学校教育に生かすPOPスキル ~楽しいPOP図鑑~ 【マスターヨーダの喫茶室】

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マスターヨーダの喫茶室~楽しい教職サポートルーム~
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山田隆弘
マスターヨーダの喫茶室~

最近、民間企業勤務や自営業をされていた方、官公庁の職員だった方などが、定年後に学校スタッフとなる例が増えてきました。その方々のスキルはすごいです。いとも簡単に木工で備品をつくってくださったり、プロ並みの修繕をしてくださったりと驚くばかりです。こういう「人財」はこれからの学校に欠かせません。今回は、初任者指導でお伺いしている学校の技術スタッフがすばらしいPOPを作成していたので、紹介します。

1 Kさんの来歴

Kさんは学区内で仕出しと食料品のお店を経営していました。野菜、お菓子などはもちろん、惣菜、弁当、日用品なども扱うお店でした。
せっかく来ていただいたお客様におススメの品を買ってもらいたいと、ずいぶんPOPを描いていたそうです。お客様はPOPを見ながらどれを買おうかと迷いつつも、買物を楽しんでいたそうです。

時代は移り、学区内にコンビニができたり、大型スーパーマーケットができるなどして、残念ながらKさんのお店は使命を終えました。そして、Kさんが新たに、何か自分ができる仕事がないかと探していたとき、学校スタッフの求人募集をみつけたそうです。
息子たちもお世話になった学校で、技術スタッフとして学校設備の保守・管理や環境整備を任されることになりました。そして、全力で学校に貢献しようというお気持ちになったそうです。多くの業務をされている中、とりわけ学校を楽しくしてくれるPOP作品が、わたしたちの心を動かしました。

2 KさんのPOP図鑑

① 環境整備・物品整理に

無機的に、「○○置き場」「□□□□(物品名)」とだけ書かれていることがほとんどですが、POPで楽しいメッセージがあるといい気持ちになります。片づけたくなります。注意喚起のPOPもインパクトがあります!

② 生徒指導のメッセージ

ただの行動指示だけでは、内容が心に入って来ませんよね。言葉を書くにしてもメリハリをつけたり、目をひくキャラクターを入れたり、心遣いのあるひと言が添えられていたり。読み手の心に寄り添うような、メッセージって大事だと思います。雪国ならではの内容もあります。

③ 季節行事はこれだ!

現代の学校生活では、教育課程がスリム化され以前ほど季節に関わる行事がなくなってきました。でも、こんなPOPがあれば、季節を感じることができますね。

④ 給食指導にインパクトを

今現在は、給食ゴミの分別に関するものだけPOPを作ってくださってますが、今後は給食指導全般に広げてPOPを作っていただけたらいいな…と思っています。給食が一層楽しくなりそうです。

⑤ 販売POP(地区文化祭で)

校庭のイチョウの木を生かした銀杏販売は、全国の学校で行われています。児童会や生徒会の活動資金、PTAの運営資金にもなります。Kさんお得意の販売促進POPです。地区の文化祭や販売会などで地区民の方に購入していただきます。こんな目立つPOPがあれば気になりますよね。こういったスキルをいかして、学級紹介、学習発表会の広報POPなどを作ることができそうです。

わたしたちは、パソコンソフトで文字を打ち込み、適当なイラストを探して貼り付け、メッセージを書くという作業で掲示物をつくることが多いです。しかし、やはり手描きのPOPには、描き手の心が宿るというか、温かみと味わいを与えてくれますね。

3 Kさんにインタビュー

作品づくりの心得やスキルなどなど、Kさんにインタビューしてみました。

KさんのPOPは、かなりレイアウトが凝っているのですが、最初にラフデザインを考えるのですか?

いいえ、イメージが下りてくる感じなんです。そして、どんな素材があったか頭に浮かんで、それをざっくり構成していく感じですね。素材が頭にあるので、どこに配置すればいきるかひらめきますね。ただ、慣れていないうちは、まず素材を集めてきて、どう組み合わせようかと考えたり、ざっくりラフデザインを描くと、まとまりやすいと思いますよ。


慣れないうちは、文字や絵の間に隙間ができたりして、見栄えが悪いかな? と気になることもあります。Kさんはどんな風に考えますか?

そうですね。「空間」も大切なんですよ。空間があるからこそ、絵や文字がわかりやすくなることもありますね。少しずつ、ほどよい空間のあけ方などの計算はできるようになりますよ。


いざ本番を描く段になったとき、薄く鉛筆で下描きしますか? それともいきなりペン入れしますか?

ほとんど後者ですね。けっこうスピーディーに作っています。ただ、下描きはしないにしても、作りながら途中で考えることもありますね。
特に文字は、どのくらいの大きさで書いたらこの紙に収まるか…といった感覚を、最初はつかみづらいです。慣れないうちは、文字数分の〇を薄く入れるなど、下絵を描いた方がやりやすいと思います。


作品づくりで心がけていることはありますか?

「つくったものが児童に伝わるか」という視点が根本にあります。小さい子がわかるか、どこに貼れば見てくれるか、児童目線を常に考えています。学校はたくさんの言葉にあふれていますので、場所によっては言葉だけの掲示では伝わりにくいこともあります。
そのときは視覚的に伝わる方法を考えますね。あと、低学年の児童にもわかるように漢字にはふりがなをふりますね。漢字の読みも覚えてくれるといいです。


フレームがあるものとないものがありますが、違いはありますか?

感覚でやっているので、基準はないのですが、例えば注意喚起や指示事項がある場合は、比較的フレームを描きます。そうでない、心がけやメッセージなどはフレームは描かないことが多いですね。


字体で心がけていることはありますか?

そうですね。わたしは基本的にはシンプルに丸い文字を書いて温かみをもたせます。あとは、注意喚起的なことだと大きくて角ばった字体で書きます。目的によってちょっと変えて使っています。
あと、文字下にカラーのラインをいれたり、影文字タイプにしたり、文字カラーを変えたりといった装飾の工夫も意識すると良いですよ。


Kさん流儀のPOP作成スキルを教えてください。

はい。わたしは、廃棄物を処理する仕事も行っています。それで最初に、捨てられる図書の表紙を再利用できないだろうか、と考えついたんです。
そこで、気に入ったものを切り取り、とっておくようにしました。そうすれば、必要なときに貼り付けて利用できます。広告チラシ、月の過ぎたカレンダーなども大いに使えますよ。リサイクルペーパーのゴミ箱には宝物がたくさん入っているんですよ。


キャッチコピーなどもあり、楽しいですね。これは何かコツがあるのですか?

伝えたいテーマや内容を考えて、キャッチコピーをつくります。これもひらめきですね。切り貼りしたキャラクターのセリフにのせてもOKです。このキャラだったら何ていうかなとセリフを考えるのも楽しいですね。


教員のみなさんにPOPづくりについてアドバイスがあれば教えてください。

いやいや、偉そうなことは言えません。 ただ、「自分が子どもだったらどうか」ということを常に考えて作ってほしいなあと思います。
せんせい方は常に児童に接しているので、伝えたいメッセージはたくさんあると思います。それを直接言葉で指導するだけでなく、こういったPOPで掲示しての指導もありだと思うのです。まずはやってみてほしいです。


役に立つお話をお伺いできました。Kさん、ありがとうございます!

今回は、学校技術スタッフKさんのPOPスキルを紹介しましたが、これらは教室のさまざまな活動にどんどん応用できそうです。さらに、教務主任、体育主任、生徒指導主任、掲示教育主任、給食主任、教科主任そのほか自分の分掌業務で学校教育全般にいかせそうです。個人のセンスも大いに関係ありますが、何回も描いているうち、誰でも上手になっていきます。
また、パソコンでの作成は、最終的にプリントアウトするところまでいくと、けっこうな時間がかかりますが、手描きに慣れてしまえば、パパッと切って貼り付けてキャッチコピーを入れて、案外短時間でできるものです。ぜひ皆さんもチャレンジしてみてください! 


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マスターヨーダの喫茶室は毎週土曜日更新です。

山田隆弘(ようだたかひろ)
1960年生まれ。姓は、珍しい読み方で「ようだ」と読みます。この呼び名は人名辞典などにもきちんと載っています。名前だけで目立ってしまいます。
公立小学校で37年間教職につき、管理職なども務め退職した後、再任用教職員として、教科指導、教育相談、初任者指導などにあたっています。
現職教員時代は、民間教育サークルでたくさんの人と出会い、さまざまな分野を学びました。
また、現職研修で大学院で教育経営学を学び、学級経営論や校内研究論などをまとめたり、教育月刊誌などで授業実践を発表したりしてきました。
『楽しく教員を続けていく』ということをライフワークにしています。
ここ数年ボランティアで、教員採用試験や管理職選考試験に挑む人たちを支援しています。興味のあるものが多岐にわたり、さまざまな資格にも挑戦しているところです。

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