評価規準作成時の「フォーマット」とは?【田村学流 単元づくり・授業づくり#14】

連載
田村学流「単元づくり・授業づくり」

國學院大學人間開発学部教授

田村学
評価規準作成時の「フォーマット」とは?【田村学流 単元づくり・授業づくり#14】

この企画では、元文部科学省視学官であり、現行学習指導要領の策定にも尽力された、國學院大學・田村学教授に、「単元づくり・授業づくり」をテーマとした連載をしていただきます。

「フォーマット」と「言語サンプル」

前回、独自に評価規準を作成するにあたっては、フォーマットと言語サンプルという二つのポイントがあるとお話ししましたが、今回は、まずフォーマットからお話を進めていくことにしましょう。

「〇〇について、□□しながら、△△している」

学校や先生独自の単元に合わせて評価規準を作成するためのフォーマットについては、三つの要素でつくるとよいと思います。それははめ込む内容を除いた形を示すと、次のようになります。

「〇〇について、□□しながら、△△している」

まず「〇〇について」というのは、そのときの主要な学習活動や学習対象です。例えば「~川の水質について」というようなことですね。

次に「□□しながら」というのは、主要な資質・能力と考えてください。その活動において表れる主要な資質・能力で、例えば「質的なデータや量的なデータを結び付けながら」というものもその一つでしょう。

最後の「△△している」というのは、子供の行為や姿です。私たちは子供の行為や姿でしか評価を行うことはできないわけですから、例えば「作文を書いている」とか「プレゼンテーションを作成している」というような、子供の姿になるわけです。

文章全体を見てみると、その見える行為や姿に、期待する資質・能力が関わる形で発揮されているということです。例えば「~川の水質について(学習活動や学習対象)」「プレゼンテーションを作成している(子供の行為)」ときに、「質的なデータや量的なデータを結び付けながら(資質・能力)」作成しているとなるわけです。

このフォーマットに沿って考えてみましょう。例えば総合的な学習の時間で、地元の河川の環境問題について多様に調べた後だと、「〇〇川の環境問題について、グラフ・地図・写真を組み合わせながら、ポスターにまとめている」といった評価規準が考えられるわけです。それはただなんでもいいから、「ポスターにまとめている」のでもなければ、「一生懸命まとめている」といったあいまいなものでもありません。「グラフ・地図・写真を組み合わせながら」ということが、先生の期待する資質・能力の、より具体的な姿なわけです。このような書きぶりができると、ゴールとなる子供の姿がより具体的で分かりやすくなるのだと思います。

しかし、これまで国は評価規準のフォーマットを示してきませんでした。そのため多くの先生は、示されたサンプルを基に、なんとなく経験や感覚で評価規準をつくっていたのだと思います。しかし先に示したように、「〇〇について、□□しながら、△△している」というような書き方ができるとなれば、何を意識して言語化すればいいのかが分かってくるだろうと思います。

「□□しながら」を工夫することで、資質・能力について期待する評価規準をつくる

ちなみに先の「〇〇川の環境問題について、グラフ・地図・写真を組み合わせながら、ポスターにまとめている」という評価規準は、「思考・判断・表現」に関するものです。しかし「ポスターにまとめている」という一つの行為の中にも、「知識・技能」が発揮されていることもあれば、「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」もあります。それらは同時に起きているはずなのです。つまり行為としては、三つの資質・能力が同時に発揮されているわけですが、「この授業では『思考・判断・表現』を見とろう」などと考えて、評価規準を設定したわけです。

つまり「ポスターにまとめている」という一つの場面で、別の資質・能力も発揮されているわけですから、それを見とるための評価規準を設定することもできます。例えば「主体的に学習に取り組む態度」の評価規準を設定すると、「〇〇川の環境問題について、友達の意見を認めて受け入れ、参考にしながらポスターにまとめている」となるかもしれません。

先の「思考・判断・表現」の場合は、「グラフ・地図・写真を組み合わせながら」という表現を期待していたわけです。それに対して「主体的に学習に取り組む態度」では、「友達の意見を認めて受け入れ、参考にしながら」という態度を見とるわけです。多様な他者との考えの違いを認めて受け入れ、それを自分の考えに生かそうとするのは、「主体的に学習に取り組む態度」と言ってよいでしょう。

フォーマットと言語サンプルが揃うことで、子供の学習を的確に評価することができる。

このように「〇〇について、□□しながら、△△している」というフォーマットの「□□しながら」の部分を工夫することによって、資質・能力について期待する評価規準をつくることができるのです。そのような形で、フォーマットは一定程度機能するだろうと思います。

では、言語サンプルはどう機能するのかについては、次回お話をしていきたいと思います。

【田村学流「単元づくり・授業づくり」】次回は7月22日公開予定です。

執筆/教育ジャーナリスト・矢ノ浦勝之

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