7月の先生のお話|学期末のイベントを主体的な活動に導くコツ

連載
学級経営を支える先生のおはなし|小三

愛知県公立小学校教諭

佐橋慶彦

夏休みを目前に、学期末のイベントを企画するクラスも多いのではないでしょうか。中学年になると、企画や進行を子供たちにまかせることも可能です。しかし、子供主導でイベントを運営するには教師のさりげないフォローも必要です。そんな時のちょっとした一言をご紹介したいと思います。

執筆/愛知県公立小学校教諭・佐橋慶彦

【小三】7月の学級経営を支える先生のおはなし。のイメージイラスト
イラストAC

学期末のお楽しみイベントが計画される7月

7月になり、長かった一学期も終わりが近づいてきました。この学期末になると、イベントを計画し、みんなで楽しむ時間をつくる学級が多いように思います。また、中学年ではその運営を子供たちに任せることもできるでしょう。

しかし、楽しいはずのイベントも、子供たちが文句やグチを言い出してしまったり、運営をしている子供たちを責めるような言い方をしてしまったりすると、たちまち雰囲気が悪くなってしまいます。せっかくみんなの前に立とうと思った子供たちも、やらなければよかったという思いを持ってしまうでしょう。

かといって、イヤな思い出を残して終わりたくないからと、教師が万全な準備をし、子供たちを楽しませるために奮闘してしまうと、今度は子供たちの活躍の機会を奪ってしまいます。

そこで、子供たちがイベントを企画したり、運営したりする時には、以下のように話すようにしています。

こうやってみんなでイベントする時間も、大切な勉強です。運営する人たちにとっては、どうすればみんなのことを楽しませることができるかを知る大切な時間です。
でも、この前に立っている人たちもプロではありません。だから、みんなが協力してくれないとイベントはうまくいかないし、前に立った人たちもイヤな思いをしてしまいます。

そして、どうすれば前に立った人たちが進めやすいかを一緒に考えます。こうして、よりよい参加の仕方を考えていくことで、その子供たちも「楽しい雰囲気のつくり方」を学んでいくことができます。

・運営の子が仕切っている時にはとりあえず話を聞くこと
・文句になるような発言には気をつけること
・よりよいアイデアを思いついた時には後でこっそり教えること

こんな細かな配慮ができるようになると、どんなイベントをしてもみんなで楽しむことができるようになります。

イベントの進行を教師がさりげなくフォローする

それでもやはり中学年の子供たちですと、間違った方へ向かってしまったり、大事な内容が抜け落ちてしまうといったこともあります。こうした時は、さりげないフォローの言葉を送ります。教師が逐一介入して、訂正をしていたら、子供たちは自分で成功したという実感を得ることができないからです。

例えば、前に立って発言している子供の話にあまり関心が寄せられていない時には、教師が興味を示す反応をします。

なんで?

あ~、なるほど!

教師が楽しそうに聞いているのを見た他の子供たちも、「何か面白い話なのかな?」と同じように興味を示すようになります。

また、説明が足りず、他の児童が分かっていないなと感じた時には

あ~、なるほど! ○○ってことだね

と、反応する言葉の中で意味を補足することで、運営する子供をさりげなく助けることができるでしょう。

子供たちに任せることは、とても大変なことです。しかしその分、たくさんの経験と学びを得てくれるはずです。学期末のお楽しみ時間が、子供たちにとって充実したものになってくれればと思います。

佐橋慶彦先生プロフィール画像

佐橋慶彦(さはしよしひこ)●1989年、愛知県生まれ。『第57回 実践!わたしの教育記録』特別賞受賞。教育実践研究サークル「群青」主宰。日本学級経営学会所属。子どもがつながる学級を目指して日々実践に取り組んでいる。

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