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前のめりの教室の始め方『選べる号令』【子供同士をつなぐ1年生の特別活動】⑪

連載
鈴木優太「子供同士をつなぐ1年生の特別活動」

宮城県公立小学校教諭

鈴木優太
子供同士をつなぐ1年生の特別活動

1年生の子供たちは、初めて集団活動を体験します。主体的・対話的な態度を育てるとともに、子供同士をつなぎ、よりよい人間関係を築きましょう。この連載では、『「日常アレンジ」大全』(明治図書出版)や『教室ギア55』(東洋館出版社)などのヒット著者の鈴木優太先生が、小1「特別活動」のさまざまなアイデアを紹介していきます。

第11回は、日直になった子が好きなように選んで号令をかける『選べる号令』を取り上げます。

鈴木優太(すずき・ゆうた)●宮城県公立小学校教諭。1985年宮城県生まれ。「縁太(えんた)会」を主宰する。『教室ギア55』(東洋館出版社)、『「日常アレンジ」大全』(明治図書出版)など、著書多数。

何のための「号令」なのか?

日直当番は、その1日の学級を代表する役割を担います。

その仕事の大部分を占めるのが「号令」です。この号令を、日直になった子供が「選べる」ようにしてみましょう

号令とは、広辞苑には「多くの人に同時にある動作を起こさせるための合図のことば」と書かれています。

また、自衛隊員が基本的な動作を学ぶ『基本教練』には、号令は「予令」と「動令」から成り立つことが明記されています。

予令」…号令直前の合図
動令」…実際に動く合図

日直が行う号令において、厳密に予令と動令を区別する必要はありません。しかし、「心構えをつくる合図」と「実際に授業を始める合図」との「2文」を基本フォーマットとして、子供たちと共有しておくことで、オリジナリティあふれる号令も的外れなものにはなりません。

何のための号令なのか?」――子供たち自身が頭を動かして考え、取り組んでいくことが大切です。

私は日直が行う号令の目的は、「気持ちを切り替える」ことを促すことだと考えます。

『選べる号令』から始めて、『考える号令』に!

【選べる号令の例】
①「起立。礼。着席」
②「気を付け。始めます」
③「姿勢を正します。よろしくお願いします」
④「注目。これから、〇時間目の授業を始めます」
⑤「身長を3cm伸ばします(姿勢を正して背筋を伸ばす)。がんばりましょう」など

号令は、地域性や校種性もありますが、学級によって様々です。そのため、学年集会や合同授業のときに、他学級の日直による号令が自学級とは違っていてびっくりしたという経験があります。

つまり、号令は変えてよいものなのです。そして、毎回同じ号令と定める必要もないのです。

「最初が肝心」、「終わりよければ全てよし」という言葉もあるように、始めと終わりを司る日直の号令には、教師と子供たちが学級で大切にしていることが表れるように感じます。

だから私は、日直が号令を「選べる」ようにしているのです。日直になった子が選び、毎回変えることによって、「子供主体の授業」を促すからです。

日直を担当した子供が自ら選んだ号令で始まると、子供たちの授業への前のめり感が増します

「どんな号令で始まるのかな?」――子供たちも、そして教師の私たちも、このようなワクワクした気持ちを抱いて、毎回授業の始まりを迎える効用はとても大きいものです。

日直が「選べる号令」で号令をかけている。「身長を3cm伸ばします。がんばりましょう」の号令で、みんな姿勢を正しいる。

毎回同じ号令であると安心感がありますが、号令が「形骸化」してしまうために「気持ちを切り替える」という目的が果たされていないことにもなりがちです。

そのため、まずは上記のような例の中から『選べる号令』に取り組んでみましょう。そして、教師のための号令ではなく、子供のための号令となるように、オリジナリティあふれる『考える号令』を積極的に奨励していきます。

「気の利いた一言」をTPOに合わせて言える「即興力」は一朝一夕では身に付きません。一生モノの力を、このような日常の積み重ねによって少しずつ育んでいくのです。

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