ChatGPTは教員の仕事にどう使えるのか? 【池田修×藤原友和チャット対談#2】

連載
ChatGPTがもたらす教育パラダイムシフト

京都橘大学教授

池田 修

北海道公立小学校教諭

藤原友和

対談/京都橘大学発達教育学部児童教育学科教授・池田修
北海道函館市立万年橋小学校教諭・藤原友和

教育にも多大な影響をおよぼすとされるAIサービス「ChatGPT」を、教師は教育の現場でどう使うか、どう使えるのか? 前回に引き続き指導のパラダイムシフト~斜め上から本質を考える~でおなじみ池田修先生と藤原友和先生の間で交わされたチャット対話の模様をお届けします。

前回記事もチェック!
「ChatGPT」は小学校の教育にどう使えるのか? 【池田修×藤原友和チャット対談】

池田修:かつて私が『教師になるということ』で示した、教員の仕事として上げている特別活動の行事づくりは、以下のものがあります。

入学式、卒業式、始業式、終業式、遠足、移動教室、修学旅行、体育大会、合唱コンクール、文化祭、地域訪問、家庭訪問、職業体験、芸術鑑賞会、球技大会、水泳大会、マラソン大会、席書大会、百人一首大会、ディベート大会、討論会などの企画、立案、運営、指導、片付け、反省。

これ、私は全て企画して運営してきました。そこで力をつけてきたわけですが、ChatGPTを使うとあっという間に、この企画、進行表のドラフトができてしまいます。ものすごい働き方改革になりますね。

たとえば……。

京都市内の中学校の中学校1年生の遠足の行き先として、面白いところを5つ挙げてください。なお、遠足の目的は、班行動を通して仲間と協力する。体験学習を通して、自分の可能性に気がつくです。
京都市内の中学校1年生の遠足の行き先として、面白いところを5つ挙げます。

1. 伏見稲荷大社:日本で最も有名な神社の一つで、参道には絶え間ない人の流れがあります。山頂に登るために、班行動や仲間と協力して、たくさんの階段を登ることができます。また、自然に囲まれた静かな場所で、自分の可能性を見つけることができます。

2. 京都水族館:水族館は、班行動を通じて協力し、体験学習を通じて自分の可能性を見つけるのに最適な場所です。京都水族館は、色とりどりの海の生き物がいっぱいで、班全員で魚やペンギンの餌やり体験をすることができます。

3. 嵐山:嵐山は、自然と文化が融合した魅力的な場所です。班全員で竹林の中を歩いたり、渡月橋を渡ったり、景色を楽しんだりすることができます。また、嵐山には多くの寺院や神社があり、文化的な体験もできます。

4. 京都市動物園:班全員で動物園を訪れ、仲間と協力して動物たちを観察することができます。動物園は、班行動を通じて、仲間と協力し、体験学習を通じて自分の可能性を見つけるのに最適な場所です。

5. 清水寺:清水寺は、京都を代表する寺院の一つで、多くの人々が訪れます。清水寺の階段を登ることができるので、班行動を通じて、仲間と協力して登ることができます。また、清水寺の周辺には多くのお土産屋や飲食店があるので、文化的な体験だけでなく、食文化も楽しむことができます。
遠足は、京都駅に集合して9時スタートで、16:00解散です。それぞれの日程表を書いてください。また、予想される予算も書いてください。
以下は、京都市内の中学校1年生の遠足の日程表と予算の一例です。

1. 伏見稲荷大社

- 9:00 京都駅集合
- 9:30 伏見稲荷大社到着、参拝開始
- 12:00 昼食(各自持参または周辺の飲食店で購入)
- 13:00 山頂に向けて階段を登る
- 15:00 下山開始
- 16:00 京都駅解散

予算:交通費往復1,000円、昼食1,000円、お土産500円程度、合計2,500円程度

2. 京都水族館

- 9:00 京都駅集合
- 9:30 京都水族館到着、入場
- 10:00 館内見学開始
- 12:00 昼食(各自持参または周辺の飲食店で購入)
- 13:00 館内見学再開
- 15:00 動物たちの餌やり体験
- 16:00 京都駅解散

予算:交通費往復1,000円、入場料1,800円、昼食1,000円、お土産500円程度、合計4,300円程度

3. 嵐山

- 9:00 京都駅集合
- 9:30 嵐山到着、竹林の散策開始
- 11:00 渡月橋を渡って川沿いを散策
- 12:00 昼食(各自持参または周辺の飲食店で購入)
- 13:00 文化体験(寺院や神社の参拝、抹茶体験など)
- 15:00 嵐山観光再開
- 16:00 京都駅解散

予算:交通費往復1,000円、昼食1,000円、文化体験500円程度、お土産500円程度、合計3,000円程度

4. 京都市動物園

- 9:00 京都駅集合
- 9:30 京都市動物園到着、入場
- 10:00 館内見学開始
- 12:00 昼食(各自持参または周辺の飲食店で購入)
- 13:00 動物たちの観察、餌やり体験
- 15:00 館内見学再開
- 16:00 京都駅解

5. 金閣寺と銀閣寺

- 9:00 京都駅集合
- 9:30 金閣寺到着、見学開始
- 11:00 銀閣寺へ移動
- 12:00 昼食(各自持参または周辺の飲食店で購入)
- 13:00 銀閣寺の見学開始
- 15:00 二条城や京都御所など周辺観光
- 16:00 京都駅解散

予算:交通費往復1,000円、金閣寺入場料400円、銀閣寺入場料500円、昼食1,000円、お土産500円程度、合計3,400円程度

なお、各コースの費用は目安であり、実際の費用は交通手段や飲食代などによって異なる場合があります。また、生徒の人数や各自の予算に応じて、プランを調整することもできます。
4.の予算を教えてください。
4. 伏見稲荷大社への遠足の予算は以下の通りです。

交通費:往復1,000円
昼食:1,000円程度(各自持参または周辺の飲食店で購入)
お土産:500円程度

入場料は無料ですので、合計予算は2,500円程度となります。ただし、生徒一人あたりの予算は異なる場合があるため、予算に余裕がある場合や少ない場合は、プランを調整することもできます。

藤原友和:10年前の僕に教えてあげたいです。そしてここが効率化されると、もう一回、「部活をやる意義と余裕」が認識されるのかもしれませんね。AIでは生の体験ができないわけですから。

特別活動の展開が恐ろしいことになりそうです。

教員も簡単に作れますが、これ、生徒も使えますからね。アイディアを持っている中学生は、すんごいの作るんじゃないかな。

実際、私が大学の授業で行っている遠足の実踏計画案づくりでも、学生たちは10時間ぐらいかけて仕上げますが、ChatGPTを使ってやってみたら、ドラフトは30秒でできました。そしてそれをベースに作れば、2時間ぐらいでできてしまうんじゃないかなあ。

余裕でしょうねぇ。現実を変えることができると実感した子どもたちの自己肯定感は高くなるでしょうね。するとますます作りたくなる。

なんだか、地軸の反転というか、太陽が西から登るような感覚すらありますね。この凄さをわかって授業に挑む先生って、どのぐらいいるのかなあって思いますよ。大学の教職課程の授業も、根本的に見直さないとダメだなあと思います。

校務分掌もいけました。

職員数30名程度の中学校の校務分掌の原案を書いてください。その原案は、表にまとめて配置する人数も記入してください。
以下は、職員数30名程度の中学校の校務分掌の原案です。人数は目安であり、実際の配置は学校によって異なる場合があります。

職種 担当業務 人数
校長 学校全体の指導・統括、行事の企画・実施 1名
教頭 教務・生徒指導、行事の企画・実施の補佐 1名
主任教諭 教務、クラス担任、部活動指導、授業の改善・研修 3名
教員 授業担当、クラス担任、部活動指導 20名
事務職員 文書処理、生徒出席管理、資料作成・管理、電話応対 4名
栄養士 管理栄養士による給食の調理・提供、管理 1名
清掃員 校舎内外の清掃、ごみ処理 1名
以上が、職員数30名程度の中学校の校務分掌の原案です。ただし、学校によっては、職種や人数が異なる場合がありますので、参考程度にご利用ください。
校務分掌には、以下のものも含めて再提案してください。

学年・学級運営
学年会、経営委員会。
担当校務分掌
教務、生活、保健、事務、美化等の委員会。
パソコン室管理、図書室管理、保健室管理など。
担当委員会
専門委員会
体育的行事委員会、文化的行事委員会。
特別委員会
GIGAスクール推進委員会、道徳研究委員会、国語力向上委員会など。
学校評議会
学校の運営を評価する第三者機関。学校からも評議委員を出す。
以下は、再提案した職務分掌になります。前回提案された職務分掌も考慮しながら、より詳細に分類しています。

職種 担当業務 人数
校長 学校全体の指導・統括、行事の企画・実施 1名
教頭 教務・生徒指導、行事の企画・実施の補佐 1名
主任教諭 教務、クラス担任、部活動指導、授業の改善・研修 3名
教員 授業担当、クラス担任、部活動指導 20名
事務職員 文書処理、生徒出席管理、資料作成・管理、電話応対 4名
栄養士 管理栄養士による給食の調理・提供、管理 1名
清掃員 校舎内外の清掃、ごみ処理 1名
学年担任 学年全体の指導・統括、学年会の運営、進路指導 6名
委員会担当者 教務委員会、生活委員会、保健委員会、事務委員会、美化委員会など 6名
施設管理者 パソコン室管理、図書室管理、保健室管理など 3名
専門委員会担当者 体育的行事委員会、文化的行事委員会など 2名
以上が、再提案した職務分掌です。ただし、学校によっては、職種や人数が異なる場合がありますので、参考程度にご利用ください。

これが破壊的イノベーションってやつですね。驚き!

とんでもないよね。時間割の作成もやってみた。

小学校6年生の四月の授業日数は、17日です。教科として教えた科目はそれぞれ何時間教えたことになりますか。表にまとめてください。
申し訳ありませんが、この質問に答えるためには、各教科で何時間教えるか、また1日あたりの授業時間が何時間かについての情報が必要です。さらに、日本の小学校の教育カリキュラムにおける時間配分も考慮する必要があります。したがって、正確な回答を提供するには、詳細な情報が必要です。
はい。では、示します。1年間では、以下のようになります。ここから計算してください。

科目	授業時間数
国語	175コマ
社会	100コマ
算数	175コマ
理科	105コマ
音楽	50コマ
図画工作	50コマ
家庭	55コマ
体育	90コマ
外国語	70コマ
道徳	35コマ
総合的な学習の時間	70コマ
特別活動	35コマ
総授業時数	1015コマ
了解しました。1日あたりの授業時間数が分からないので、以下では、1日あたりの授業時間数を5時間と仮定します(日本の小学校においては、一般的に1日あたり5~6時間程度の授業時間が設けられています)。

1日あたりの授業時間数が5時間である場合、1年間での総授業時間数は、1,015コマ × 5時間 = 5,075時間となります。

そして、小学校6年生の4月の授業日数が17日であるという条件から、4月に教えた各教科の時間数は以下のようになります。

科目 授業時間数
国語 17/200 × 175コマ ≒ 15時間
社会 17/200 × 100コマ ≒ 9時間
算数 17/200 × 175コマ ≒ 15時間
理科 17/200 × 105コマ ≒ 7時間
音楽 17/200 × 50コマ ≒ 4時間
図画工作 17/200 × 50コマ ≒ 4時間
家庭 17/200 × 55コマ ≒ 5時間
体育 17/200 × 90コマ ≒ 8時間
外国語 17/200 × 70コマ ≒ 6時間
道徳 17/200 × 35コマ ≒ 3時間
総合的な学習の時間 17/200 × 70コマ ≒ 6時間
特別活動 17/200 × 35コマ ≒ 3時間
以上のように、小学校6年生の4月に教えた各教科の時間数を計算することができます。

教務主任、万歳だなあ。

かなり楽できますね。

「たほいや」の選択肢作成もできました。ルールを覚えさせた後、以下の指示を出したら、作ってきました。

では、あなたは、このルールに従って、1つの正解と4つの不正解の選択肢を作ります。

お題は、「万年筆」です。どれが正解なのかも示してください。
選択肢:

A) 筆記具の一種で、インクを貯めるタンクを持ち、再利用可能な書き具のこと。
B) 軍艦の名称。
C) 水を貯めたり、配水するための施設の名称。
D) クモ目科に属する、日本固有の昆虫の名称。
E) 将棋の駒の一種。

正解はA)「筆記具の一種で、インクを貯めるタンクを持ち、再利用可能な書き具のこと」です。

クイズを作る放送作家は歓喜ではないだろうか。

それこそ、新しい学習ゲーム自体を作ってくれそうですね。

聞いてみた。すんごいわ。

言葉遊びとして中学生が楽しみながら日本語を学べるものを10個教えてください。簡単なルールと難易度も表にして。
以下は中学生が楽しみながら日本語を学べる言葉遊びの例です。ルールと難易度も表にまとめました。

ゲーム名 ルール 難易度
しりとり 前の人が言った言葉の最後の音で始まる言葉を言う。同じ言葉は2度言えない。最後に言葉を言えた人が勝ち。 初級
文字つなげ 前の人が言った文字から始まる文字をつなげて新しい言葉を作る。同じ言葉は2度言えない。最後に言葉を言えた人が勝ち。 中級
回文作り 同じ言葉を正順と逆順で読んで意味が同じ言葉を作る。交互に言葉を言っていき、言葉がでなくなったら負け。 中級
クイズダービー 問題に対する答えを早押しで答える。正解者にはポイントが入り、一定数のポイントを獲得したら勝ち。 上級
言葉カルタ 事前に決められたテーマに沿った言葉を言って、その言葉が書かれたカルタをとる。最後にカルタを取った人が勝ち。 中級
以上の言葉遊びを通じて、楽しみながら日本語を学ぶことができます。難易度に合わせて遊び方を変えたり、アレンジすることで、より楽しく、より効果的な学びができます。
これらの言葉遊びの面白い要素をミックスして、中学生が日本語を学ぶための新しい、言葉遊びを5つ開発してください。難易度も示してください。表にしてください。
以下が提案する5つの新しい言葉遊びです。難易度はEasy(簡単)、Medium(普通)、Hard(難しい)の3つのレベルで示しています。

言葉遊び 要素 難易度
なぞなぞシャッフル なぞなぞ + シャッフル Medium
ことわざマッチング ことわざ + マッチング Easy
単語ジグソーパズル 単語 + ジグソーパズル Hard
文章ワードハント 文章 + ワードハント Medium
ラップ対決 ラップ + 対決 Hard
言葉遊び 要素 難易度
なぞなぞシャッフル あらかじめ用意したなぞなぞの問題文をシャッフルし、答えを当てるゲーム Medium
ことわざマッチング 用意したことわざの前半部分と後半部分をマッチングさせるゲーム Easy
単語ジグソーパズル 用意した単語をジグソーパズルのように分解して、正しい単語を作り出すゲーム Hard
文章ワードハント 文章の中に隠された特定の単語を見つけ出すゲーム Medium
ラップ対決 2人以上のプレイヤーがお互いにラップを作り、最後に審査員が評価して勝敗を決定するゲーム Hard

ざっとやってもこれだけ出てきますから、プロンプトの条件を変えればかなりだと思います。

おおー。インストラクションデザイナーとでもいうべき世界ですね。

ですね。ただ、これらが本当に有効なのかは、やってみないとわからない部分が多いですし、その辺りのチョイスは経験のある教員でないと厳しいだろうなあと思います。

そこだと思います。選択肢をたくさんくれるけど、チョイスとアレンジは経験と知識のある専門家の仕事として残るという。

ChatGPTで楽になるのは、情報収集にあたってのフィジカル部分であって、判断と思考はこれまでよりも尖ったものを求められるな、と。まだまだ使い始めの段階ではそう思いました。

ところで、僕はプロンプトがうまく書けないんですよ。精度が低くなってしまう。だから、こういうプロンプト書けば、こういう回答が出てくるよ、というのをいろいろ見たいんです。

それは藤原先生が常識人だからですよ。

ChatGPTのプロンプトは、欲望の赴くままに、傍若無人に、常識ないねと思われるぐらいに、自分が手に入れたいものについて、丁寧に書くのがいいようだ。 自己中、我儘、自分勝手、人の話を聞かない。そう言う人がいいプロンプトを書けるのかも。

頭のいい子の定義がひっくり返りますね。

自分への制約がつよいんだなぁ、と実感しました。「あそぶ」ために、リミッターの外し方があると思います。まだ僕には見えてないですが。

ある程度リミッターが壊れているのがいい時代になりましたw

その感覚って、「学校を子どもに寄せる」ためにはとっても大事な気がします。

今回の対談で示されたアイデアをもとにした実践レポートと所感をお問い合わせフォームから編集部まで送ってください(Wordファイルのアップロードもできます。文書にはお名前・所属校・連絡先を明記してください。ファイル名にもお名前とテーマを記載してください)。もちろん新たな切り口のChatGPT活用アイデアの話題提供もぜひ!

※ChatGPTは、利用規約上は現在のところ18歳以上(もしくは親権者の同意を得た13歳以上)を対象に提供されているサービスです。学校での利用についてはこの点に配慮が必要です。


池田 修

池田 修(いけだ・おさむ)京都橘大学発達教育学部児童教育学科教授。1962年東京生まれ。国語科教育法、学級担任論などを担当。元中学校国語科教師。研究テーマは「国語科を実技教科にしたい」「楽しく授業を経営したい」「作って学ぶ」「遊んで学ぶ」など。ハンモッカー。抹茶書道、ガラス書道家元。琵琶湖の話と料理が得意。オペラ歌手として修業中。

藤原友和

藤原友和(ふじわら・ともかず)北海道函館市立万年橋小学校教諭。1977年北海道函館市生まれ。4年間の中学校勤務を経て小学校に異動。「ファシリテーション・グラフィック」を取り入れた実践研究に取り組む。教職21年目。今年度は6年の学級担任(2年連続)。教師力BRUSH-UPセミナー、函館市国語教育研究会、同道徳研究会所属。

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