小1国語「さあ はじめよう こくごのべんきょう」京女式板書の技術

連載
見やすく理解しやすい「単元別 板書の技術」京都女子大学附属小学校特命副校長 吉永幸司監修
関連タグ
連載 見やすく理解しやすい 京女式 単元別 板書の技術  バナー

今回のテーマは「さあ はじめよう こくごのべんきょう」です。小1の板書は子供たちが見てわかることが重要です。子供がノートにそのまま写せるような丁寧な板書にしましょう。

監修/元京都女子大学教授・同附属小学校校長・吉永幸司
執筆/京都女子大学附属小学校教諭・酒井愛子

 

第1回 「さあ はじめよう こくごのべんきょう」

単元の計画

①いいてんき
②さあ はじめよう こくごのべんきょう
 きょうしつの ことば
 べんきょうで つかう ことば
 へんじ・あいさつ・
 ともだちの なまえ
 なんて いおうかな

※絵話、「いいてんき」と「こくごの べんきょう」の授業は並行しておこなっていきます。

板書の基本(黒板の役割)

〇入学式の日。黒板は、1年生を迎える言葉や絵で溢れています。6年生が心を込めて歓迎の気持ちを表現したものがあります。担任からの言葉もあります。入学式当日だけのものにしておくのではなく、数日は、その黒板を背にして指導をします。それは、自分たちが学ぶ教室を、学校における居間として居心地のいい場所に感じてほしいからです。

〇入学式からの数日間は、並び方、物の置き方をはじめ、プリント配付などを含めて、あっという間に下校の時間を迎えます。いよいよ授業を始める前日に、入学式の板書を全部消して、何も書いていない黒板にします。翌日の朝、何も書いていない黒板を見て、「いよいよ始まる」という1年生としての学ぶ自覚が生まれる教室にしておきます。

〇前日に、真新しいチョーク、定規、黒板消しなどを用意します。

 

〈「ことばを ふやそう」授業の前半〉

小学一年 子供たちが主体的に学ぶ 京女式 国語の板書技術の基本 第1回  板書 4月

板書の活用①
「さあ はじめよう こくごのべんきょう『ことばを ふやそう』」は授業のめあてです。何を書くかということを説明してから、板書をします。
 
板書の活用②
左のカード「かざぐるま」「きょうかしょ」「せんせい」「ともだち」「いいてんき」「みぎ」「ひだり」は、これまでの授業で、学習をした語句です。
「かざぐるま」は、教科書の名前です。最初に覚えた語句です。その時、「どうぞよろしく」と声に出して言ってから教科書を開かせました。「きょうかしょ」は、これから繰り返し出てくる語句です。「いいてんき」は、第一教材の題名です。「みぎ」と「ひだり」は、正しく指導をする語句と考えていた言葉です。その時、「黒板の右(左)を見ましょう」「机の左(右)に置きましょう」「左(右)の席に座っている友達」というように活用した語句です。
 
板書の活用③
カードは、授業の初めに、声に出して読み、黒板に貼ります。貼ったカードを声に出し、裏向けにします。また、表に向けるなどしながら、文字の形や文字を覚えることに活用することもできます。
カードは、動かせること、表と裏が使えること、色画用紙があること、幅や長さが変化できることなど、工夫すれば楽しい授業づくりに役立ちます。

 

〈「ことばを ふやそう」授業の後半〉

小学一年 子供たちが主体的に学ぶ 京女式 国語の板書技術の基本 第1回  板書 4月

板書を活用した授業の進めかた

板書のコツ①
本時は、「きもちが よいへんじ」が学習内容です。前半のカードは、全部外します。黒板の中央から左、「ありがとうございます」までは、空白になります。ここで、緊張感が生まれます。変化や節目が形に見えると、1年生では、ゆるんだ雰囲気が引き締まるからです。工夫のしどころです。
「今日の、こくごのべんきょうは」と言って間をとり、「きもちが よいへんじ」と板書します。そこで「今日はいつですか」と問い、日付を読ませます。「『こくごのべんきょう』はどこにかいていますか」と問い、黒板の右を確認し、カードの「みぎ」を貼ります。
さらに、「こちらが、左」とカードを貼ります。「右と左」の違いを意識させます。
板書は繰り返し、声に出して読ませることにより、声の出し方、読み方が大事だということを理解するように導きます。文字が読めない子がいても、耳で聞いた言葉を声に出すということでよいのです。すべてが「これからはじまる」のです。「国語の勉強」をしているという気持ちを高める段階です。

板書のコツ②
5枚の「はい」のカードは、返事の見本です。次のように活用しました。
①わたしの名前は「さかい あいこ」です。名前を教えます。
②「さかい あいこ せんせい」と、座席の順に名前を呼ばせます。
③呼ばれるたびに「はい」の返事をします。(返事は、カードのどれかを意図したものにします)(カードには、ふつうの「はい」や「はあい」、小さい声の「はい」、なにも言わず肯く「・・・・」そして、読点が入った「はい」を示しています)
④全員が「さかい あいこ せんせい」と、呼ぶことが大事です。「だいたいわかっているでしょう」と途中で止めるようなことをしません。「聞いていて、気持ちのよい返事はどれですか」と問い、「はい」であることを指導します。
⑤「はい」という気持ちのよい返事の仕方を教え、今度は先生から、子供の名前を呼びます。声の大きさや返事の仕方を指導します。声に出して「はい」と言えれば上等です。これから、始まるのですから、大きい声、小さい声の評価はしないで、返事ができているかどうかを見守るようにします。

板書のコツ③
次は、第一教材「いいてんき」の勉強になります。1年生のはじめは、1時間集中させるのが難しいので、第一教材と組み合わせるようにしています。
授業では、絵話の場面を示し、絵の説明をさせました。吹き出しを空白にしたのは、意図的です。文字を、多く示すことより、考えたことを話す、友達の話を聞く活動を大事にしたからです。そして、登場人物が言っただろうと思うことが言葉に表れることを折々に指導をしていきます。

あ ・

構成/浅原孝子

学校の先生に役立つ情報を毎日配信中!

クリックして最新記事をチェック!
連載
見やすく理解しやすい「単元別 板書の技術」京都女子大学附属小学校特命副校長 吉永幸司監修
関連タグ

授業改善の記事一覧

雑誌『教育技術』各誌は刊行終了しました