11月の先生のお話|適切な行動に対するアプローチの引き出しを持つ

連載
学級経営を支える先生のおはなし|小三

愛知県公立小学校教諭

佐橋慶彦

日が沈むのもだんだんと早くなり、冬が近づいてきたことを感じます。「11月危機」という言葉があるように、この11月は、学級の雰囲気が悪くなりやすいと言われています。そのため、子供たちの不適切な行動が見られる機会も増えているかもしれません。

しかし、そんな時だからこそ、意図的に子供たちの良い部分に目を向けていきたいところです。そこで今回はこの「子供たちの適切な行動に目を向ける」ということに焦点を当て、適切な行動があった時に、どんなことを話し、どうアプローチしていけばよいのかを考えていきたいと思います。

執筆/愛知県公立小学校教諭・佐橋慶彦

11月の先生のお話|適切な行動に対するアプローチの引き出しをもつ、のイメージイラスト
イラストAC

子供たちの特性に合わせて、言葉掛けやアプローチを使い分ける

適切な行動に目を向けるということと、褒めることとは異なります。例えば、いつもは授業に集中していない子供が、その日は頑張って授業に取り組んでいたとしましょう。この子供にとっては、適切な行動をしたターニングポイントですから、なんとかしてプラスの言葉掛けをしたいところです。

しかし、だからといって「〇〇さん、すごい!」「頑張っているね」と言うと、いつも頑張って授業に取り組んでいる子供からしたら面白くありません。いつも自分も頑張っているのにな、と不満を持ってしまうことも考えられます。

このように、ただ褒めればよいという訳ではないところが難しい所です。しかし、だからといってそのまま見過ごし「当たり前」にしてしまうと、だんだんと適切な行動は減少していってしまうかもしれません。そこで大切なのが、適切な行動に対するアプローチの引き出しをもつことです。

適切な行動があった時のアプローチ一覧表
筆者作成

以前の記事「不適切な行動への24のアプローチ」に引き続き、こちらも表にまとめてみました。例えば、先ほどの場面では、みんなの前では【04 温かな視線】を送り、認識していることを伝えます。その後、授業後などに「今日は頑張っていたね」などと【17 一人でいる時を見計らって伝える】ことができれば、周囲の目を気にせずにその子自身の頑張りを伝えることができます。

また、適切な行動が増加してきた時には、他の子に「最近○○さん頑張っているよね」と【19 日向口】をすることで、周囲のその子に対する目を変えることができます。このようにその場の状況や、子供たちの特性に合わせてアプローチを変えられるように、引き出しを持っておくことが有効です。

また、普段はなかなか光の当たらないような行動を他の児童に広げていきたい時には、【14 行動に至るまでの考えを称賛】するようにします。自主学習への取り組みが素晴らしい子がいたとします。ここで「素晴らしい自主学習ノートです」などと取り組み自体を褒めると、何人かの子は刺激を受けて同じように自主学習に励むようになるかもしれません。しかし一方で、自分にはできないとあきらめてしまう子どももたくさんいるでしょう。自主学習をたくさんやることが良いことなんだという認識をもたせてしまう可能性もあります。

ところが「興味をもったことがあった時に、こうやってもう少し調べてみようと思ったり、これはどうなのかな? と疑問をもったりできると、どんどん勉強が深まっていきますね」など、その行動に至るまでの過程を評価すると、様々な子供たちに届く言葉掛けに変わります。

学習が苦手な子にとっては、学習のハードルを下げる言葉掛けになりますし、自主学習以外の場面に生かす子供たちもいることでしょう。

こうして、場面や目的に応じて、適切な行動に対する言葉掛けやアプローチを変えていきます。すべてを褒めるのではなく、認識していることを伝えたり、他の子の行動と結びつけながらその価値を伝えたりなど。適切な行動を「当たり前」にして、見過ごしてしまうことがないように、アプローチの引き出しを大切にしていきたいと思います。

佐橋慶彦先生プロフィール画像
佐橋慶彦先生

佐橋慶彦(さはしよしひこ)●1989年、愛知県生まれ。『第57回 実践!わたしの教育記録』特別賞受賞。教育実践研究サークル「群青」主宰。日本学級経営学会所属。子どもがつながる学級を目指して日々実践に取り組んでいる。

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