6月の先生のお話|不適切な行動への24のアプローチ

連載
学級経営を支える先生のおはなし|小三

愛知県公立小学校教諭

佐橋慶彦

6月は環境や体調の変化によって、子供たちに不安感や攻撃性が高まり、学級が荒れやすくなるといわれています。子供の不適切な行動に対して「叱る」以外のアプローチを身につけておくと、学級経営がスムーズにいくこともあります。

そこで今回は、不適切な行動へのアプローチの方法を紹介したいと思います。

執筆/愛知県公立小学校教諭・佐橋慶彦

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不適切な行動が目立ち始める6月

「六月危機」という言葉をお聞きになったことはないでしょうか。6月は、学級経営が難しくなる時期として知られ、雑誌の特集などで取り上げられることもあります。

実際に、脳科学者・中野信子氏は著書の中で、6月と11月は日照時間が変わる時期にあたり、セロトニンの合成がうまくできないことから、自分の心の変化、気分の変化に対して敏感になりやすい時期であることを指摘しています。

また、不安を感じる人や、攻撃性の高まりを感じる人も増えることから、この6月と11月は「嫌なものは嫌。やりたいことはどうしてもやってしまう。」時期だというのです。

こうした不適切な行動が増えてくる時期に、指導が「叱る」一辺倒になってしまうと、子供たちも段々と叱られることに麻痺してきます。そうすると次は、さらに強く叱るしかありません。

叱る→さらに叱る→もっと強く叱る

を繰り返していくと、叱る教師も疲弊しきってしまいます。

そこで、不適切な行動に対する「叱る」以外のアプローチの仕方をいくつか紹介したいと思います。状況に合わせて選択肢を変えられるように、下の表にまとめてみました。

「叱る」以外にアプローチはこんなに!

不適切な行動へのアプローチ

言葉掛けではありませんが例えば、上表の「04 視線を送る(温)」ということもアプローチの一つです。

授業に取り組めていないなどの不適切な行動に対し、視線を送ります。にらむような鋭い視線ではなく、温かな視線をです。そして何も言わずに、待ちます。すると多くの子供たちは気付いて、焦って行動を変えてくれます。それに対しては何も言いません。ただ、笑って頷きます。

教師の「静かにしなさい」の一言で、静かになるのはよいことですが、一方で先生に言われたからやめるという、受け身の態度が身に付いてしまう場合もあります。ところが、今回は送られた視線に対し、子供たちが行動を自分で決めています。子供に考えることを要求しているわけです。

加えて、次は視線を送らなくても、気付いて前を向いた時に「自分から切り替えができたね」と声掛けをすれば、自分でよい方法をどんどん考えるようになるでしょう。

注意しても注意しても直らない時には、こうしてアプローチを変えてみるのが効果的です。

感情のコントロールが難しく、何回も「キレて」しまう子供を例に挙げて考えてみましょう。おそらく自分を失ってしまっている時にさらに叱責しても、より感情的になってしまうため、危険な行動を制止し、場所を変えて落ち着かせた後で「17 問題と本人を切り離す」アプローチをしていきます。

どういう時にキレてしまうかイメージはつく?

怒る前に、怒っちゃいそうだなって思うことはある?

落ち着くのはどんな時?

などと質問し、自分のことを客観的に見られるように促していきます。そして、その上で「20 これからを一緒に考える」をしていきます。

じゃあ、自分が怒りそうだなと思ったら3秒でいいから待ってみよう。その後で話を聞くから先生のところに来てくれる?

嫌なことがたくさんあると我慢できなくなっちゃうんだったら、ため込まずに、1つ嫌なことがあった時に先生に言いに来てみたら?

など一緒に攻略法を考えていきます。時には「24 ルールを一度脇に置く」をして、

頭を冷やしたいなと思ったら廊下に出てもいいよ。その代わり、先生から見えるところにいてくれるかな。

と伝えることもあります。こうすることで、次にまた気持ちのコントロールができなくなってしまった時でも、

今回は何秒待てた?

自分でも、少し落ち着けようと思えたんだね。

次はため込む前に、もう少し早めに先生のところに言いに来ようか。

などと「21 成長を認め次の課題として伝える」ことができるようになります。

このようにアプローチを変えたり、組み合わせたりしながら状況ごとに対応を変えていくようにしています。不適切な行動が増えてしまうことが予想される6月。叱り続けて疲弊してしまわないように、いくつかアプローチの引き出しを用意しておくことをおすすめします。

佐橋慶彦先生プロフィール画像

佐橋慶彦(さはしよしひこ)●1989年、愛知県生まれ。『第57回 実践!わたしの教育記録』特別賞受賞。教育実践研究サークル「群青」主宰。日本学級経営学会、教育サークル「せあいと」所属。子どもがつながる学級を目指して日々実践に取り組んでいる。

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