標語で楽しく、効果的に教職生活しよう!【マスターヨーダの喫茶室】

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山田隆弘
マスターヨーダの喫茶室~

教職生活の中で、身近な尊敬する先輩や信頼できる同僚のみなさんを観察していると、実にいい仕事をしているのがわかります。その仕事ぶりからたくさんのことを学び、わたしも真似をしてみようと思いますが、きちんと整理しておかないとコツを忘れてしまいます。そこでわたしは、そんなお手本を自作の「標語」にして、覚えています。よかったら、皆さんも参考にしてみてください。

教職生活標語集

○前業は定時退勤の一里塚 
「残業」ではなく、始業前の「前業」は集中力が増大し、処理能力が上がります。経験上、夕方の残業だと30分かかるところ、朝の前業では10分でできます。
脳科学者の茂木健一郎氏によると、脳が最も高いパフォーマンスを示すのは、起床後の2時間だそうです。つまり、児童が登校してくる前のしばしの時間を有効活用しないと、もったいないです!
「前業」は定時退勤するためにもとても効果的で、若手せんせいの中にも「前業」派の人が増加しています。アフターファイブは、仲間と好きなスポーツをしたり、ジムで身体を鍛えたり、おいしいものを食べにいったりして、生活を楽しんでいるようです。
ただ、家庭事情で「前業」が厳しい方もいるでしょうし、無理して朝型に変える必要はありません。自分に合った生活リズムを作ることを、最優先にしましょう。

プリントは重ねていくと即発見。要らぬは迷わず段ボール 
まだまだ紙文書の文化はなくなりません。学校で使われるものは、児童向けのプリントから教職員に配付されるレジュメまで、かなりありますね。そして、必要なときにさっと出てこないことがしょっちゅうです。収受、判断、分類、ファイリング、そして検索などの一連の作業にはそれなりの時間がかかります。そこで、「こっちは児童向け、こっちは職員向け」など最低限の分類だけしておき、あとは時系列で重ねておくと、案外さっと見つけられるのでオススメです。
ある先輩からは、こんなことを伺いました。
「必要な書類は机上に積んでおく。そして足下には、段ボール箱を用意しておくんだよ。とっておく必要がないと思えるものや、終わった行事に関わる文書はどんどん放り込んで、適宜捨てていく。それで文書管理は案外OKなんだ。どうしても以前の文書が必要になった時は「誰か持ってない?」と周囲に聞けば、必ず誰かが持っているし、どうにかなるんだよ」
わたしも実際にやってみましたが、この方法で全然問題なかったです。最初は少し慎重に、明らかに不要なもの以外は積んでおくようにしましょう。

事務は即。余りは対話にコンバート 
事務仕事は短時間で早々に終わらせ、児童への指導や対話、同僚との何気ない会話に使いたいものです。実は、こういった時間からの学びや気づきが多いものです。特に、ふだん話しかけてこないような児童に、相対したいものですね。児童とのおしゃべりやファーストコンタクトに使えるネタは、
「朝は何食べてきたの?」
「土日は何やってたの?」
「今日は天気がいいねえ。いつまで続くかな?」
など何気ない日常会話から入っていきます。こちら側にゆとりがないと、こういったことができないです。「時短」で時間をつくることで、より意識して児童と接しようと思えるようになります。
教職仕事時短のスキルについては、最近かなり注目を集め、実践する人も増えています。
これについて、詳しくはまた別の機会に紹介しましょう。

判断は上司の仕事だ、まず報告 
上司、管理職の仕事は、さまざまなことを判断し、必要に応じて危機管理をし、適切に対処することです。そのためには、少しでも多くの情報を持っていることが必要です。軽微だと思えることでも、何かあれば報告しておいた方が絶対に良いです。
「軽い」というのは自分の思い込みにすぎなかった、ということも実はよくあります。経験者にしかわからない、重要なことが隠れている場合があるのです。
わたしは若い頃に、些細だと思えたら、自分だけで処理していた案件が多くありました。しかしある時、上司から
「重要なことか重要でないかはわたしが判断する。ヨーダくんは、少しでも報告した方がいいと思ったら、きちんと報告しなさい!」
とお叱りを受けました。
またこんなことも…。
ある生徒指導案件が生じたときのことです。その日、校長せんせいは私用で定時に退勤することが分かっていたので、気を遣ったつもりでメールだけ入れておきました。
ところが後ほど電話がかかってきて、
「こういうことは、出ないかもしれないとわかっていても、まず電話をかけるものだ!」
と指導されました。
生徒指導に関すること、とりわけ保護者からの相談や指摘があった場合は、最優先かつ肉声で報告すべきですね。上長に変な気遣いは無用です。遠慮せずドンドン伝えましょう。

○「ウチね、ホウレンソウ」と言うせんせい 
【ホウレンソウ】(報告・連絡・相談)は、組織運営における基本ですが、そこに【ウチネ】(打ち合わせ・根回し)を加えると、万全です。研究授業や行事など、学校では細かいところまで共通理解していないと回しにくいことが多いからです。行事の運営のしかたや教育活動の考え方の違いで、会議が紛糾するシーン、みなさんも経験ありませんか? ちょっとしたスキマ時間を利用して、担当職員とさっと打ち合わせをしたり、自分が担当する仕事に協力を要請するために、関係者に根回しをしたりするとかなり円滑に進みます。
ほんの1、2分の立ち話でいいのです。そして、廊下ですれ違う時などの、「ついで」を装うとさらに良いです。短時間で会話が終わりますからね。「廊下根回し」といったところでしょうか。
「今度の会議で○○のことを提案したいのですが、せんせいも是非、ご意見をお願いします」
「先ほどはアドバイスをありがとうございます。参考にさせていただきます。今度の会議では、ちょっとだけ、わたしなりに考えた提案もするかもしれませんが、よろしくご了解ください」
「◇◇について、改革案を出そうと思っていますが、わたし一人で実行するのは難しいです。ぜひご協力いただきたいので、事前にお知らせした次第です」
などなど…。
相手は、事前に少しでも聞いていると、完全な反対をしにくくなり、歩み寄ってあげようという気持ちが生まれるものです。
もちろん、教育論や授業づくりの質に関する議論などは、腰を据えて遠慮なく、どんどんやっていきましょう。

公費より何倍も身につく私費研修 
私費による、休日を使った研修は義務ではなく、自分の興味のあるもの、身につけたいスキルを選んで学ぶ自主的な修練です。自分の時間とお金を使うので、多くのことを吸収しようという姿勢が生まれます。さらに、講座やセミナーなどで興味をもつと、関連書籍を購入するなどして、より知識が深まっていきます。多くのお金がかかりますが、下命を拝し仕事の一環として行われる公費の研修より、得られるものは多いです。若い時代にできるだけインプットして「学びの癖」をつけると、ミドルリーダーとなり、ベテランの域に達したとき、より深い考察や判断、そして技術が発揮できます。
最近は、安価なWeb研修も増えてきました。これらを活用するのも良いですね。
学校では、校内研究として公費で書籍を購入することもありますが、自分で購入した方が、書き込みもできるし何倍も身につきます。学生時代、恩師から、「教員になったらいつも教育書や月刊誌を手元において眺めていなさい。」とアドバイスをいただき、教員になってからは、「教育技術」誌ほか、自分の専門教科や興味のある分野の月刊誌などは常にかばんに入れていました。ちょっとしたスキマ時間に恩師のアドバイスを実行していました。これも私費研修ですね。
いろいろな形があります。どんどん私費研修で自分を磨いてほしいです。

何人の子と話したか振り返る退勤時 
民間の営業マンは、週に何人のお客様と出会い、何枚の名刺をいただいたかを振り返り、この方とは来週アクセスしてもう少し深く話してみよう、などと考えるそうです。
担任も同じで、自分の学級の児童だけでなく、全校の児童とどんな風にあいさつを交わし、どういう時に話す機会を得たか、そして対話の内容はよかったか、などと振り返ってみるのがいいと思います。退勤時に校門を通り過ぎるとき、電車に乗車中の時間、あるいは自家用車通勤の信号待ちの時間などに振り返ると、次の指導に生かせます。そして、管理職のせんせいは、何人の部下職員と話したかと振り返ることもいいと思います。

愚痴るよりさっさとやろう雑仕事
トイレ掃除、衛生管理(除菌作業)などの割り当てられた作業は、他の業務に多忙なときほど当番としてやってきます。愚痴りたくもなりますが、そんな暇があればさっさとやってしまった方が健康的です。仕事を整理する上でも、優先度が高いが時間がかからないことや思考しなくてよいことを先回しする方が生産性が上がります。人のため児童のためになるのだから、明るい前向きな気持ちでやっていきましょう。そして、「トイレの神様」からぜひ「運」をいただきましょう。テレビでもよく報道されますが、大谷翔平選手は、ゴミ拾いを率先してやっていますね。「人が捨てた幸運を拾っている」という考えによることだそうです。素敵な考え方ですね。

これらは、わたしが先輩や同僚から教えてもらったこと、そのしぐさを観察して学んだことを「標語」にしてみたものです。あとでジワジワと役に立つかもしれませんし、時には自分の背中を押してくれるかもしれません。
意図的に上司や先輩、同僚の仕事をよく観察してみましょう。学べることがたくさんあるはずです。

イラスト/したらみ


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山田隆弘(ようだたかひろ)
1960年生まれ。姓は、珍しい読み方で「ようだ」と読みます。この呼び名は人名辞典などにもきちんと載っています。名前だけで目立ってしまいます。
公立小学校で37年間教職につき、管理職なども務め退職した後、再任用教職員として、教科指導、教育相談、初任者指導などにあたっています。
現職教員時代は、民間教育サークルでたくさんの人と出会い、さまざまな分野を学びました。
また、現職研修で大学院で教育経営学を学び、学級経営論や校内研究論などをまとめたり、教育月刊誌などで授業実践を発表したりしてきました。
『楽しく教員を続けていく』ということをライフワークにしています。
ここ数年ボランティアで、教員採用試験や管理職選考試験に挑む人たちを支援しています。興味のあるものが多岐にわたり、さまざまな資格にも挑戦しているところです。

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