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4年3組学級経営物語(16)

2019/11/14

学級経営物語タイトル

11月①「豊かな学び」にレッツ・トライだ!

文/濱川昌人(よりよい学級経営を考える大阪教師の会)
絵/伊原シゲカツ

4年3組担任の新任教師・渡来勉先生……通称「トライだ先生」の学級経営ストーリー。「豊かな学び」には、学習環境の豊かさ、高い知的好奇心が必要。それを実現できる「指導力」を、教師は絶えず磨かねばならない。お化けを通して地域を学ぼう……今月は、「主体的な学びの場づくり」にレッツ・トライだ!

<登場人物>

トライ先生
トライだ先生(渡来勉/わたらいつとむ)
主人公。教職1年目。教師になる熱意に燃えて、西華小学校に赴任。 やる気とパワーは人一倍あるものの、時には突っ走り過ぎるのが玉にキズ。しばしば飛び出す口癖から「トライだ先生」と 呼ばれるようになる。4年3組担任。
イワオジ
イワオジ先生(大河内巌/おおこうちいわお)
教職20 年の経験豊富な学年主任。4年1組担任。一見いかついが、 温かく見守りながら的確なアドバイスをしてくれ、 頼れる存在。ジャグリングなど意外な特技も。
ゆめ先生
ゆめ先生(葵ゆめ/あおいゆめ)
教職3年目。4年2組担任。新採のトライだ先生を励ましつつも一 歩リード。きまじめな性格で、ドライな印象を与えてしまうことも。音楽好きでピアノが得意。

西華祭の出し物

学級経営物語

「また悩んでるの?」

昼休みの職員室、葵ゆめ先生は、考え込む渡来勉先生に声をかけました。

「学級の出し物が決まらないんです。もうすぐ西華祭なのに…」

各学級が本格的に準備を開始する中で、まだ話合いが続く3組。

焦る渡来先生に、特活主任1年目で張り切る葵先生が助言。

「絶対無理だわ、お化け屋敷は。昨年から禁止になったし…。その提案者は大河内先生なのよ」

返す言葉がありません。

脳裏に浮かぶのは、カズたちの熱気溢れる表情。

「絶対やりたい!」

「前はできたのになぁ…」

「ヤル気なくなるよな」… *ポイント1

『お化け屋敷をやりたいんだよな。みんな…』

困った時には、いつも頼ってきた大河内巌先生。しかし、今度ばかりは最も相談しにくい相手です。

渡来先生は、大きな溜息をつきました。

これからの子どもたちに求められるのは、一人ひとりがインプットした知識や技能を、人と関わりながら自分が生活する場にある問題や課題を解決するためにアウトプットすることができる資質や能力です。知識の「暗記・再生型」の学習形態から、子どもたちが話し合いながら主体的に学び合う学習スタイルへの転換が求められます。そのためには、みんなで問題の解を考え、共に学び合うことができる学級集団づくりが不可欠になります。

イワオジvsトライだ…?

「子どもたちが熱望しているんです。お化け屋敷の実施を…」

決死の覚悟でトライする渡来先生。

眉間に深い皺を寄せ、厳しい表情の主任。心臓が破裂しそうな緊張感。長い沈黙の後、ようやく主任が苦い表情で語り始めました。

「確かに、西華祭の一番人気だった。だが、暗闇の中で秩序が乱れ、事故が起き、怪我人が出た。真っ暗で危険な状況の中、相手を驚かすことだけに夢中の子どもたち。お化けも、映画やテレビ等の単なる物真似…。保護者からの苦情が殺到。生徒指導部で検討し、禁止になった…」

独り語りの主任。

「西華祭は、好き放題に遊ぶ場ではない。安全に豊かに学ぶ場だ。子どもたちの希望を尊重する事は尊いが、自主的活動をキチンと支援できなければ、残念な結果を招く」

そして渡来先生を見つめ、問いかけました。

「最も重要な課題は『安全性』。さらに、『豊かな学び』も大切だ。それらをキチンと指導できる自信が、…君にはあると言い切れるのか?」

「正直に言います。…自信は、全くありません」

キッパリと答え、渡来先生は言葉を続けます。

「…でも、全力でトライします。安全で豊かな学びの場の工夫を、子どもたちと一緒に…」

「君の指導力が試される時だな」

ニヤリと笑う主任。

「だが初めてだ、敢えて禁止にトライする教師は…。子どもたちの希望が豊かな学びにつながる西華祭、それが私の真の願いだ。頑張れ!」*ポイント2

渡来先生は、主任の熱い思いに自然と頭が下がりました。

小学校では、2020年に、新しい学習指導要領が実施されます。そこでは、教科や領域の学習によって身に付く資質・能力は、次の3つの柱に沿って明確化されることになります。

① 生きて働く「知識・技能」の習得
② 未知の状況にも対応できる「思考力・判断力・表現力等」の育成
③ 学びを人生や社会に活かそうとする「学びに向かう力・人間性等」の涵養

また、「主体的・対話的で深い学び」の視点で、学習過程の質的改善をめざしています。

(11月②につづく)

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『小四教育技術』2017年8月号増刊より

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