1月の先生のお話|誰もが幸せな気持ちになれる「ありがとう」

連載
学級経営を支える先生のおはなし|小三

愛知県公立小学校教諭

佐橋慶彦

2023年になり学級で過ごす日々も残り3か月となりました。今月は「ありがとう」の言葉に着目してみました。当たり前のように使っていますが、実は色々な意味が込められていると感じます。限られた時間を子供たちが穏やかな心で過ごせるよう、「ありがとう」の魔法で学級を温かな雰囲気にしたいものです。

執筆/愛知県公立小学校教諭・佐橋慶彦

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イラストAC

「ありがとう」の言葉が飛び交う教室に

数年前、一人の児童が「ありがとうって、大切な言葉だよね」と話してくれたことがありました。当時も、素敵なことを言う子だなと思っていましたが、最近はその言葉にはいろいろな意味が込められているなと考えるようになりました。

もちろん、相手に対するマナーや、コミュニケーションの一部として「お礼」が大切であることは言うまでもありません。お礼をきちんと伝えることで、相手を良い気持ちにさせたり、良い関わりを築いたりすることができるでしょう。しかし、それだけではなく、感謝をもつことのできるその捉え方にもまた、大きな価値があるように思うのです。

学期初めの検査や検診の場面を例に挙げながら考えてみましょう。待ち時間が多いからか子供たちからは「めんどうくさい」「やりたくない」などといったマイナスな声が聞こえてくることも少なくありません。

一方で、検査をしてくれた養護教諭の先生などに「ありがとうございました。」と自然に言うことができる子もいます。この子供たちにスポットライトを当てながら、感謝をもつことのメリットを伝えていきます。

検査が終わった時に、○○さんと△△さんが「ありがとうございました」と言っていました。もちろん他にも言っていた人がいたかもしれませんね。この「ありがとう」という言葉が大切だということは、きっとみんなも聞いたことがあると思うんですが、どうして大切なのか考えたことはありますか?

相手が良い気持ちになるから

今度どこかで助けてもらえるかもしれない

などの意見が挙げられることが多いのではないかと思います。「そうだね。」と受け止めながら

先生は最近、「ありがとう」は自分にとっても幸せなことなんだと思うんです。

と続けます。

例えば、ありがとうと自然に言っていた人たちはきっと、検査をしてもらったこと、自分のことを診てもらえたことに注目しています。でも逆に「めんどうくさい」「いやだなぁ」と言っていた人や思っていた人が注目しているのは、マイナスな部分です。

みんなはしてくれたことに目を向けて、「ありがとう」とたくさん思いながら生活するのと、マイナスなことに目を向けてイライラしながら生活するのでは、どちらが良いですか。過ごしている時間は一緒でも、何を見るかで感じることは全く違います。

少し難しい内容ですが、長い間一緒に過ごしてきたこの時期なら、こうした真剣な話も分かってくれるのではないかと思います。ただ「~しなくちゃいけない」「~をすべき」と伝えるよりも、こうして自分や周りにどんな良いことがあるのか、そのメリットを伝えることが大切だと考えています。

もし、子供たちが真剣に聞いてくれているようであれば、最後に教室での生活に話を移してもよいかもしれません。

教室でも同じです。みんなのために、誰かのために行動してくれる人がたくさんいます。そんな人たちに気が付いて、ありがとうの気持ちをもったり、伝えたりすることができれば、温かな毎日が過ごせそうです。

他者との距離が遠ざかり、何かをしてもらう、何か手助けをする、といったことが減少したこの時代。インターネットを開けば批判や中傷などネガティブな言葉があふれています。そんな今を生きる子供たちだからこそ、「思いやり」と「ありがとう」で生きていく温もりを伝えられたらと思っています。

佐橋慶彦先生プロフィール画像
佐橋慶彦先生

佐橋慶彦(さはしよしひこ)●1989年、愛知県生まれ。『第57回 実践!わたしの教育記録』特別賞受賞。教育実践研究サークル「群青」主宰。日本学級経営学会所属。子どもがつながる学級を目指して日々実践に取り組んでいる。

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