続・せんせいの「趣味」って? ~豊かな教職ライフを過ごすために~【マスターヨーダの喫茶室】

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山田隆弘
マスターヨーダの喫茶室~

小学校の教員は、養成課程の段階から、あるいは免許状取得の時期から様々な分野を学びます。教科指導に関わること、領域指導に関わること、教育学のいろいろな分野の学問、教育実習など…。そして、実際の教員になれば、保護者さん、地域コミュニティ、さまざまな機関と関わります。
よく、「学校の教員は、『世の中』を知らないくせに、児童生徒を前にして教えるなんておこがましいんじゃないか」ということを言われます。

世の中」とはなんぞや?
経済活動、つまり「お金を儲ける」ことはしていない、ということでしょうか?
だとしたら、それはそうかもしれません。
でも、「世間知らず」では教員をやっていけません。
まず、教員は、常識だけではなく「良識」が求められる仕事であることは言うまでもありません。
そして、常に我が身を振り返り、自己研鑽することが推奨されます。
さらに、直面するあらゆる場面において、自ら考え、判断することを要求されます自らの感情に流されることなく、しかし相手の心情には最大限の配慮をしながら……。
これを「社会人」の要件と言わずして、何が要件でしょうか?
そして私たちの仲間には、社会の一員としてより良い人生を過ごすため、「自分の生き方」をきちんともっており、自分の好きなこと・興味のあることを軸にして、社会の様々な人たちとの接点を持ち、色彩豊かな人生を送っている人が多いです。

前回に引き続き、今回も「趣味」を紹介しますが、生き方」という視点であらためて考えていければと思います。それを教育活動にどう生かすかという視点でも…。
わたしの周りの魅力的な教員仲間たちを紹介します。

※前回の記事はこちら!

趣味を極める人々

●モービル系

【50代男性】「バイク」は人と人とをつなぐもの
以前からバイクが好きで、磨いて乗って整備して、ツーリングしながらあちらこちらのおいしいものを食べます。その道中の仲間と語らいも楽しみです。さらに、同じバイクを長く丁寧に乗るということにもこだわっています。バイク乗りをして世界が広がっていきました。きっかけはバイクという人工的なものだとしても、それを通して見知らぬ町と出会ったり多くの人と知り合いになったりすることができる、人や自然に触れることができるということがいちばんの収穫です。バイク仲間とは気兼ねなく一生付き合っていけると思います。
★このほか「RV車」「車中泊ソロキャンパー」「車でバーベキュー三昧」なども

●狩猟系

【40代男性】「フィッシング」で世界を駆ける
釣り全般が趣味です。RVの自家用車には、常に釣りの道具を入れています。自作ルアーでの川釣りが主ですが、週末勤務終了後車を飛ばして海釣りに行って「はたはた」などを釣ってくることもあります。解禁時には、釣りのことで頭がいっぱいになります。外国にも行ってフィッシングをしてきました。必然的に旅行の知識、英語の力などが要求されるので、趣味が広がっていくという感じがします。小学校英語の時間などにもこの経験やネタを使って授業しています。

●園芸系

【50代女性】たまにはダイナミックに「公園づくりボランティア」
花が好きで自分でフラワーアレンジメントの教室などに参加したり、自分でイングリッシュガーデンの動画をみながらガーデンづくりにいそしんだりしています。なんかそれだけでは飽き足らなくなって、市町村の管理する公園の植栽や植物の管理などのボランティアに行くようになりました。新しい出会いがたくさんあって楽しいですよ。この町全部がわたしのガーデンという感じで生活しています。この経験は学校での栽培学習などにも役立っています。

【50代女性】ガーデニングからの「華道展へ出品」
自宅の庭が広いのでさまざまな花を植えて四季を楽しんでいます。この花々を使っていけばなをしたりフラワーアレンジメントに挑戦したりしています。きちんとした華道教室にも通って腕を磨きました。今度は自分や家族だけでなく、華道展に出品して多くの人に楽しんでもらいたいと思っています。

●芸能系

【50代女性】「フラガール」で異文化体験
地域のコミュニティセンターの事業で、フラダンス教室がありました。興味本位で出てみたら、映画『フラガール』の指導者筋の方が講師でした。もうばっちりはまりました! 毎回の講習はもちろんですが、自分でも研究していかにして上手に踊るかを追求しました。そこにはただ踊る楽しさがあるだけでなく、動作一つひとつに哲学的な文化的な背景があり、深いものだなあと実感もしました。発表会などにも参加して楽しくやっています。

【40代男性】違う自分に…「エキストラ」をやってみる
俳優、役者になりたかったのですが、ハードルが高すぎて…。それで、週末や長期休みにエキストラになっています! 最近はネットで比較的簡単に募集を探すことができるので、交通費や日当の諸条件をふまえて応募しています。でも、日当だけが目的ではありません。作品づくりに関わったという充実感があります。けっこう地元映画やご当地ヒーロー映画、県内ロケの商業映画、ドラマなどに出演しています。違う自分になることができますよ。
エキストラ万歳!
このほか「好きなアーチストのライブに行く」「○○のファンクラブに入会」なども

●音楽系

【50代男性】「弦楽器」を極める
バンドはやっていたのですが、ある時沖縄出身のグループ、例えばBEGINなどのサウンドにぐっときてしまい、沖縄の音楽をちょっとやってみようかと思いました。弦楽器の基礎スキルを生かして「三線」にチャレンジしてみたら、なかなかいい感じに演奏できました。最近は初心者向けの安価なものも出ているので、取り組みやすいですね。中国の二胡(にこ)などにも挑戦してみたいと思っています。ひとつの楽器からその系統の楽器に広げるということはおもしろいですね。やっている人が少ないので、今のところ身近では誰にも負けない特技といえるかなあ。
★のほか初心者からの「チューバ」「サックス」「フルート」などへのチャレンジも

●スポーツ系

【50代男性】「サッカー審判員」で社会貢献
息子のスポーツ少年団(少年サッカーチーム)にかかわって、昔からやっていたサッカーの審判の資格をとりました。すると、あちらこちらの大会からオファーがあり、息子が卒団してからも笛(ホイッスル)を吹いています。たくさんの学校の子たちや保護者さんと知り合いになることができて、彼ら、彼女らの成長していく姿をみることもできて、とても充実しています。審判の技能を高めることはもちろんですが、長い間笛を吹いてサッカー小僧たちとふれ合ってきた時間をもっていることの方が重要かと思います。もちろん、この経験は体育でのサッカーの指導にも生かしています。
★このほか「ソフトボール審判員」なども

【20代男性】「ラート」を広めたい
大学時代に「ラート」という競技に出会いました。これはドイツ発祥のスポーツで、2本の鉄の輪を平行につないだ器具を用いて、さまざまな体操を行う競技です。放課後児童が帰ったあと体育館で練習させてもらい、大会に出場してより高度な技を磨いています。この前は児童の前で演技を披露しました。ちょっと興味をもってくれたようです。まだまだマイナーな競技ですが、この魅力を伝えていきたいと思います。

【60代男性】「ゲレンデスキー」は生涯の友
関東から東北の教員になりました。スキーは全然やったことがなかったんです。関東在住でスキーをするとなると、バスや車、そして宿泊施設の確保などたいへんですが、東北に住んでいると、勤務帰りにちょっとナイターでスキーをするということができてしまうんですね。雪国の人は、雪が降ると除雪でたいへんだと言いますが、勤務帰りにスキーができるなんていう環境にあるのは贅沢すぎると思いますよ。除雪のたいへんさ以上の魅力があります。勤務している時は、もちろん体育学習でのスキー教室で教え子たちと接していましたが、退職してからは以前勤務した学校などでボランティアでスキー授業のコーチをしています。冬がとても待ち遠しいです。冬は楽しい季節だと思いますよ。スキーをしている時はほかのことを考えていると危険なので、必然的にすべてを忘れます。細かな人間関係や悩みを忘れ、大自然の中で没頭できるのがとてもいいですね。
★このほか「クロスカントリースキー」「スノーモービル」なども

【50代女性】「トライアスロン」にすべてをかける
ずっと水泳部だったので、20代の頃にトライアスロンに出会い、すぐ競技を始められました。それからずっと続けています。大会に出て完走完泳するのが目的でがんばって練習しています。臨月になっても練習していて階段を2段抜きしながら鍛えました。おかげで丈夫な子が生まれました。バイクで、遅い人を追い抜く爽快感、スイムで波にもまれながら岸に行き着く充実感、ランでは水分補給をしながら自分と戦いゴールする達成感など日常では味わうことのできない感覚を一度に味わうことができます。つらいこともありますが、これからも続けていきます!

●文化系

【50代女性】「読書」(中毒)…本は人生の伴侶
趣味が「読書」という方は多いと思いますけど、わたしの場合は中毒というのですかねえ。新刊が出るとすぐ購入してしまいます。本を置いておく部屋があるのですが、床が抜けそうになっています。かなり危ないです。単行本は、出版されて数年してからドラマ化されたり映画化されたり、文庫本になったりと形を変えていきますが、だいたいわたしが「やっぱりな!」と思ったものが出世魚のごとく世にリリースされますね。お正月特番などのドラマは「ああ、あの時読んだやつだ、こういうふうに描かれるのか、この監督なかなかやるなあ」なんて思いますね。わたしは本を手にして2、3ページ読み進めるともうその世界に入ることができるので、ある意味最大級のストレス解消になっています。わたしにとっては「活字がご飯」と言っても過言ではないです。勤務時間以外はいつでもどこでも食を忘れて読書をしています。活字中毒患者ってわたしのことです!
★このほか「一人の作家を中心に読む」「歴史の○○時代を深く読む」なども

●癒やし系

【20代男性】「足湯&温泉&スーパー銭湯めぐり」でリフレッシュ
わたしは、いつも通勤に使っている車の後部トランクに「お風呂セット」をおいておきます。勤務している県は、すべての市町村に温泉や入浴施設があるので、仕事帰りにさっと寄ることができます。土日だと県外まで遠出をします。県外のいいところは、誰も知っている人がいないので、知り合いと会ってあいさつをする必要もなくゆったりできます。休憩室で昼寝をして帰ってきます。車にセットをおいておくと便利です。タオルは車の中で乾かしちゃいます。車はわたしの第2リビングです。いろいろなお風呂でリフレッシュできますよ。

【50代男性】「激務後定時退勤での温泉・サウナ」でリフレッシュ
最近、年のせいか勤務時間終了間際になるとどっと疲れが出てきます。もはやこれまで!と17時に退勤します。小学校の教員はなかなか休憩がとれないので連続仕事でたいへんです。退勤後、ゆったりとお湯につかりにいきます。沸かし直しのお湯、天然掛け流しのお湯、砂風呂、サウナ風呂、薬草湯と毎日違う環境で入っています。だから、自宅のお風呂はお客さんが来た時以外は沸かさなくてもだいじょうぶです。お湯につかる、このひとときのためにがんばることができます。夜の会議があっても、そのまま直行ですね。こういう場合は、温泉の共同浴場などが多いかな。地元の人と語り合いながらゆったりします。これであしたもがんばろう!という気持ちになります。

【30代男性】「株主優待」大活用
わたしは、妻との申し合わせでボーナスから10万円を投資に使います。株を購入しますが、教員はもちろんデイトレードはできません。週末の休日あたりに投資状況をチェックするくらいです。次のボーナス支給時に新しい株で何を買おうかということで研究します。
 ○10万円以内で買うことができる株を探す
 ○魅力的な優待品を提供しているのはどの企業かを探す
 ○配当利回りや割安感、業績などもちょっとみてみる

単なる投資ではありません。「優待品を楽しむ」ということが主眼です。憧れでありモデルにしているのは、株主優待生活をしている桐谷正人さんですね。桐谷さんまでにはいきませんが、毎月のように優待品が届くのが楽しみになっています。優待の自社食事券などを利用しておいしいものを食べたり図書カードでほっこりした雑誌を購入して読むと癒やされます。これからもプチ株主優待生活を楽しみます。

以前、機会があり教育哲学者のジョン・デューイによる書籍の読み合わせをしたことがあります。デューイは世界の学校教育に多大なる影響を与えた人です。わが国には、デューイ学会まであり、教員養成課程での講義はもとより、専門の研究者によるより深いデューイ研究が進められています。

わたしは、この読み合わせの会で、「遊び」という視点に注目しました。デューイは、遊びは知的なものであり、仕事に結びつくという論を展開しました。これは児童への教育の視点ですが、教員に置き換えてみることもできます。つまり、趣味や得意技は、仕事として発展するということだともいえそうです。やらされるものだと「苦役」にしかならず、オンとオフの切り替えで対応するしかありません。しかし、遊びも仕事も同じコンセプト、つまり自ら楽しんでやるということならば、苦にはならず楽しくできるということですね。こう考えると、デューイの視点は児童や学校だけでなく、わたしたち教員の仕事にもばっちり応用できます。

小学校教員は幅広く児童に接していきます。「学び」と「遊び」が非常に接近した存在の身近にいる我々もまた、趣味などの遊びを「仕事の場」、つまり「学校教育」に生かすという積極的視点が大切なのではないでしょうか。趣味や特技の延長上に仕事がある、あるいは相互補完するという考え方をすれば、より楽しくなってきます。

今回のインタビューには入らなかったのですが、自分の趣味を生かすということで、以前の勤務校での例を最後に。
学生時代競泳選手で、卒業後も水泳を趣味にしている若手教員のKさんがいました。
彼が『プール開き』のイベントで、マスク(お面)とマント(バスタオル)をまとって「マスクマン」として登場してきました。どうやら先輩教員の企画のようです。
児童代表と泳ぎ比べをするというTVのスポーツ番組を彷彿させる演出と、その桁外れの泳力に、児童たちは「あいつは誰だ!」と狂喜乱舞でした。かなり盛り上がりました。
このほか、校長退職時の離任式で音楽会を開催したこともあります。第1部は学年ごとに児童が歌とメッセージを贈り、第2部では、楽器を趣味とする教員で即席のバンドを組み、演奏を披露しました。私の企画でしたが、これも盛り上がってくれました。

学校に潤いと遊び心を取り入れるため、それぞれのせんせいの趣味や特技、いいところをどう活かせるか、どうおもしろいことをするかということを常に考えています。
そして、仕事を愛する人ほど、遊びと仕事を厳密には分けていない、というのが、多くの人々に出会ってきたわたしの、一つの結論のように思います。
どうぞ、皆さんも趣味と仕事で豊かな人生街道を歩んでください。

編集部より:前回に続き、インタビューに協力してくださいました皆様に、衷心より感謝を。楽しく、そして彩り豊かな教職ライフをお過ごしください!

☆前回の記事はこちらからご覧になます。


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マスターヨーダの喫茶室は毎週土曜日更新です

山田隆弘(ようだたかひろ)
1960年生まれ。姓は、珍しい読み方で「ようだ」と読みます。この呼び名は人名辞典などにもきちんと載っています。名前だけで目立ってしまいます。
公立小学校で37年間教職につき、管理職なども務め退職した後、再任用教職員として、教科指導、教育相談、初任者指導などにあたっています。
現職教員時代は、民間教育サークルでたくさんの人と出会い、さまざまな分野を学びました。
また、現職研修で大学院で教育経営学を学び、学級経営論や校内研究論などをまとめたり、教育月刊誌などで授業実践を発表したりしてきました。
『楽しく教員を続けていく』ということをライフワークにしています。
ここ数年ボランティアで、教員採用試験や管理職選考試験に挑む人たちを支援しています。興味のあるものが多岐にわたり、さまざまな資格にも挑戦しているところです。

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