10月の先生のお話|閉鎖的な仲間集団が増える時期に実践したい言葉掛け

連載
学級経営を支える先生のおはなし|小三

愛知県公立小学校教諭

佐橋慶彦

10月に入り、3年生も後半に差し掛かってきました。心も体も一回り大きくなった子供たちには、ギャングエイジ特有の『閉鎖的な子どもの仲間集団が発生し、付和雷同的な行動が見られる』ことが増えてきているかもしれません。今回はこの“閉鎖的な仲間集団”という言葉に着目したいと思います。

執筆/愛知県公立小学校教諭・佐橋慶彦

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写真AC

閉鎖的な関わりを持つ子供たちを否定せず、どう築いていくかを考える

特定の相手との閉鎖的な関わりが増加すると、教室にはいくつかの小集団が生まれ、あの子たちとは話すけど他の子とは話さないといった子供同士の分断が生まれてしまう可能性があります。

また、グループ内での人間関係を意識するあまり自分の考えを押し殺してしまったり、自分の居場所を確保するために、他者を排除するような言動をしてしまったりすることもあり得るでしょう。3年生の秋は、そんな閉鎖的な関わりが見られ始める時期です。そこで、新たな人間関係を築こうとしている子供たちに、どんな言葉掛けをすればよいのかを考えてみたいと思います。

3年生を担任していた当時のことです。ちょうど今くらいの肌寒さを感じるようになった頃に、ゆるやかにグループができ始めました。このグループに属していた子供たちは、いわゆる「まじめ」な子供たちで、授業には真剣に取り組み、自分の仕事もきちんと行います。しかし、グループの仲間と一緒になると、話し込んでやるべきことをやらなかったり、こそこそと教室の後ろの方に固まって話したりする姿が見られていました。

この子たちを間違った方向に進めてはいけないという焦りもありました。しかし、こうして仲間と閉鎖的な関わりを持ちたくなることも発達の過程の一つです。むしろそうやって仲間と関わる中で、ルールを守ることの大切さや対人関係の築き方などを学んでいきます。

そんな子供たちに対してすべきことは、仲間とグループをつくることを頭ごなしに否定することではなく、よりよい関係の築き方を一緒に考えていくことなのではないかと思います。

そこでまず、この子供たちがグループから離れ、他に目が向く瞬間を待つことにしました。みんなのノートを配っていたり、みんなが使う場所をきれいに掃除していたりなど、そんな姿を見つけた時は、

「みんなのためを考えてくれてありがとう」

と声を掛けます。「グループの中にいる自分」でなくても、みんなの役に立てること、価値ある存在であることを伝えていくためです。

また全体に向けて、以下のような話をしました。

昔、図画工作の時間に友達とまったく同じような絵を描こうとしていた子がいました。とても絵が得意な子でした。友達と同じ絵にしないといけないと不安になってしまったのかなと思います。でも、それはその子にとってよいことじゃないですよね。友達だからといって、全部を一緒にしなければいけないわけじゃない。むしろ自分の気持ちや、したいことを大切にし合える友達が、よい友達だと先生は思います。

グループを作っていた子供たちを否定することにならないように、他人のエピソードとして伝えました。こうした遠回しなアプローチは効果が出にくいことがありますが、その分、行動を強制することがありません。子供たちに「自分はどうかな」と考える余白を与えます。

これから、高学年になるにつれ仲間との関わり方が徐々に難しくなってきます。3年生にはまだ少し早いのかもしれませんが、少しずつ準備をさせてあげられたらと思っています。

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佐橋慶彦先生

佐橋慶彦(さはしよしひこ)●1989年、愛知県生まれ。『第57回 実践!わたしの教育記録』特別賞受賞。教育実践研究サークル「群青」主宰。日本学級経営学会所属。子どもがつながる学級を目指して日々実践に取り組んでいる。

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