジー構造」です。

「ファンタジー構造」は、現実と非現実の境目がすぐに分からないこともあります。子供たちが「この表現はどうかな?」と考え、学級全体で考えるのが物語の構造を解き明かしていく鍵になります。しかし、でてきた言葉をただ順番に板書しているだけでは、構造は見えてきません。あらかじめベン図を描いておき、でてきた意見をどこに位置づけるかを考えながら板書することで、子供たちが相互に理解し合える発表の場となるでしょう。

「注文の多い料理店」(東京書籍 五年)

注文の多い料理店 構造的板書
「注文の多い料理店」(東京書籍 五年) の板書例 (クリックすると別ウィンドウで大きくなります)

① 初めと終わりを読む

この物語は、イギリスの兵隊の形をしてぴかぴかする鉄砲をもった二人の若い紳士が、山奥を歩いているところから始まります。既にいっしょにいた専門の猟師がいなくなり、犬は泡をはいて死んでしまったあとですが、最後には同じ山奥で、猟師も犬も戻ってきます。初めと終わりだけを比べても、子供たちは「不思議だな」と感じます。そこで、ベン図の上に「初め・中・終わり」と書き、初めと終わりだけを読んで、どんなことがあったか子供に問い、意見を書き込みます。

② 中を読む

お腹をすかせた二人の紳士は、立派な西洋づくりの料理店を見つけ、「こんな山奥におかしい」と考えながらも、建物の中に入っていきます。この建物が、終わりには消えてなくなることから、料理店自体が「非現実」の中に存在するものと捉えることができます。では、どこから非現実が始まり、どこで現実に戻ったのか。子供たちが注目した表現をベン図に書き込みながら、子供たち同士で言葉を紡ぎ合わせると、少しずつ作品の世界観についての理解を深め、より作品を楽しむことができるでしょう。


『小五教育技術』2018年10月号より

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